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集塵機の吸引力を左右する要因と大型集塵機・小型集塵機の違い

公開:2024.03.22 更新:2024.12.23

集塵機の吸引力は様々な要因に左右されます。例えば、フィルターの状態やモーターの性能、吸込口の設計などがその影響を受けます。また、大型集塵機と小型集塵機では異なる特性があります。そのため、吸引力の最適化にはそれぞれの機種の特性を理解することが不可欠です。

集塵機の吸引力評価に重要な静圧と風量について

集塵機の性能評価には、静圧と風量が不可欠です。静圧は集塵機が粉塵を吸引する力を示し、風量は単位時間あたりに吸引できる空気の量を示します。以下で静圧と風量、また吸引圧力について解説します。

◇静圧と風量

集塵機の選択において重要なポイントは、「静圧」と「風量」です。これらは、集塵機の性能を示す指標であり、異なる特性を持っています。まず、「静圧」は、集塵機が空気中の塵や微粒子を吸引する際に生じる圧力を指します。この指標が高いほど、集塵機は異物を強力に吸引し、表面に付着した塵や微粒子を集めやすくなります。単位は「kPa」で示されます。


一方、「風量」は、集塵機が1分間に吸引または排気できる空気の量を示します。高い風量は、広い範囲の空気を効率的に動かし、浮遊している粉塵や軽い微粒子を収集するのに適しています。この指標の単位は「m3/min」です。


静圧と風量は反比例の関係にあります。つまり、静圧が高ければ風量は低く、逆もまた然りです。例えば、掃除機のホースを地面に密着させると静圧が高まりますが、その際に吸引される空気の量(風量)は減少します。換気扇のように風量を強調する場合、静圧は相対的に低くなります。


集塵機の選定においては、使用環境や集塵対象の種類を考慮し、静圧と風量のバランスを見極めることが重要です。例えば、床や壁に付着した塵を重点的に吸引する場合は静圧が重要ですが、広い空間に漂う浮遊粉塵を集める場合は風量が優先されます。

◇掃除機と集塵機の違い

掃除機と集塵機の違いから、吸引圧力と風量について解説します。吸引圧力について言えば、掃除機は強力な吸引力を持ち、すでに物や床に付着したゴミを引き離すことが主な目的です。吸引圧力は高いほど物を吸い上げる力が強まります。


対照的に、集塵機の吸引圧力はあまり強くなく、物を持ち上げるのではなく、空気中の舞っているゴミを吸い込むことが主な機能です。このため、吸引圧力が弱くても、軽いゴミを素早く吸い込むことが可能です。


風量については、掃除機は吸引圧力が優先され、物を引き寄せ、吸い上げる力として機能します。ヘッドのサイズは小さく、局所的なゴミ取りに向いています。一方、集塵機では風量が極めて重要で、舞い上がったゴミを空気とともに吸い込むことが求められます。


以上の違いから、掃除機は物や床に付着したゴミを強力に吸引し、一方の集塵機は空気中の軽いゴミを大きな風量で吸い込み、人体をゴミから守る役割を果たしています。

大型集塵機と小型集塵機の吸引力の違い

画像出典先:チコーエアーテック株式会社

大型集塵機と小型集塵機は、吸引力において異なる特性を持ちます。大型集塵機は、より強力なモーターや広い吸引口を備えており、広範囲の粉塵を効率的に吸引することができます。一方、小型集塵機はコンパクトでありながら搭載されたモーターの性能が優れており、狭いスペースや軽量な作業に適しています。

◇風量なら大型集塵機 吸引圧力なら小型集塵機

大型集塵機と小型集塵機の主な違いは、風量と吸引圧力にあります。大型集塵機は一般に風量が多い特徴がありますが、その代わりに吸引圧力は比較的低い傾向があります。これは、静圧が増加すると風量が低下し、逆に風量を増やすと静圧が減少する法則に基づいています。そのため、大型集塵機は風量を重視し、吸引圧力が重要な場合にはあまり適していません。


一方で、小型集塵機には風量型、高圧型、中圧型など複数のバリエーションが存在し、異なる吸引圧力を提供します。一部の小型集塵機は高圧型であり、強力な異物吸引力と大きな静圧を備えています。

