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大気汚染物質を吸引できる大型集塵機とは?

公開:2023.11.30 更新:2024.12.23

日本では、1968年に大気汚染防止法が制定され、工場や事業場からの大気汚染物質の排出を規制しています。排出基準を遵守するため、ヒューム集塵機や電気集塵機などの集塵機が活躍しています。

大気汚染防止法とは?工場から排出される汚染物質

◇大気汚染防止法

大気汚染防止法の前身として、人々の健康と環境の保全をする上で望ましいとする環境基準を定めた、環境基準法があります。

その後、大気環境の保全を目的として、1968年(昭和43年)に大気汚染防止法が制定されました。

大気汚染防止法とは、環境基準法で定めた環境基準の達成を目的に設けられたものです。

大気汚染防止法が制定された背景には、高度経済成長期に建設された多くの工場からの排出による環境汚染が原因で、水俣病や四日市ぜんそくなどの公害が相次いで発生したことが挙げられます。

大気汚染防止法では、工場や事業場などの固定発生源から排出される、あるいは飛散する大気汚染物質に関して、物質の種類ごと、施設の種類や規模に応じて排出基準が設定されています。大気汚染物資の排出者は、これらの基準を遵守しなければならないとされています。

◇工場から排出される大気汚染物質

大気汚染防止法で定義され、排出量の基準が決められている大気汚染物質を紹介します。

対象となる物質は、大気の状態変化や対策技術の進歩などにより、随時見直しが行われ、改正されています。

〇ばい煙

「ばい煙」とは、工業施設や事業場などから排出される煙のことです。その煙の中に含まれる一部の物質が規制対象となっています。

硫黄酸化物(SOx):主にボイラーや廃棄物焼却炉での燃料や鉱石の燃焼によって発生します。

ばいじん:これもボイラーや廃棄物焼却炉、さらに電気炉の使用によって生じます。

カドミウム(Cd)およびその化合物:銅、亜鉛、鉛の精錬施設での燃焼や化学的処理から生じます。

塩素(Cl₂)、塩化水素(HCl):化学製品反応施設や廃棄物焼却炉での燃焼や化学的処理から発生します。

フッ素(F)、フッ化水素(HF):アルミニウム精錬用電解炉やガラス製造用溶融炉での燃焼や化学的処理によって生じます。

鉛(Pb)および鉛化合物:銅、亜鉛、鉛の精錬施設などでの燃焼や化学的処理によって発生します。

窒素酸化物(NOx):ボイラーや廃棄物焼却炉での燃焼、合成、分解によって生じます。

また、ばいじんと有害物質については、都道府県の条例でより厳しい基準を設けることが可能です。

〇揮発性有機化合物(VOC)

VOC(Volatile Organic Compounds)は、室温で気化しやすい有機化学物質の総称です。

化学製品の製造、塗装、接着、印刷における乾燥施設、吹付塗装施設、洗浄施設、貯蔵タンクなどから排出されます。

〇粉じん

粉じんは、大気中に浮遊する微小な固体粒子や粉末状の物質のことです。

一般粉じん:ふるいや堆積場での鉱石や土砂の粉砕、選別、機械的処理、堆積によって生じます。

特定粉じん(石綿):切断機などでの石綿の粉砕、混合、その他の機械的処理から発生します。

〇特定物質(アンモニア、一酸化炭素、メタノールなど28物質)

特定施設での故障、破損などの事故時に発生します。

〇有害大気汚染物質

有害大気汚染物質とは、低濃度でも継続的な摂取で健康影響が懸念される物質のことを指します。

ベンゼン:ベンゼン乾燥施設などから排出されます。

トリクロロエチレン:トリクロロエチレンによる洗浄施設などから排出されます。

テトラクロロエチレン:テトラクロロエチレンによるドライクリーニング機などから排出されます

大型集塵機は大気汚染物質を吸引できる?

環境への配慮が高まる中、工場などにおいて大気中の微小粒子や有害物質を取り除くための効果的な手段として、大型集塵機が注目されています。

◇大型集塵機が工場などの現場で活躍

粉じんは大気中の微小粒子であり、大きさが異なります。特に小さい粒子は体内に侵入し、肺の深部である肺胞にまで辿り着く場合があります。

トンネルの建設工事や工場など、粉じんを長時間吸い込む環境では、うまく排出できなかった粉じんが肺に溜まり呼吸機能が低下し、じん肺やぜんそくなどの健康被害が発生します。

