集塵機徹底解説
公開:2023.04.24 更新:2024.10.30
集塵機にはバグフィルター、スクラバー、サイクロン、電気集塵機の4種類があります。バグフィルターはろ布で粉塵を捕集し、定期的なフィルター交換が必要です。スクラバーは水で粉塵を洗い流し、悪臭ガスにも対応します。サイクロン集塵機は遠心力で粉塵を分離し、簡単な構造で高温ガスにも使用可能です。電気集塵機は電荷を使って微細な粒子を集め、クリーンルームに適しています。用途に応じた最適な集塵機選びにはメーカーへの相談が有効です。
目次
空気を清浄化する集塵機の役割とは?
画像出典:フォトAC
ここでは、集塵機とはどういったものなのかに加え、集塵機の役割について解説していきます。
集塵機とは?
ここでは、集塵機がどのような装置であるかと、その基本的な役割について説明します。集塵機は、空気中の塵や粉塵を捕集するための装置です。主に工場や作業場、清掃業務で使用されており、作業環境を清潔に保つために欠かせない存在です。
集塵機は、大きく分けて4つの種類があります。それは、バグフィルター、スクラバー、サイクロン、電気集塵機です。これらの集塵機は、捕集方法や動作の仕組みがそれぞれ異なります。例えば、バグフィルターは微細な粒子を捕集するのに優れ、サイクロンは遠心力を利用して粉塵を分離します。
集塵機の役割
集塵機は、工場や作業場において非常に重要な役割を果たしています。まず、集塵機は工場内に浮遊する粉塵を捕集し、空気をきれいに保つことで、作業者が健康に働ける環境を提供します。粉塵が飛散していると、作業者の健康に悪影響を及ぼすことがあるため、集塵機によって空気が清浄化されることは大変重要です。
さらに、工場の床に粉塵が落ちていると、滑って転倒する危険もあります。集塵機を使用することで、粉塵の量を大幅に減少させ、安全な作業環境を整えることができます。このような環境の改善は、作業者の安全性を向上させるだけでなく、事故のリスクを低減することにもつながります。
また、粉塵が機械や設備にたまると、故障の原因になる可能性がありますが、集塵機を使えば粉塵の飛散を減らし、機械を守ることができます。これにより、設備の寿命を延ばし、メンテナンスのコストを削減することができます。
さらに、安全な作業環境を整えることで、作業効率も高まります。作業者が安心して作業できる環境は、集中力を向上させるため、生産性の向上にも寄与します。製品に粉塵が付着するのを防ぐことで、余計な工程を省き、作業の流れをスムーズにすることができます。
このように、集塵機は工場や作業場において、空気の清浄化や作業環境の安全性向上、機械の保護、作業効率の向上といった重要な役割を担っており、安全で効率的な作業環境の実現には欠かせない存在です。
集塵機が工場で不可欠な理由
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工場において集塵機が必要な理由は多岐にわたります。第一に、作業者の健康管理が挙げられます。工場では、製造過程や加工に伴って多くの粉塵が発生します。この粉塵は呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があり、長時間曝露されることで健康リスクが高まります。そこで、集塵機を使用することで、空気中の粉塵を効率的に除去し、安全な作業環境を確保することができます。
次に、集塵機は生産性の向上にも寄与します。清潔な作業環境は作業者の集中力を高め、業務の効率を向上させます。粉塵が少ない環境ではミスや事故のリスクが低くなり、結果として全体的な生産性が向上するのです。
さらに、法令遵守も重要な要素です。粉塵に関する規制が存在し、集塵機はその法令を遵守するために欠かせない設備です。規制に従うことで、工場の運営が円滑に行われます。
また、火災リスクの低減も見逃せません。特に可燃性の粉塵が存在する環境では、集塵機が火災の発生を防ぐ役割を果たします。このように、集塵機は工場内での安全を確保するためにも重要です。
これらの理由から、工場において集塵機は不可欠な設備であり、安全で効率的な作業環境の維持に大きく貢献しています。集塵機の導入は、作業者の健康や生産性を守るために非常に重要なステップです。
バグフィルター集塵機の仕組みとメンテナンス
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バグフィルターは、ろ布を使って排ガスをろ過し、粉塵を取り除く「ろ過式集塵装置」の一種です。ろ布には、綿やポリエステル、ナイロン、ガラス繊維などさまざまな素材が使われており、それぞれ耐酸化性や耐摩耗性、耐高温性などの特性に応じて選ばれます。特に高性能なろ布としては、PPSやポリイミド、セラミックが挙げられます。
