空気清浄機と集塵機の違いとは?
公開:2024.07.22 更新:2024.12.23
空気清浄機は、目に見えない極小の汚染物質を捕捉し、ファンを通じて吸引された空気をフィルターで浄化します。空気清浄機の目的は空気の浄化であり、木材や金属加工時に発生する大きな粉塵を回収したい場合は大型集塵機の方が適しています。
空気清浄機が捕捉できる物質は、微細な粒子、有害ガス、微生物などで、特にアレルギー対策や空気中のウイルス抑制に有効です。空気清浄機では処理できない特定の化学物質や粒子には、それに適した集塵機を選定する必要があります。
目次
空気清浄機とは?
製造現場や工場において、清潔な空気を保つことは従業員の健康と生産性を左右する重要な要素です。以下では、空気清浄機の基本機能とその具体的な効果について解説します。
◇空気清浄機とは
空気清浄機は、空気中の汚染物質やアレルゲンを除去し、室内環境を清潔に保つための機器です。特に空気が悪化しやすい工場などの業務環境では、従業員の健康や作業効率に直接影響を与えるため、その重要性が高まっています。
空気清浄機は、一般的にファンを使用して周囲の空気を吸引し、内蔵されたフィルターを通過させることで、微細な粒子や有害物質を取り除きます。
空気清浄機の目的は空気を浄化することであり、目に見えないほど極小な汚染物質を捕捉します。比較対象に大型集塵機が挙げられますが、こちらの目的は粉塵の回収です。
大型集塵機は木や金属を削ったときに生じる粉のような比較的大きいダストまで対応が可能な点が、空気清浄機との違いと言えます。
◇空気清浄機でできること
空気清浄機の主な効果として、以下が挙げられます。
・粒子状物質の除去
花粉、ホコリ、ペットの毛などの粒子状物質を効果的に除去します。高性能フィルターを搭載したモデルは、0.3ミクロン以上の微粒子を捕捉する能力があり、アレルギー対策に最適です。
・有害ガスの吸着
活性炭フィルターを備えた空気清浄機は、揮発性有機化合物(VOC)、タバコの煙、ペットの臭いなどの有害ガスを吸着・除去します。
・微生物の抑制
一部の空気清浄機は、UV-Cライトやプラズマ技術を用いて、空気中のウイルス、細菌、カビの増殖を抑制します。
空気清浄機で集塵できる?
空気清浄機は、室内の空気質を改善するための便利な機器ですが、その機能には限界があります。ここでは、空気清浄機が集塵に向かない理由と、粉塵の種類によっては効果が期待できない点について解説します
◇局所排気には向かない
空気清浄機は、部屋全体の空気を循環させて浄化する設計になっているのが一般的です。しかし、特定の場所や局所で発生する汚染物質や粉塵を迅速に排気する能力は限られています。
局所排気が求められる場面、例えば工場内での加工や粉体取扱作業などでは、特定の場所からの即時排出が必要です。このような状況では、空気清浄機は機能不足であり、専用の大型集塵機のほうが効果的です。
◇粉塵の種類によっては回収できない
空気清浄機は、主に微細な粒子やアレルゲンを除去するために設計されていますが、すべての粉塵を効率的に回収できるわけではありません。例えば、特定の産業用途で発生する化学物質や粒子は、空気清浄機のフィルターでは処理できないことが多いです。
また、空気清浄機はVOC(揮発性有機化合物)などの有害ガス除去を目的として設計されていないため、その点も考慮する必要があります。業務環境での使用を検討する際は、対象とする粉塵の種類とその特性に応じた適切な装置を選ぶことが重要です。
大型集塵機で空気の清浄も可能
大型集塵機は、主に工場や産業現場での粉塵除去に使用されますが、その機能は集塵だけにとどまりません。最新の技術を用いた大型集塵機は、空気の清浄化にも寄与できる機能を備えています。
◇湿式集塵機やミストコレクターで集塵と脱臭を両立
湿式集塵機は、湿った空気中の粒子を水分で捕集する仕組みの集塵機です。特に油煙や化学物質を伴う作業環境での使用に適しています。また、湿式集塵機の中には、臭いを抑える機能が搭載されているモデルもあります。
ミストコレクターは、冷却水や洗浄剤を使用して空気中の微細な液体粒子(オイルミスト)を除去する機器です。ミストコレクターのメリットは、ミストの除去と同時に臭気も抑えて空気を清浄化できることです。
◇集塵機能を強化した空気清浄機能もある
最近では、集塵機能を強化した空気清浄機も登場しています。これらの機器は、高性能なフィルターや先進的な空気循環システムを搭載し、微細な粒子やアレルゲンの除去に加えて、悪臭をも処理する能力を持っています。
ただし、集塵機能を強化した空気清浄機は、一般的に広い空間の空気を清浄化することを目的としており、局所的な排気が求められる場面には適していません。
そのため、例えば加工機械の近くで発生する粉塵や煙を即座に排出する必要がある場合は、専用の局所排気装置との併用が理想的です。
大型集塵機で空気清浄を実現した事例
ここからは、大型集塵機を採用することで、集塵と空気清浄の両方を実現した事例をご紹介します。
◇湿式集塵機で解決した事例
蒸気状の油の処理に困っていた工場の事例です。この工場から出る蒸気状の油は非常に小さい粒子であり、既存の集塵機では処理が難しい点が問題でした。加えて、油分を含む排ガスの処理には環境基準を満たす必要がありました。
この課題に対処するため、排ガスを加湿して微粒子を大きくすることができる新型の湿式集塵機を採用。結果、集塵効率が向上し、排ガスもクリーンになり、周辺の住民からの苦情も解消されました。
◇ミストコレクターで解決した事例
オイルミストが原因で悪臭問題が発生していた工場の事例です。悪臭によって近隣からの苦情も発生し、対応が急務となっていました。
この問題を解決するために採用したのが、オイルミストを一台のミストコレクターで集中的に処理する方法です。結果、オイルミストの拡散を防ぎ、臭気問題は解消され、さらに工場内の作業環境も大幅に改善されました。
空気清浄機は、目に見えない極小の汚染物質を捕捉し空気を浄化することを目的としています。ファンを用いて周囲の空気を吸引し、内蔵されたフィルターを通過させることで、微細な粒子や有害物質を取り除く仕組みです。
これに対して、大型集塵機は木や金属の加工時に生じる比較的大きな粉塵を回収することが目的で、その機能において空気清浄機との主な違いがあります。
空気清浄機が提供する主な効果には、粒子状物質の除去、有害ガスの吸着、微生物の抑制があります。高性能フィルターを搭載したモデルは、花粉やホコリなどの粒子状物質を効果的に除去し、アレルギー対策に最適です。
活性炭フィルターを備えたモデルは、揮発性有機化合物やタバコの煙などの有害ガスを吸着します。また、UV-Cライトやプラズマ技術を用いるモデルは、空気中のウイルスや細菌の増殖を抑制する効果があります。
しかし、空気清浄機はすべての状況に対応できるわけではなく、局所排気には適していません。このような場合は、大型集塵機がより効果的です。また、空気清浄機は特定の化学物質や粒子を効率的に回収できないこともあり、対象とする粉塵の種類に応じた適切な装置を選ぶことが重要です。