【PR】【大型集塵機完全ガイド】おすすめ集塵機メーカー2選

遠心力集塵・サイクロンの原理とサイクロン式集塵機の用途

公開:2023.11.30 更新:2024.12.23

サイクロン式集塵機とは、含塵ガスによる旋回流で集塵する装置です。重力集塵よりも大きな遠心力で粒子を分離するため、3~10μmの粒子まで捕集することができます。シンプルな構造でメンテナンスも容易なため、粉じんの多い環境や高温度環境でよく使用される。

遠心力集塵とは?サイクロンの原理について

大型の集塵機の集塵方法は、バグフィルター式、電気集塵式など複数あります。その中でも、遠心式集塵機の集塵方法について原理や構造を紹介します。

◇遠心力集塵とは

遠心力集塵は、遠心力により粒子が沈む速度を利用した集塵方式のことです。またこの技術を使い、粒子が塵を含んだガスを旋回運動し、粒子に遠心力を作用させて分離する代表的な装置のことをサイクロンと呼びます。

重力集塵よりも大きい加速度(数百~数千倍)を粒子に与えることが可能であるため、分離限界粒子径は一般的に3~10μm程度です。

しかし、工場で生じる粉じんにはこれより小さい粒子も多く含まれるため、サイクロンは大きめの粒子を捕集する前処理装置として使われ、小さい粒子は後段の別の装置で除去されることが多いです。

◇サイクロン式集塵機の原理

サイクロン式集塵機は、含塵ガスを円筒内で旋回させ、その遠心力でダストを外壁側へ追い出し、サイクロン側壁に沿って落下させます。

粒子に作用する遠心力が重力の500~2000倍に達するため、重力では沈まない約5μmの粒子まで捕集することが可能です。

装置の上部に入口があり、そこから含塵ガスが流入します。このガスは筒状になっている装置内を旋回しながら下降し、渦芯と呼ばれる中心部に到達します。ガス自体は、渦芯を旋回しながら上昇し、上部から排出されます。

一方、除去対象の塵は遠心力により壁面に衝突するか、渦芯で上昇する過程で分離されます。この外側の下降する旋回流と内側の上昇する旋回流がサイクロン式集塵機の特徴です。

サイクロン式集塵機は、そのシンプルな構造にもかかわらず優れた性能を有し、特に粉じんの多い環境や高温度環境において有効です。

サイクロン式集塵機のメリット・デメリット

サイクロン式集塵機を採用するには、メリットとデメリットを把握しておく必要があります。サイクロン式集塵機のメリットとデメリット、使用用途をご紹介します。

◇サイクロン式集塵機のメリット

サイクロン式は、遠心力集塵という集塵形式を採用する集塵機です。含塵ガスによる旋回流で集塵するというシンプルな仕組みを採用しています。そのため、他の集塵方式に比べてメンテナンスがしやすいという特徴があります。

また、高温に強い素材で製造されるため、多様な製造現場のニーズに対応可能です。

さらに、処理ガス量に対して必要なスペースが小さいため、設置に便利です。製作費が安く、可動部分がないため、保守や点検も容易です。

特に粉じん量が多い環境では、効果的にそれらを除去できます。

◇サイクロン式集塵機のデメリット

サイクロン式集塵機は微小粒子の除去には向いていないため、公害の原因となるような小さな粉じんを取り除くことを目的とする場合には適していません。

また、構造がシンプルであるがゆえに、理論的な解析が難しく、対象粉じんに適した設計をするのも難しいです。

さらに吸引式の場合、わずかな空気漏れでも集塵率を悪化させる可能性があるのも問題点です。

なぜサイクロン集塵機は主流にならないのか

サイクロン式掃除機は、利便性により多くのユーザーから支持を得ており、現在では多くの家電メーカーが採用している主流な掃除機となっています。それでは、集塵機はどうでしょうか。

集塵機の大部分はサイクロン式ではなく、代わりにフィルターパック式を採用しています。実際には、これにはいくつかの理由があります。

工場では相当小さなゴミまで吸引しなければいけないから

サイクロン式集塵機は、ゴミと空気を遠心力によって分離するしくみです。従って、「遠心力」が非常に重要です。大きな重さのあるゴミは、遠心力が働くと円錐が迅速に回転し、空気から分離することができます。

しかし、非常に小さく軽いゴミの場合、遠心力がほとんど働かず、空気と一緒に排出される傾向があります。家庭用掃除機で吸引されるゴミは、おそらく髪の毛やホコリ、食べカスなどで、基本的には目で確認できるサイズだと思われます。

一方、粉塵などのゴミを工場で吸引する場合、0.1μ未満の微小なサイズまで吸引する必要があり、家庭用よりもはるかに厳しい要件がしばしば課されます。特に、クリーンルームなどの一定以上の空気環境を維持する必要がある場合、微細な異物まで確実に捕捉してくれるフィルターの力に頼らざるを得ません。