バグフィルター集塵機では、円筒状や平板状に加工したろ布に吸引したガスを流し、粉塵を含んだガスが通過する際に、粉塵がろ布に付着して取り除かれます。その結果、清浄な空気が排出される仕組みです。この集塵機は、粉塵を0.1μm程度まで捕集できる能力を持っています。ただし、ろ布には粉塵が付着して詰まるため、定期的なフィルター交換やろ布の清掃が必要です。
フィルター交換が必要な場合、ダストモニターを使用して交換のタイミングを判断します。ろ布の粉塵を払い落とす方法には、パルスジェット、逆圧式、振動式などの手法があります。これにより、バグフィルターは効果的に粉塵を除去し、清潔な作業環境を保つのに役立ちます。
スクラバーによる安全で効果的な空気清浄
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スクラバーは、水を使って効率的に粉塵を除去する集塵機です。この装置は、空気中の粉塵を水しぶきと混ぜ合わせることで取り除きます。具体的には、吸引した空気を水しぶきに通過させ、その中に含まれる粉塵を捕集します。
捕集された粉塵は、水の中で軽い粒子と重い粒子に分かれます。軽い粒子は水面に浮かび、重い粒子は底に沈む仕組みです。また、スクラバーが水から清浄な空気を排出する際には、水切り板を使って水滴を分離します。
スクラバーの大きな利点は、フィルターの交換が不要であり、火災や爆発のリスクが低いことです。さらに、専用の液体を使うことで、亜硫酸ガスやアンモニアなど、通常の集塵機では取り除けない悪臭ガスも効果的に処理できます。
捕集された粉塵は、浮遊しているものはオーバーフロー部から、沈殿したものはホッパーの下部から排出されます。これにより、スクラバーはメンテナンスが簡単で、安定して運用できる特徴を持っています。このように、スクラバーは効果的に粉塵を除去し、清潔な空気を提供するために重要な役割を果たします。
粉塵を効率的に捕集するサイクロン集塵機
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サイクロン集塵機は、排ガス中の粉塵を効率的に取り除く装置で、円筒形の容器内でガスを高速回転させます。この旋回するガスによって重い粉塵が円筒の壁にぶつかり、そこから落ちて集塵容器に集まります。この装置は構造がシンプルで、特殊な材料を使用せずに製作できるため、製作費も安く済みます。また、可動部分がないためメンテナンスも簡単です。
ただし、サイクロン集塵機を効果的に設計するには専門家のアドバイスが必要です。円筒の直径が小さいほど、粉塵を効率的に集めることができ、最小で5μmの粒子まで捕集可能です。しかし、非常に小さな微粒子の除去には限界があり、特に10μm以上の大きな粒子や高密度の粉塵に適しています。
この集塵機はコンパクトな設計でありながら高濃度の粉塵を処理でき、高温のガスにも対応しています。他の集塵機と組み合わせて使用することで、さらに効率的な集塵が実現可能です。当メディアではサイクロン式集塵機に関する記事も掲載していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
遠心力集塵・サイクロンの原理とサイクロン式集塵機の用途
電気集塵機とは?
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電気集塵機は、空気中の粉塵に電荷を与えて集塵極に引き寄せて捕集する仕組みになっています。放電極と集塵極の間に高電圧をかけると、(-)の電荷を持つイオンを発生します。このイオンが周囲に漂うダストの微粒子と結合してダストが(+)の電荷を持つようになり、(-)の電荷を持った集塵極へ引き寄せられて捕集されます。
集塵極にたまったダストは水で洗い流されたり、叩き落とされたりして集塵を搬出するための容器に集められます。放電極は小さく、集塵極はダストが集まりやすいように広くなっていて、板状になっている集塵極とパイプ状になっている集塵極があります。
電気集塵機は、ダストの種類を問わず、バグフィルター集塵機よりも小さい0.01μm程度の微小粒子でも捕集が可能です。ほかの集塵機では取り切れないダストも除去できますので、クリーンルームや徹底的に取り除きたい有害物質にも適しています。
ただし、放電極を使用するため、爆発の可能性があるガスや粉塵、高温での使用には向いていません。
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集塵機を設置するときの注意点
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集塵機は、工場や作業場の安全性を高めるために重要な設備ですが、適切に設置して稼働させることが求められます。ここでは、とくに、「火災事故防止」「粉塵爆発防止」「定期点検の重要性」について解説していきます。
火災事故防止
集塵機の設置において最も重要な点の一つは、火災事故を防ぐことです。以下の対策が効果的です。
可燃性粉塵の特定
