大型集塵機の選定には、ワット(出力)やボルト(電圧)、風量(㎥/min)、静圧(kPa)が重要です。風量と静圧のバランスを考慮し、性能曲線を参考に最適な機種を選びます。代表的なメーカーには、アコー、アマノ、流機があります。
目次
大型集塵機の電力に関する値

大型集塵機の電力に関する基本的な値を理解することは、適切な機種選定や運用コストの管理に役立ちます。特に、ワット(出力)とボルト(電圧)は、集塵機の性能やコストに直結する重要な要素です。
◇ワット
ワット(W)は、集塵機のモーターが発揮する出力を示す単位です。一般的には1,000W(1kW)以上のものが多く、大型機では数十kWに達することもあります。
出力が高いほど、モーターの回転数やファンの動力が強まり、より強力な吸引力を得ることができます。ただし、出力が高くなると消費電力も増加し、電気料金が高くなるため、必要な性能とコストのバランスを考慮することが重要です。
◇ボルト
ボルト(V)は、電源の電圧を表す単位であり、集塵機の運転に必要な電力供給の基準となります。一般的な電源には「単相」と「三相」の2種類があり、大型集塵機では主に三相電源が使用されます。
・単相と三相の違い
単相電源は、家庭用の100Vや200Vのコンセントで使用される一般的な電源です。単相電源では高出力のモーターを効率的に動かすことが難しく、大型機には不向きです。
一方、三相電源は工場や産業機械向けの電源方式で、3本の電線を使って電力を供給するのが特徴です。大型集塵機では三相200Vや400Vが標準的に採用されています。三相電源では常にバランスよく電流が流れるため、単相に比べて効率的かつ安定してモーターを動かすことができます。
大型集塵機の風力に関する値

大型集塵機の性能を評価する際、風力に関する数値は重要な指標となります。特に「風量」と「静圧」は、集塵機がどれだけの空気を吸引できるか、どの程度の抵抗力があるかを示す重要な要素です。
◇リューベパーミニッツ
リューベパーミニッツ(風量)は、集塵機が単位時間あたりにどれだけの空気を吸引・移動させるかを示す指標で、「㎥/min」の単位で表されます。これは1分間に何立方メートルの空気を処理できるかを示しており、集塵機の吸引力を比較する上で重要な数値です。
一般的に、小型の集塵機では数㎥/min程度の風量ですが、大型機になると数百㎥/min以上の風量を持つものもあります。ただし、風量が大きいだけでは必ずしも効果的な集塵ができるとは限りません。吸引力を決定する要素として、次に説明するキロパスカル(静圧)とのバランスが重要になります。
◇キロパスカル
キロパスカル(静圧)は、集塵機が吸引する際にどれだけの抵抗力を発生させることができるかを示す指標で、「kPa」の単位で表されます。静圧が高いほど、ホースやダクト内の抵抗が大きい環境でも安定した吸引が可能になります。
一般的に、風量型の集塵機では静圧が低く(1~3kPa程度)、広範囲の粉塵を効率よく回収できます。一方で、高圧型の集塵機では10kPa以上の静圧を持つものもあり、粉塵の付着が強い環境や長いダクトを通しての集塵が必要な場合に適しています。
風量と静圧はトレードオフの関係にあり、どちらかを優先するともう一方が低下する傾向があります。そのため、用途に応じた最適なバランスを考慮することが重要です。
大型集塵機の風量を示す性能曲線にも要注目

大型集塵機の性能を評価する際、風量や静圧の数値だけでなく、それらの関係を示す「性能曲線」も重要な指標となります。性能曲線を理解することで、実際の運用環境に適した集塵機を選定しやすくなります。
◇性能曲線の見方
性能曲線とは、風量(㎥/min)と静圧(kPa)の関係をグラフ化したもので、横軸に風量、縦軸に静圧を取り、集塵機の動作範囲を視覚的に表します。
このグラフを読むことで、集塵機がどの風量でどれくらいの静圧を発生させられるのかが分かります。例えば、曲線の左側は静圧が高く風量が小さい状態を示し、右側は静圧が低く風量が大きい状態を示します。つまり、吸引力が強いほど風量が小さくなり、広範囲の空気を動かすほど静圧が下がるという特徴があります。
さらに、フィルターの目詰まりやダクトの長さなどで実際の性能は変化するため、性能曲線上で運用環境に適したポイントを見極めることが重要です。
◇風量型と高圧型で性能曲線は変わる
集塵機には「風量型(低圧型)」と「高圧型」の2種類があり、それぞれの性能曲線の特徴が異なります。
風量型の集塵機は、大量の空気を移動させることを目的としており、性能曲線は比較的水平に近い形状です。静圧が低くても高い風量を維持できるため、広範囲に拡散した粉塵や軽い粒子の回収に適しています。
一方、高圧型の集塵機は強い吸引力を必要とする環境向けで、性能曲線は急な傾斜を持ちます。静圧が高い状態でも風量を確保できるため、長いダクトを通して吸引する場合や重量のある粉塵を除去する用途に向いています。
このように、同じ風量や静圧の数値を持つ集塵機でも、性能曲線を確認することで実際の作業環境に適した機種を選定しやすくなります。
大型集塵を取り扱っているメーカー

