集塵機には「乾式」と「湿式」がある?「乾式」と「湿式」の違いは
公開:2023.07.31 更新:2024.12.23
集塵機は、微細な塵や粉塵を集め、環境を清潔に保つために重要な機械です。特に工業生産の現場では、集塵機が労働者の健康を守り、機器の性能を維持し、製品の品質を確保する役割を果たします。集塵機には大きく分けて湿式と乾式の二つのタイプがあります。
目次
湿式集塵機
画像出典:集塵装置株式会社
湿式集塵機は、主に火花や爆発の危険性がある環境や、濡れた状態での作業を行う場所で使用されます。水や他の液体を使用して塵を捕集し、固形物を分離します。
以下は湿式集塵機の基本構造です:
吸引口:作業現場から粉塵を吸い込みます。
水タンク:吸引した粉塵を液体に混ぜ、火花の発生を抑制します。
フィルター:固形物を液体から分離します。
収集容器:分離した固形物を収集します。
湿式集塵機の利点
湿式集塵機は、液体(通常は水)を使用して粉塵を捕集するシステムです。特に火花や爆発の危険性がある場所や、特定の有害な粉塵を扱う場合に効果的です。以下、その主な利点について詳しく説明します。
湿式集塵機は、粉塵の火花発生や爆発リスクを大幅に減らす能力があります。これは、粉塵が液体によって捕集されることで、空気中への分散が抑制されるためです。これは、金属加工場や化学工場など、火花や爆発の危険性がある環境での安全性を高める重要な利点です。
さらに、湿式集塵機は有害な化学物質や重金属などの特定の粉塵を効果的に取り扱うことができます。粉塵は液体に吸収され、そのまま固形物として分離・収集されます。これにより、危険な物質の空気中への拡散を防ぎ、作業者の健康と環境を保護します。
また、湿式集塵機は大量の粉塵を取り扱う能力があります。特に、石炭火力発電所やセメント工場などの大規模な工業施設で、大量の粉塵を効率的に管理する必要がある場合に重宝します。
しかしながら、湿式集塵機の運用では、使用後の液体の処理や、システムの清掃とメンテナンスに注意が必要です。また、乾式集塵機に比べて一般的に大型であるため、設置スペースも考慮に入れる必要があります。
これらの特性を理解し、適切な場所で使用することで、湿式集塵機は作業現場を清潔で安全に保つ重要な役割を果たします。
湿式集塵機の欠点
湿式集塵機のデメリットの一つは、排水処理が必要なことです。この排水処理には、設備投資やメンテナンス費用がかかります。排水処理は、使用した水や液体に含まれた粉塵や汚れを処理するために行われます。
設備投資は、排水処理システムを導入するために必要な機器や設備を購入するための費用を指します。また、メンテナンス費用は、排水処理システムの定期的な点検や清掃、修理などに必要な費用を指します。
しかし、一部の湿式集塵機には、排水処理が不要なタイプも存在します。これらの機種は、水を使用せずに粉塵を効果的に捕集することができます。排水処理が不要な機種は、設備投資やメンテナンス費用を削減できるため、コスト面でのメリットがあります。
乾式集塵機
画像出典:日東化工機株式会社
乾式集塵機は、木材加工場や金属工場、製粉所などで一般的に使用されます。このタイプの集塵機は粉塵を直接捕集し、フィルターで分離します。
以下は乾式集塵機の基本構造です:
吸引口:塵や粉塵を吸い込みます。
フィルター部:吸引した粉塵をフィルターにより分離します。フィルターは定期的に交換または清掃が必要です。
収集容器:分離した固形物を収集します。
集塵機は、適切なメンテナンスと運用を行うことで、その効率と寿命を延ばすことができます。特にフィルターの管理は重要で、定期的な交換や清掃が必要となります。
以上のように、湿式と乾式の集塵機は、各々の特性と機能を理解し、適切な場所で使用することで、作業現場を清潔で安全に保つことができます。
乾式集塵機の利点
