大型集塵機にはインバーターを搭載した方がよい?効果や注意点を解説
公開:2024.09.25 更新:2024.12.23
インバーターは電圧や周波数を調整し、集塵機の運転を最適化して省エネ効果を発揮。騒音低減や長期的コスト削減に貢献します。アマノやアコーの集塵機施工事例では、特殊環境での効率的運転が実証されています。
目次
集塵機にも搭載されるインバーターとは
インバーターは電気の周波数や電圧を調整し、モーターの回転数を変えることで機器の動作を制御する装置です。集塵機に搭載することで、エネルギー効率を向上させ、粉塵量に応じた運転が可能になります。一方、ダンパーは物理的に風量を調整し、シンプルな構造が特徴ですが、インバーターは運転効率を最適化します。
◇インバーターとは
インバーターは、電気の周波数や電圧を調整し、機器の動作を細かく制御する装置です。集塵機では、モーターの回転数を自在に変えることができ、風量や運転速度を調整します。これにより、排気ガスや粉塵を効果的に除去し、エネルギーの無駄を削減できます。
インバーターは、電力を一度直流電流に変換し、その後再び交流電流に戻しながら周波数や電圧を調整します。この仕組みにより、モーターの柔軟な制御が可能となり、効率的な運転を実現します。集塵機にインバーターを搭載すると、粉塵量に応じて低回転で動作させるなど、状況に応じた対応ができます。
さらに、インバーターは急激な負荷を避けることで、モーターや他の部品の寿命を延ばす効果もあります。
◇ダンパーとの違い
インバーターとダンパーは、空気の流量を調整するためによく比較される装置です。ダンパーは、空調や集塵機で風量を制御するために使用され、空気の通り道に設置された羽根や板を開閉することで風量を調整します。主に粉塵や排気ガスの流量調整に利用されます。
一方、インバーターは電気的にモーターの回転数を調整し、機器全体の動作を制御します。風量を調整する目的は同じでも、操作方法や効果に違いがあります。ダンパーは物理的な風量制御を行いますが、インバーターは運転効率の最適化を担います。
インバーターを使うことで、モーターの回転数やエネルギー消費も調整できるため、長期的な省エネやコスト削減が可能です。対照的に、ダンパーはシンプルな仕組みで初期投資やメンテナンスが少ないというメリットがあります。
集塵機にインバーターを搭載するメリット
インバーターを搭載した集塵機のメリットは、消費電力を抑え、エネルギー効率が向上することです。運転状況に応じて風量を調整し、無駄な運転を減らすことで光熱費を削減し、機器寿命も延ばせます。一方、初期コストの増加や定期的なメンテナンスが必要になるデメリットもあります。
◇メリット
インバーターを搭載した集塵機の最大のメリットは、消費電力を大幅に抑えられることです。モーターの回転速度を細かく調整でき、必要なときに必要なだけエネルギーを使用します。集塵機が稼働する時間帯や粉塵量に応じて風量を調節し、余分な電力を使わずに済むのです。
また、インバーターは機器の動作を細かく調整できるため、無駄な運転を減らし、エネルギー効率を向上させます。その結果、光熱費の削減が期待でき、モーターの急激な負荷を抑えることで、機器全体の寿命も延びます。これは長期的な運用においても大きな利点です。
◇デメリット
インバーターを搭載することで発生するデメリットもあります。その一つが初期コストの増加です。一般的な集塵機に比べ、インバーター導入には追加費用がかかり、ある企業では約50万円の費用が必要でした。これは小規模な施設にとって大きな投資となり得ます。
さらに、インバーターの運用には定期的なメンテナンスが必要です。精密な電子機器であるため、誤った設定や運用によってトラブルが発生する可能性があります。専門的な知識を持つスタッフによるメンテナンスが欠かせず、特にコンデンサー部分は劣化しやすく、定期的な点検や交換が求められます。
インバーターを搭載できる大型集塵機
株式会社アマノの「パルスジェット集塵機 CT」は、高耐圧性と多機能性を持ち、30kPaに耐えられ、長距離集塵にも最適です。インバーター制御でエネルギー効率を最適化し、高温排気にも対応。アコー株式会社の「ウェットスクラバー」は、有害物質の効率的な集塵が可能で、風量を維持しながらコスト削減ができます。両者は特殊環境にも対応し、安全性が高い集塵機です。