こちらでは、大型集塵機を探している担当者の方におすすめのメーカーを3社紹介します。
◇株式会社アコー

株式会社アコーは、オーダーメイドの集塵機製造に特化した企業です。長年の経験と高度な技術力を活かし、多種多様な業界のニーズに対応しています。
取り扱う集塵機の種類も豊富で、湿式集塵機(ウェットスクラバー)をはじめ、粉塵を効果的に捕集するフィルター式集塵装置や、大量の粉塵を効率よく分離するマルチサイクロン集塵装置などを展開しています。
会社名 | 株式会社アコー |
所在地 | 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-1-40 |
電話番号 | 047-352-4761 |
公式ホームページ | https://www.acokk.co.jp/ |
いずれの集塵機も、オーダーメイドの強みを活かし、導入現場の条件に合わせた最適なソリューションを提供できる点が大きな魅力です。
株式会社アコーについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇アマノ株式会社

アマノ株式会社は、集塵機の製造だけでなく、空気輸送エンジニアリングにも力を入れる総合的な環境改善企業です。単に粉塵を除去するだけでなく、工場全体の作業環境の向上を目的としたトータルソリューションを提供しています。同社の集塵機は、あらゆる粉粒体に対応可能で、多種多様な業種の要求に応える設計となっています。
会社名 | アマノ株式会社 |
所在地 | 〒222-8558 神奈川県横浜市港北区大豆戸町275 |
電話番号 | 045-401-1441 |
公式ホームページ | https://www.amano.co.jp/ |
さらに、設計・調達・工事・管理までをワンストップで提供しており、導入後のメンテナンスや運用サポートにも優れているのが強みです。
アマノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇株式会社 流機エンジニアリング

流機エンジニアリング会社は、集塵機の開発だけでなく、レンタル事業も展開するメーカーです。特に「高性能・高洗浄」と「メンテナンスフリー」の両立を目指したフィルター技術に定評があります。レンタル事業を通じて、短期間の利用や導入コストを抑えたい企業にも対応しており、フレキシブルな運用が可能です。
会社名 | 株式会社 流機エンジニアリング |
所在地 | 〒108-0073 東京都港区三田3-4-2 いちご聖坂ビル |
電話番号 | 03-3452-7400 |
公式ホームページ | https://www.ryuki.com/ |
特に「高性能・高洗浄」と「メンテナンスフリー」の両立を目指したフィルター技術に定評があります。
流機エンジニアリング会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
大型集塵機を選定する際、電力や風力に関する数値は重要な指標となります。まず、ワット(W)は集塵機のモーター出力を示し、出力が高いほど強力な吸引力を得られますが、同時に消費電力も増加するため、性能とコストのバランスが重要です。電圧はボルト(V)で表され、一般的には三相電源が使用され、効率的かつ安定した運転が可能です。
風力に関する値では、風量(㎥/min)と静圧(kPa)が注目されます。風量は1分間に処理できる空気量を示し、静圧は吸引時の抵抗力を示します。風量が大きいほど、より多くの空気を処理できますが、静圧とのバランスが重要です。静圧が高いほど抵抗が多い環境でも安定した吸引が可能となります。
また、性能曲線を理解することで、風量と静圧の関係を視覚的に確認でき、実際の運用環境に最適な集塵機を選定できます。風量型と高圧型の集塵機では、性能曲線の形状が異なり、それぞれに適した用途が求められます。
代表的な大型集塵機のメーカーとして、アコーはオーダーメイド集塵機に特化し、多様な業界のニーズに対応しています。アマノはトータルソリューションを提供し、設計から運用サポートまで一貫したサービスを展開。流機は高性能フィルター技術とレンタルサービスを提供し、柔軟な運用をサポートしています。各メーカーは、それぞれの強みを活かし、用途に応じた最適な集塵機を提供しています。
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