集塵機は、大気汚染・健康被害をもたらす空気中の粉じんを減らす機器として活躍可能です。

◇電気集塵機の活躍

電気集塵機とは、汚れた空気中の微細な粒子を集めて除去する装置です。空気中の粒子にコロナ放電によって電荷を与え、それらを集塵極に引き寄せて捕集します。

現在、工業・産業用の集塵機として、「サイクロン」「スクラバー」「バグフィルター」「電気集塵」の4種類が一般的な集塵機として使われる集塵方法です。

この中でも電気集塵機は、捕集可能な粒子サイズ、ランニングコスト、保守性の良さなどの観点で大きなメリットがあり、活躍が期待されています。

◇ヒューム集塵機への注目

金属アーク溶接時に発生する「溶接ヒューム」は、溶接作業における健康上の課題となっています。

溶接ヒュームとは、アーク放電の熱によって溶かされた金属が蒸気となり、冷却されて細かな粒子に変化したものです。塩基性酸化マンガンや酸化鉄などの有害物質が含まれており、肺胞にまで達する可能性があります。

この問題に対処するため、厚生労働省は2021年の4月1日に、特定化学物質障害予防規則(特化則)を改正し、溶接ヒュームを特定化学物質(第2類物質)に追加しました。

この施行を受け、屋内で金属アーク溶接作業を行う事業者などから、ヒュームを捕集するヒューム集塵機が注目されるようになっています。

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◇コトヒラ工業株式会社

コトヒラ工業株式会社は、電気集塵機やヒューム集塵機の分野で推奨されるメーカーのひとつです。

ポータブル式溶接ヒュームコレクターは、省スペースで移動も容易なAC100V仕様で、5段階のスパッタ侵入対策により安全性が向上しています。

また、メンテナンスが容易な点も特徴で、衝突板の清掃やフィルタ交換は工具を使わずに行えます。

コンパクトなサイズにキャスター付きであるため、設置場所を選ばず、移動も簡単です。高い捕集率を誇る難燃性のフィルタを採用しているため、0.3μmの粒子を99%捕集できる性能を持っています。特定化学物質障害予防規則改正にも対応しています。

◇サンテクノ株式会社

サンテクノ株式会社は、環境保全に特化した工業用・産業用の大型電気集塵機を製造・販売している会社です。

サンテクノが提供する電気集塵機には、ハイブリッド湿式、サンテクノ式湿式、サンテクノ式乾式電気集塵機の3つのタイプがあり、利用環境や集塵したダストによってカスタマイズが可能です。

最大99.9%もの高い集塵率、ランニングコストの低さ、1台で多種多様なダストを集塵できる点が特徴です。

◇株式会社アコー

株式会社アコーは、粉粒体および環境関連の装置のメーカーで、集塵機だけでなく、混合装置や異物分離機などの機器を製造・販売しています。

アコーが誇る電気集塵機「スモッグホグ」は、静電気式の集塵方式で、煙状の微粒子を捕集・処理し、空気を浄化する装置です。

安定した風量でありながら、小電力で抑えることができます。油煙、 オイルミスト、 溶接、溶断、ヒューム、ゴム成型煙、プラスチック煙などの処理が可能です。

また、アコーの製品はすべてオーダーメイドです。仕様や材質については、顧客の求める性能やサイズ、処理するガスの種類などを選択できます。


集塵機とは、粉じんや煙などの大気汚染物質を除去する装置です。工場や事業場などでは、大気汚染防止法に基づき、排出基準を遵守するために集塵機の導入が義務付けられています。

集塵機には、大きく分けて「遠心力集塵機」「電気集塵機」「湿式集塵機」の3種類があります。

遠心力集塵機は、含塵ガスを円筒内に旋回させ、遠心力によって粉じんを分離する方式です。シンプルな構造でメンテナンスが容易なため、粉じんの多い環境や高温度環境でよく使用されます。

電気集塵機は、含塵ガスに電圧をかけて、粉じんに帯電させて集塵する方式です。微細な粉じんも捕集できるため、公害防止や環境対策に効果的です。

湿式集塵機は、含塵ガスに水や薬剤を吹き付けて、粉じんを捕集する方式です。有害物質を含んだ粉じんを捕集する場合に用いられます。

集塵機には、捕集できる粒子径の限界があります。そのため、集塵する対象物質の粒子径を事前に確認しておきましょう。

また、大気汚染防止法では、工場や事業場からの大気汚染物質の排出量に排出基準が定められています。集塵機を導入する際には、排出基準を満たす性能の集塵機を選ぶ必要があります。

さらに、集塵機は定期的にメンテナンスが必要です。メンテナンスが容易な集塵機を選ぶことで、運用コストを抑えることができます。

集塵機は、大気汚染防止や健康被害の防止に役立つ重要な装置です。導入を検討する際には、上記のポイントを参考にして、適切な集塵機を選びましょう。

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