除塵と集塵の違いは?大型集塵機選定の注意点やトラブルを紹介
公開:2023.12.20 更新:2024.12.23
粉塵やほこりの管理は、製造や工業プロセスにおいて不可欠です。その中でも、除塵と集塵は異なるアプローチを取る重要なプロセスです。こちらでは、除塵と集塵の基本的な違いを明らかにし、大型集塵機を選定する際の注意点や一般的なトラブルに焦点を当てて紹介します。工業プロセスにおいて、粉塵やほこりの対策や異物除去は従業員の健康や、製品の品質向上等の観点からも非常に重要です。
目次
生産効率を高める集塵の役割と経済的利点
除塵と集塵は、両者とも粉塵やほこりを取り除くプロセスですが、その手法やアプローチには違いがあります。
◇除塵の一手段としての集塵
除塵とは、広い範囲で空気中に浮遊する粉塵やほこりを取り除くプロセスを指します。一方で、集塵は特定の場所や機器で発生した粉塵を効果的に収集することに焦点を当てています。つまり、集塵は主に特定の作業場や機械の周辺で粉塵を集めるための手段として用いられます。
一般的に、除塵は広範囲にわたる粉塵の除去を目的とし、集塵はその除塵プロセスの一環として、特定の場所や機器で発生する粉塵を効率的に収集する方法と捉えられます。
◇原材料費のロスの減少
集塵装置は、製造プロセス中に発生する粉塵や異物を効果的に除去する役割を担っています。これにより、製品表面に付着する異物が減少し、最終的な製品の品質が向上します。異物の混入による不良品のリスクが低下するため、生産ロスを減少させることができます。
特に、粉砕や切削などの作業においては、製品としての価値を持つ材料を無駄なく再利用できるため、生産効率や経済性の向上が期待できます。
◇粉塵対策の手間と費用を削減
手作業による品質管理は、短期的には効果的かもしれませんが、長期的な観点から見るといくつかの潜在的な課題が浮かび上がります。特に、人手不足が深刻な現状では、作業員の確保が不確実であることが大きな問題となっています。
また、作業者による手作業は、清掃の精度が個々の能力によって異なるため、品質の一貫性に悪影響を及ぼし、製品にばらつきが生じる可能性があります。総合的な費用対効果を考慮すると、自動化に投資することで、長期的な生産性の向上が期待できるでしょう。
作業現場に最適な集塵機を選ぶためのポイント
大型集塵機を選定する際には、知っておくべき重要なポイントがあります。そのなかでも特に重要な要素について、以下で解説します。
静圧と風量
大型集塵機を選ぶ際に重要なポイントの一つは、静圧と風量のバランスです。静圧は、集塵機が粉塵を吸引する力を示す指標で、ホースやパイプを通じて集塵ポイントに到達する際の抵抗に打ち勝つ力を指します。特に作業現場が複雑なレイアウトや長距離の導管を持つ場合、静圧の強さが重要になります。
一方、風量は1分間に吸引できる空気や粉塵の量を示します。作業現場で発生する粉塵の量や特定の作業に必要な吸引能力に応じて、適切な風量を確保することが不可欠です。
高圧型集塵機
高圧型集塵機は、近距離での吸引に特化した装置です。この機器の特徴は、強力な静圧を持ちながら風量が比較的低い点です。そのため、吸引口を物体に近づけることで強力な吸引力を発揮し、近距離での集塵や特定のポイントからの粉塵除去に優れています。
この特性から、高圧型集塵機は金属加工や木工などの製造現場で、製品に直接付着した粉塵を効果的に吸引する必要がある場合や、抵抗が多い環境での集塵が求められる状況で選ばれることが多いです。
風量型集塵機
風量型集塵機は、主に空気中の微細な粉塵や浮遊物質の吸引に特化した装置です。この装置の大きな特徴は、大量の空気を取り込む能力にあります。そのため、部屋全体や広い作業空間で発生する微細な粉塵を効果的に吸引することができます。この特性により、軽い気体や舞い上がった粉塵を効率的に集塵したい場合に、風量型集塵機が選ばれることが多いです。
特に、食品産業や清掃作業、大規模な製造プロセスなど、広範囲な空間での清浄作業に最適とされています。
画像出典先:株式会社ディーオ
大型集塵機のトラブルシューティング
大型集塵機を使用する際、いくつかの問題が発生する可能性があります。大型集塵機で発生しやすいトラブルと、その対処方法をご紹介します。
◇集塵機の吸引力の低下
集塵機のトラブルで特に多いのが、吸引力の低下です。吸引力の低下は、メンテナンス不足によるフィルターの詰まりが原因でよく起こります。フィルターは粉塵や異物を捕捉する役割を果たしており、これが詰まると吸引力が低下します。
これに対処するためには、定期的かつ計画的なフィルターの清掃や交換が必要です。適切な点検スケジュールを設定し、作業環境に合わせた適切なフィルターを使用することで、吸引力を維持できます。
◇粉が漏れる
粉が漏れる問題は、シーリングやガスケットの不良、導管やフィルターの破損によるものです。フィルターと同様に、これも作業環境や適切なメンテナンスの不足によって引き起こされます。
問題解決には、定期的な点検と部品の修理または交換が必要です。シーリングやガスケットの劣化が見られる場合は、これらの部品を適切に交換し、導管やフィルターの損傷があれば修復することが重要です。
◇異臭・異常音・振動の問題
異臭や異常音、異常な振動が起こる場合は、モーターやファン、導管などの部品が損傷している可能性があります。またダンパーの開閉角度が不適切な場合、特に開いている角度が一定の範囲を逸脱してしまうと、サージングと呼ばれる現象が発生し、異常な騒音や振動が起こることもあります。
モーターやファン、導管などの部品が損傷している場合は、適切な修理か部品交換が必要です。異臭や異常な振動の場合も、ただちに点検を行い、必要に応じてメンテナンスを行う必要があります。
除塵と集塵は、粉塵やほこりの管理において異なるアプローチを取るプロセスです。除塵は広範囲な空中の粉塵を取り除く一般的なプロセスであり、集塵は特定の場所や機器で発生する粉塵を収集する手段です。
大型集塵機は、製造プロセス中に発生する粉塵や異物を効果的に取り除き、製品品質を向上させ、不良品のリスクを低減する役割を果たします。また、自動化による集塵は、品質の一貫性を高め、人手不足の問題を軽減し、経済的な生産性向上をもたらします。
大型集塵機を選ぶ際には、静圧と風量のバランス、高圧型と風量型の選択、適切なメンテナンスが重要です。一般的なトラブルは吸引力の低下、粉の漏れ、異臭や異常音、振動ですが、定期的な点検と適切な修理・交換によりこれらの問題を解決できます。大型集塵機は、生産プロセスの効率性向上と粉塵管理の改善に貢献します。