◇株式会社アマノ|パルスジェット集塵機 CT
株式会社アマノが提供する「パルスジェット集塵機 CT」は、大型集塵機の中でも特に高い耐圧性と多機能性が特徴です。本体は30kPaの高圧環境に耐え、セントラルクリーニングや長距離集塵にも適しています。ブロワーモーターを搭載し、吸引源として機能することで、集塵効果を向上させています。
さらに、この集塵機にはインバーター制御部を搭載でき、エネルギー効率を最適化した運転が可能です。モーターの回転速度を稼働状況に応じて制御し、無駄な電力を削減します。また、高温排気ガスに対応可能なフィルターを備え、幅広い産業用途に対応する柔軟性も持ち合わせています。
この製品は、粉塵回収やクリーニングなど多様な業務において活用が期待されます。
◇アコー株式会社|ウェットスクラバー
アコー株式会社が提供する「ウェットスクラバー」は、特殊なガスや有害物質を含む排気の集塵に特化した大型集塵機です。フィルターやデミスターを使用せずに効率的に集塵でき、ガスが水を巻き上げて内部で粉塵を捕集する仕組みが特徴です。
このシステムは風量の低下を防ぎつつ安定した集塵効果を発揮し、インバーターの搭載で風量を自動制御して運転コストを削減可能です。また、酸性ガスや高温排ガスなど、通常の集塵機では難しい特殊環境にも適応します。
さらに、水を使用することで火災や爆発のリスクを最小限に抑え、安全性が高いという利点も備えています。
事例から見るインバーター付き集塵機の効果
株式会社アコーの「ウェットスクラバー」を導入した金属処理工場では、騒音が改善され、インバーターによる風量制御でファンの音を低減しました。また、別の製造工場では、インバーター導入により集塵機の稼働を最適化し、年65,000kWhの電力を節約しています。
◇騒音の改善に役立った事例
株式会社アコーの「ウェットスクラバー」を導入した金属処理工場では、騒音問題が深刻化していました。従来の湿式集塵機はファンの動作音が大きく、作業環境の改善が求められていたため、アコーは「ダブルスクラバー」を提案し、インバーターによる風量制御を導入しました。
インバーターの搭載により、ファンの回転数を調整して必要な吸引量を確保しつつ、騒音を低減することに成功しました。その結果、作業環境が大幅に改善され、白煙の排出も目視で確認できないレベルにまで抑えられました。
これにより、工場の作業効率が向上し、安全性と周辺環境への配慮が強化されました。
◇省電力化を実現した事例
インバーター付きの大型集塵機は、省電力化に大きな効果を発揮します。ある製造工場では、集塵作業中に常に最大出力で運転していたため、不要な電力が大量に消費されていました。
そこで工場はインバーターを導入し、集塵機の風量を細かく調整することで、必要な吸引量に応じた運転を実現しました。これにより、年間65,000kWhの電力が節約され、製品の品質向上にもつながりました。
さらに、設備の寿命が延び、長期的なコスト削減にも貢献しています。インバーター付き集塵機は、騒音対策や省電力化の課題解決に役立つため、さらなる効率化を目指す価値があります。
インバーターは、電気の周波数や電圧を調整して機器の動作を制御し、集塵機に搭載することでエネルギー効率を向上させます。インバーターはモーターの回転数を変え、粉塵量に応じた運転が可能です。
一方、ダンパーは風量を物理的に調整する装置で、シンプルな構造を持ちますが、インバーターは運転効率を最適化し、エネルギー消費を抑えつつ機器の寿命も延ばします。
インバーターは初期コストが高く、定期的なメンテナンスが必要ですが、長期的には省エネ効果とコスト削減につながります。例えば、アマノのパルスジェット集塵機やアコーのウェットスクラバーは、インバーター制御により効率的な集塵が可能で、特殊な環境でも対応力を発揮します。
また、騒音の低減や年間数万kWhの電力節約も実現しており、インバーター搭載集塵機の導入は大きなメリットがあります。