集塵機で処理する粉塵の性質を把握し、可燃性の粉塵が含まれている場合は、その特性に適した集塵機を選定することが必要です。
静電気対策
粉塵が静電気を帯びやすい場合、火花が発生するリスクがあります。導電性の材料を使用し、接地を適切に行うことで静電気の蓄積を防ぎます。
温度管理
集塵機内の温度を監視し、異常な温度上昇を感知した場合に自動で運転を停止するシステムを導入することが重要です。
粉塵爆発防止
集塵機を適切に管理していないと、粉塵爆発という重大な事故を引き起こしかねません。ここでは、粉塵爆発を防止するための3つの対策を紹介します。
粉塵の濃度管理
空気中の粉塵濃度を常に低く保つために、集塵機の性能を最大限に活用することで、発生する粉塵を速やかに除去します。そうすることで、結果的に粉塵の濃度を抑制でき、粉塵爆発のリスクを低減させられます。
適切なフィルター選定
粉塵の種類や粒子サイズに応じたフィルターを使用することで、効率的に粉塵を捕集し、爆発のリスクを低減することが可能です。
排気システムの設計
排気は屋外に直接おこなうように設計して、粉塵が工場内に再循環しないようにします。また、効率的に排気させるためには排気ダクトの設計も重要であり、急な湾曲や狭い部分を避けることが必要です。
定期点検が重要
集塵機の安全で効果的な運用のためには、定期的な点検が不可欠です。
フィルターとダストコンテナの確認
フィルターの詰まりやダストコンテナの満杯状態を定期的にチェックし、必要に応じて清掃や交換をおこないます。定期的にメンテナンスや清掃をおこなうことで、高い集塵効率を維持できることはもちろん、火災や爆発のリスクを低減することが可能です。
機器の性能確認
集塵機全体の動作状態を定期的に確認し、異常が見られた場合には速やかに対応します。とくに、モーターやファンの動作確認は重要なポイントです。問題が発生したら、すぐに集塵機メーカー等に相談して対応してもらいましょう。
メンテナンス履歴の記録
定期点検やメンテナンスの記録を残すことで、問題の早期発見が可能となり、長期的な安全性が確保されます。また、メンテナンスの履歴を残すことで、過去にどういった点検をおこない、今後どういうメンテナンスが必要かを可視化することができます。
そうすることで、定期的な点検やメンテナンスを怠らず、集塵機を正常に稼働させることができ、工場内の環境をよくできるでしょう。
メディア厳選のおすすめメーカー2選
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最適な集塵機を選ぶことは難しい場合があります。用途に最適な集塵機を見つけることが難しい場合、メーカーに相談することで解決できます。ここでおすすめする2つのメーカーを紹介しますので、ぜひ検討してみてください。
アコー株式会社
アコー株式会社は、完全受注生産を行っており、ニーズに合わせた製品オーダーメイドで生産しています。要望や環境に合わせた最適な集塵機を提供しており、品質にもこだわっています。また、一貫生産を行っているため、生産工程において細かなカスタマイズも柔軟に対応できるのがアコー株式会社の魅力のひとつですできます。
千葉県、静岡県、大阪府に拠点があり、それぞれに経験豊富なスタッフが在籍しています。入念なヒアリングをもとに、ぴったりの集塵機を提案してくれるのが特徴です。
また、静岡県磐田市にある自社工場において、鉄板1枚から加工、製造をおこなっているのもアコー株式会社ならではといえるでしょう。完成した製品は、出荷前に厳しい検査をおこない、検査に合格した製品のみを出荷する仕組みとなっています。
オーダーメイド制を導入しているので、「ステンレス製品が希望」「急ぎでつくってほしい」「ランニングコストを抑えたい」などの要望にも対応してくれるのが魅力です。
アマノ株式会社
アマノ株式会社では、環境事業の一貫として、小型から大型までさまざまな用途に適した豊富な集塵機を提供しています。また、持ち込まれた粉体の空気輸送テストや粉粒の物性測定などのテスト、電極洗浄サービスなど多岐にわたるサービスを通じて、現場でのサポートに取り組んでいます。
ISO14000sなどに基づいたシステムを提案しており、集塵機国内シェアナンバーワンを獲得しているのが特徴です。数多くのラインナップを取り揃えており、予算や用途、設置場所や改善箇所などに合わせて提案してくれるのがアマノ株式会社の魅力のひとつです。
同じ機種であっても、タンク容量やフィルタ面積に違いがあるので、ぴったりの集塵機を見つけられるでしょう。
集塵機は、空気中の塵や粉塵を捕集するための装置であり、工場や作業場で使用されます。また、バグフィルター、スクラバー、サイクロン、電気集塵機といった4つの種類に分類され、それぞれに特徴があります。
集塵機を導入することで、工場内の空気環境を清潔に保つことができるのはもちろん、作業者の健康被害のリスクを低減できるといったメリットもあります。
健全な工場運営を維持するためにも、できるだけ早い段階で集塵機の導入を検討しましょう。