これにより、複数のダクトに分岐させても吸引圧力が劣化しにくい特長があります。そのため、吸引圧力が必要な作業場合には、小型集塵機が適しています。これには、生産ライン内での異物の取り除きや粉塵を下から上に吸い上げる必要がある場合が含まれます。一方で、吸引圧力が不要な状況(例: 換気、切削、溶接など)では、大型集塵機が有益であると言えます。

◇その他の大型集塵機と小型集塵機の違い

ダクト配管工事に関して、大型集塵機は工場外に配置され、ダクトを複数の生産ラインに分岐させる必要があります。この方式は騒音や作業スペースの圧迫を減少させる一方で、高額な工事費用がかかります。


一方、小型集塵機は各ラインに設置され、ダクトの配管工事が不要です。集塵機が到着すれば即座に使用可能ですが、工場内のスペースを占有する可能性があります。

次に、微調整の難易度に関して、大型集塵機では配置の変更が難しく、ダクト工事が必要なため、将来的な変更には手間がかかります。また、製造ラインごとの風量微調整も操作が限られ、細かい微調整が難しいです。

対照的に、小型集塵機はキャスターにより簡単に移動でき、配置変更が容易です。また、集塵機本体から風量の調整が可能で、ラインごとの微調整が簡単に行えます。

大型集塵機は外部配置や騒音対策に優れる一方で、微調整が難しく、配置変更が制約されるという特徴があります。一方、小型集塵機は設置が容易で、スペースの柔軟な利用が可能ですが、外部配置や騒音対策にはやや制約があるといえます。

集塵機の吸引力低下の原因と対処法

集塵機の吸引力が低下する主な原因は、フィルターの詰まりやホース、ノズルの詰まり、モーターの故障、異物の混入などです。以下で原因と対処法について詳しく解説します。

◇集塵機の吸引力低下の原因と対処法

集塵機の吸引力低下は、通常、異なる作業や業種で発生する可能性があります。例えば、建設現場や製造工場などの産業環境では、さまざまな種類や量の粉塵が発生し、これらが集塵機のファンのインペラーやダンパーに付着することで風量が減少し、吸引力が低下します。木材加工では木くずが、金属加工では金属粉塵が問題となります。


また、作業環境の清掃頻度も重要です。定期的な清掃が行われない場合、フィルターやファンの部分に蓄積された粉塵が問題を引き起こし、清掃頻度は作業環境や粉塵の発生状況に応じて適切に設定されるべきです。


さらに、フィルターの種類と管理も考慮すべきです。目詰まりが発生すると、風量が制限されて吸引力が低下します。作業に適したフィルターを使用し、定期的なメンテナンスや交換が必要です。例えば、微細な粉塵を扱う場合には高効率のHEPAフィルターが必要です。同様に、パッキンや配管の点検とメンテナンスも重要です。これらの部分が損傷すると吸引が不十分になります。

◇集塵機の吸引力低下を防ぐメンテナンス

集塵機の性能低下は、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。特に、「吸引力の低下(集塵能力の低下)」に対処するためには以下のポイントが重要です。まず、差圧計を設置し、その測定値を管理します。

日々の差圧の変化を確認し、異常があれば対策を講じます。差圧が上昇する場合は、フィルターが目詰まりしている可能性が高いため、フィルターの清掃や交換が必要です。


次に、定期的にフィルターやファン、吸込配管内に付着した異物を点検します。これらの部分が汚れや異物によって覆われると、吸引力が低下します。必要に応じて清掃やメンテナンスを行います。


配管に損傷やゆるみがないかも確認し、問題があれば修復します。配管の問題があると吸引力が低下する可能性があります。また、集塵機の吸引ブロワーには、異物の付着や堆積を点検できるようにダンパーの前後どちらかに点検口を設置します。これによって、問題が早期に発見でき、適切な対策を講じることができます。


集塵機の性能評価には、静圧と風量が重要な要素です。静圧は集塵機が粉塵を吸引する力を示し、風量は単位時間あたりに吸引できる空気の量を示します。これらの要素は集塵機を選択する際の決定的な要因であり、大型集塵機は風量が多く、一方で小型集塵機は吸引圧力が強い傾向があります。

また、集塵機の吸引力低下の原因はフィルターの詰まりや異物の混入などです。定期的な点検とメンテナンスが必要です。吸引力低下を防ぐためには、差圧計の設置や定期的なフィルター清掃が重要です。これらの対策を講じることで、集塵機の性能を維持し、効率的な粉塵や異物の吸引を実現できます。

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