乾式集塵機はその名の通り、粉塵や塵を”乾燥”したまま捕集する特性を持っています。それゆえ、多様な産業場所で利用され、その汎用性は乾式集塵機の一つの大きな利点となっています。木材加工場、金属工場、製粉所など、多岐に渡る環境でその機能を発揮します。
また、乾式集塵機で捕集した粉塵や塵は乾燥状態で収集されるため、廃棄処理が非常に簡単です。例えば、湿式集塵機の場合、使用後の液体をどのように処理するかという排水問題を考慮する必要がありますが、乾式集塵機ではそのような問題は生じません。これにより、環境への影響を考える際の負担が軽減されます。
さらに、乾式集塵機の保守管理も容易であり、そのメンテナンスは主にフィルターの交換や清掃に集中します。特別な液体を補充したり、取り扱ったりする必要がないため、日々の運用がシンプルであると言えます。
そして、もう一つの大きな利点として、乾式集塵機は一般的に小型でコンパクトなデザインとなっています。これは設置スペースが限られた場所でも利用できるため、労働環境の多様性に対応することが可能です。
以上のような特性から、乾式集塵機は様々な環境でその有用性を発揮します。しかし、火花や爆発の危険性がある場所や、特定の有害な粉塵を扱う場合などは、その特性を考慮して湿式集塵機の使用が推奨されることも忘れてはなりません。
乾式集塵機の欠点
乾式集塵機は、工業現場や製造現場などで広く利用されていますが、その一方でデメリットも存在します。その中でも最も大きなデメリットは、フィルターが詰まる点です。吸引作業を続けると、フィルターが徐々に詰まり、集塵力が低下してしまうという問題があります。
詰まったフィルターは定期的に清掃や交換が必要となりますが、これには手間やコストがかかることが欠点です。さらに、乾式集塵機には耐熱性が低い製品も存在します。高温の環境下で使用する場合、耐熱性が不十分な機種では性能が低下したり、故障のリスクが高まることがあります。
また、乾式集塵機は液体に弱い特性を持っており、液体が吸引されてしまうと機械が故障してしまう可能性もあります。
湿式集塵機が活躍する製造現場
湿式集塵機は、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。工業分野では、工場や製造現場などで粉塵や微粒子が発生し、健康被害や製品品質に影響を及ぼす可能性があります。湿式集塵機は、これらの影響を最小限に抑えるために活躍しています。
また、建築分野では、土砂やコンクリートの切削によって粉塵が発生するため、湿式集塵機による集塵が環境改善に貢献しています。さらに、医療分野でも感染症や微生物飛散を防止するために湿式集塵機が導入されています。
これらの分野において、湿式集塵機は安全性と衛生面で重要な役割を果たしており、様々な現場で活躍しています。
乾式集塵機が活躍する製造現場
乾式集塵機は、水分を含まないため、湿気の多い環境や水を多く使用する場所での利用には向いていません。しかし、木材加工場や金属工場などの産業現場では、乾式集塵機が効果的に粉塵を吸引することができます。
このような環境では、集塵機が作業環境の改善につながり、作業員の健康を守るために欠かせない存在となります。さらに、乾式集塵機は、一度に大量の粉塵を吸引できる点や、水分を含んでいても吸い込めるものがある点が利点として挙げられます。
処理のための水を使用しないため、捕集した粉塵の処理が容易であり、作業効率を向上させることができます。そのため、乾式集塵機は様々な産業現場で重要な役割を果たしており、安全かつ効率的な作業環境の確保に貢献しています。
5.メディア厳選のおすすめメーカー3選
ここからはメディア厳選のおすすめメーカーを3つ紹介していきます。
株式会社アコー
アコー株式会社は、独自の空気利用技術を駆使し、集塵、ガス吸収、脱臭、異物分離、粉体と液体の混合などの分野で幅広い実績を持つ企業です。同社は、「エアショックバグフィルター」や「ウェットスクラバー」、そして「マルチサイクロン」など、全9種類の集塵装置を提供しています。