このため、サイクロン集塵機が一般的ではないのです。

フィルターパックの方がメーカーは儲かるから

完璧なサイクロン集塵機が実現すれば、フィルターの定期注文が不要になり、企業の収益が減少する可能性があります。集塵機のホースの太さは、ユーザーごとに異なり、フィルターパックの形状も同様に多様です。

このため、家庭用掃除機とは異なり、汎用品が少ないことが課題です。つまり、自社の集塵機を使用している限り、定期的なフィルター交換による収益が期待できるのです。例えば、月に100台の集塵機を販売している企業の場合、年間1200台に相当します。

フィルターを1枚3000円で3か月に1回交換するとすると、その売上だけで1,440万円に達します。ただし、これは単年度の話であり、10年前から毎年同じ数を販売している場合、フィルター交換コストは年々蓄積していきます。

10年後には、なんと1億4400万円にも上ります。企業の開発した製品によって収益が減少する事例は少ないため、従事する企業は限られているのではないでしょうか。結果として、集塵機メーカーは躊躇してしまうのかもしれません。

◇サイクロン式集塵機の用途

サイクロン式集塵機は、他の集塵装置と組み合わせ、前処理装置として使用されることが多いです。また製造現場では、有害物質の除去だけではなく、粉体の回収目的で使われることもあります。

さまざまな用途で使えるため、産業用の集塵装置として人気です。

集塵効率の高いサイクロン式大型集塵機

遠心力集塵で空気中の粉じんを捕集するサイクロン式集塵機ですが、集塵効率が高いほど、後段のフィルターへの影響を減らすことが可能です。集塵効率の高いサイクロン式大型集塵機をご紹介します。

◇株式会社アコー「マルチサイクロン」

株式会社アコーのマルチサイクロンは、高集塵効率を持っており、小型サイクロンを組み込むことで12μmの粒子を100%捕集します。

小さなスペースで大風量の集塵が可能で、バグフィルター前段に置いて火災対策にも使用できます。自動クリーニング機能を内蔵しているため、メンテナンスの手間を抑えることが可能です。

化学製品、食品、金属粉など多岐にわたる用途で使用され、2022年10月時点で852件の納入実績があります。

株式会社アコーが気になる方は公式HPを覗いてみてください。

◇デュコル「サイクロン」

株式会社デュコルのサイクロンは、簡単な構造でありながら、用途によっては非常に効果的な集塵機です。

小さなスペースでの設置が可能で、高温度の処理ガスや高濃度の粉じん処理にも使用できます。

株式会社デュコルは、集塵設備のイニシャルコストとランニングコストの両方を抑えるために、風量に合わせて最適な集塵設備を提案しています。

多種多様な企業へ納品した実績とそれらを実現する確かな技術力を兼ね備えています。

◇エステーリンク「高効率サイクロン」

株式会社エステーリンクが提供する高効率サイクロンは、より細かい粒子まで集塵できる性能を持っています。

標準のサイクロン集塵機では細かい粉じんの捕集が困難で、15μmの粉じんで50%程度、5μm以下の粉じんでは10%にも満たない捕集率となっています。

一方、エステーリンクの高効率サイクロンは、5μmの粒子で99%以上、1μmで75%以上と高い捕集効率が特徴です。

導入に際して、バグフィルター前のサイクロンとして使用することで、フィルターの寿命が延長でき、バグフィルターを使用できない条件でも、微細な粉じんを捕集できます。

サイクロン集塵機で有名な集塵機メーカー3選

ここからはサイクロン集塵機で有名な集塵機メーカーについて紹介していきます。

◇株式会社ハープ

株式会社ハープは、谷口巽商店として1947年に設立されました。最初は置時計部品の輸入販売からスタートしましたが、後に自社製造の時計用工具や部品の研磨機に着手し、大きな転機となりました。

この会社は貴金属製作用の彫金工具や機械・用品の製造・輸入販売メーカーとしての地位を確立しました。1983年に社名を株式会社ハープに変更し、現在では指輪の彫刻機や研磨機、砥石、定規など、幅広い関連商品を取り扱っています。

株式会社ハープは集塵機にも力を入れており、研磨作業がしやすい工夫が施されたものや、すり板保持金具が付いておりマイクロモーター作業も可能な集塵機など、多様な商品を提供しています。

株式会社ハープのサイクロン集塵機は、ダストの含まれた空気を導入する入口があります。この空気は内部の円筒に流れ込みます。円筒内の空気は中央部分へ向かって旋回運動を始めます。

この過程により、微細な粉塵や粒子も外側へ押し出される遠心力が加わります。その結果、粉塵や微粒子は円筒の外壁に移動し、下方向へ向かって流れます。この段階で、重い粉塵が外壁に付着し、空気から分離されます。