これらの製品は、静岡県磐田市にある3つの自社工場で製造されています。このため、お客様のさまざまな要望にしっかりとお応えし、オーダーメイド製品で様々な問題を解決する支援をしています。
お客様の要望に合わせて製品を生産するため、アコーは他社では対応しきれない細やかな要望にも臨機応変に対応できる体制を整えています。そして、アコーの主な特徴は、完全受注生産かつ自社内一貫生産であることです。
株式会社アコーは千葉、静岡、大阪の3箇所に営業所を設け、高度な知識と技術を有する経験豊富な営業スタッフが直接顧客のニーズに対応しています。顧客それぞれの要件や状況について詳細に把握し、理解した上で独自の提案を行っています。
この企業は完全なオーダーメイド製品を提供しており、通常の市販品では解決が難しい課題にも対応しています。
既製品では対応が難しいお悩みを抱えている方は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
集塵装置株式会社
1959年に設立された集塵装置株式会社は、設立当初から、作業環境を整える施設や公害を防ぐ機器、そして廃棄物やリサイクルに関する幅広いプラントを提供している製造会社です。
同社は、企画や設計から施工、試運転、そしてアフターサービスに至るまで一貫した取り組みをしており、お客様のニーズに合わせるために最新技術を用いています。集塵装置株式会社の最大の利点は、特注や独自の要件に対応する集塵システムの設計や製造力にあります。
通常の仕様では対処できない難題や厳しい案件にも臨機応変に対処できる柔軟性を持っています。加えて、一貫したアプローチにより最適な解決策を提供し、多種多様な作業や環境に適した集塵システムを提案することにも長けています。
集塵装置株式会社では、放射性物質向けやアルミスクラップ回収装置、鉄道車両整備用などにも対応可能なサイクロン集塵機を提供し、幅広い実績を誇っています。
例えば、鉄道車両整備向け集塵機のケースでは、もともとクライアントは湿式集塵機を検討していましたが、話を聞いているうちにダスト処理やメンテナンスに問題が生じていることがわかりました。
そこで、湿式集塵機と同等以上の性能とコスト削減の効果を実現するサイクロン式集塵機を提案。この変更により、ダスト処理が簡素化され作業時間が大幅に削減されたとのことです。
このように、集塵機にまつわる悩みの解消が実現され、お客様の満足度が向上する提案を行っています。
株式会社流機エンジニアリング
流機エンジニアリングは、業界をリードする集塵機の開発と提供を行っている企業です。独自のフィルター技術を活かし、既存の集塵機をカスタマイズしたり特殊な環境に対応したりすることに長けています。
自動再生技術や高い浄化性能、省スペース設計などの技術を駆使し、メンテナンスが容易でありながら高性能な集塵機を提供しております。こうした取り組みにより、お客様は環境を効果的に清潔に保つことができ、生産性の向上にも貢献できます。
この会社の集塵機は、航空・宇宙、原子力、粉体や流体、工業用分野など幅広い分野で活躍し、数多くの実績を築いています。また、多種多様なレンタル製品とデモンストレーションも積極的に行っており、お客様が最適な集塵機を選べるようサポートしています。
流機エンジニアリングは、技術力の向上とサービスの充実に常に取り組み、お客様の期待に応えることを使命としています。
今回は集塵機の種類である「乾式」と「湿式」についてご紹介しました。両者にはそれぞれ特徴がありますが、最終的には使用目的や環境に合わせて選択することが重要です。乾式集塵機は粉じんや粒子の吸引に適しており、一方で湿式集塵機は水を利用して浮遊粒子を捕集するため、特に粘着性の高い塵や粒子を取り除くのに適しています。
最終的には、使用目的や環境に合わせて適切な集塵機を選び、メンテナンスを行うことが重要です。