分離された粉塵は、集塵容器やホッパーに蓄積されます。そして、清浄な空気はサイクロンの頂部から放出され、外部に排出されます。ホッパー内にたまった粉塵や微粒子は、定期的にロータリーバルブなどを通じて排出されます。こうすることで、集塵機の効率的な動作が維持されます。

また、ハープ株式会社製のサイクロン集塵機は、90%以上の集塵効率を実現するためにサイクロン集塵機の特性を活かしています。この製品はコンパクトな卓上サイズでありながら、効率的な集塵が可能であり、メンテナンスも簡単に行えるように設計されています。

特に、歯科用石膏や貴金属含有粉塵などの収集集塵では、フィルターを必要とせずに効果的な集塵を実現します。

◇集塵装置株式会社

1959年に設立された集塵装置株式会社は、立ち上げ当初から、作業環境を改善する設備から公害を防ぐ機器、そして廃棄物やリサイクルに関する幅広いプラントを提供している製造会社です。

同社は、企画や設計から施工、試運転、そしてアフターサービスまで一貫した体制を築き、顧客のニーズに応えるために最新技術を駆使しています。集塵装置株式会社の最も大きな強みは、特注や特殊な仕様に対応できる集塵システムの設計や製造能力にあると言えます。

通常の仕様では対処できない難題や困難な案件にも臨機応変に対応できる柔軟性を持っています。加えて、一貫した体制により最適な解決策を提供し、多様な作業や環境に合わせて最適な集塵システムを提案することにも長けています。

集塵装置株式会社では、放射性物質用やアルミスクラップ回収装置、鉄道車両整備向けなどにも対応可能なサイクロン集塵機を提供しており、幅広い実績を誇っています。鉄道車両整備向け集塵機の事例では、最初は湿式集塵機を検討していたクライアント様でしたが、ダスト処理やメンテナンスに課題が生じておりました。

当社はサイクロン集塵機をご提案し、湿式集塵機と同等以上の性能とコスト削減の実現を説明いたしました。サイクロン集塵機への切り替えにより、ダスト処理の手間が軽減され、作業時間が著しく短縮されました。

透明なダストボックスの導入により、吸引したダスト量や交換時期が一目で確認できるようになりました。さらに、人件費を含むランニングコストの削減が達成され、お客様の満足度が向上いたしました。

◇シケン株式会社

1959年に創立されたシケン株式会社は、最初は研磨機や除塵機の製造・販売メーカーとしてスタートしました。その後、1969年に大気汚染の防止を目指したバックフィルタ方式の集塵機を開発し、これを契機に環境保護分野に進出しました。

現在、研磨機やそれに関わるサービス・商品の提供、また集塵機の製造・販売に取り組んでいます。特に集塵機では、国内の大手企業に対して多くの実績を積み上げ、バフ研磨装置は3000台以上の導入実績を持ち、東南アジアを含む海外にも多数の顧客を抱え、成長し続けています。

「小型集塵機(SBFボックスタイプ)」は、シケン株式会社のサイクロン集塵機の一種であり、一般的な小型集塵機を指します。この機種は、主に研磨粉塵などの集塵に適しており、その目的に応じて設計されています。

主な特徴は、コンパクトかつ低コストを重視した開発であり、実績も豊富です。研磨作業による火花のリスクに対処するためには、防火設備を備えた防火調圧室と組み合わせることが推奨されています。


サイクロン式集塵機は、遠心力を利用して粒子を集塵する方法で、粒子を含んだガスを旋回運動させて遠心力によって分離する装置です。この方式は、高い加速度を粒子に与え、一般的に3〜10μm程度の大きな粒子を効果的に捕集します。しかし、小さな粒子には向いていないため、微小粒子の除去には適していません。

サイクロン式集塵機のメリットは、シンプルな構造でメンテナンスが容易で、高温にも耐えることができ、粉じん量が多い環境で効果的です。一方、デメリットは微小粒子の除去に不向きで、設計が難しいことや吸引式の場合に空気漏れが問題になることです。

いくつかのメーカーが高効率のサイクロン式集塵機を提供しており、それぞれ特徴があります。アコーの「マルチサイクロン」は高い集塵効率を持ち、小型サイクロンを組み込むことで微細な粒子も捕集します。デュコルの「サイクロン」は用途に応じて効果的で、コストを抑えつつ最適な集塵設備を提案します。エステーリンクの「高効率サイクロン」は、微細な粉じんまで高い捕集効率を誇ります。

サイクロン式集塵機は、多岐にわたる用途で産業用の集塵装置として活用されており、集塵効率の高いモデルを選ぶことで後段のフィルターへの影響を減少させることができます。

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