ミストコレクターで粉塵を回収できる?集塵機との違いを解説
公開:2024.09.25 更新:2024.12.23
ミストコレクターは、金属加工や機械加工で発生する液体ミストを捕集し、作業環境を清浄に保つ装置です。主にフィルター式、遠心分離式、電気集塵式があり、作業者の健康を保護します。アコーやアマノ、赤松電機などの製品は、高効率で安全性の高い捕集を実現しています。
目次
ミストコレクターと集塵機はどう違う?
ミストコレクターは、金属加工や機械加工で発生する微細な液体ミストを捕集し、作業環境を清浄に保つ装置です。フィルター式、遠心分離式、電気集塵式の3種類があります。集塵機との違いは、ミストコレクターが液体を捕集するのに対し、集塵機は固体の粉塵を捕集します。
◇ミストコレクターとは
ミストコレクターは、金属加工や機械加工で発生する微細な液体ミストや粒子を捕集する装置です。これにより、作業環境から有害なミストや煙を取り除き、作業者の健康を保護します。
ミストコレクターには主に三つのタイプがあります。フィルター式は液体ミストをフィルターで捕集し、清浄な空気を排出します。多層フィルターや静電気フィルターが一般的です。
遠心分離式は、高速回転するシステムを利用してミストを分離し、高い効率で液体を集めます。また、電気集塵式は、電気的に荷電した粒子を収集することで、効果的にミストを取り除き、高い捕集効率を実現しています。
◇集塵機との違い
集塵機は、粉塵やチップといった固体粒子を捕集する装置で、製造業や加工業で広く利用されています。ミストコレクターとの違いは、主に捕集対象にあります。ミストコレクターは液体ミストや粒子を捕集しますが、集塵機は固体の粉塵やチップを対象としています。
また、フィルターの種類も異なります。ミストコレクターは液体を通過させるためのメッシュフィルターや遠心分離式フィルターを使用しますが、集塵機は布フィルターやサイクロンフィルターを用いています。
用途においても、ミストコレクターは加工機に、集塵機は加工場や作業場に設置されることが一般的です。
ミストコレクターで粉塵を回収できる?
ミストコレクターは微細な粉塵を回収できますが、主に液体ミストの捕集を目的としているため、限界があります。粉塵が多量に発生する場合は目詰まりのリスクが高まり、フィルターの効率が低下します。粉塵回収には集塵機の使用が推奨され、ミストコレクターと併用することで効率的な清掃が可能です。
◇可能だが注意が必要
ミストコレクターは粉塵を一定量回収できますが、特に微細な粉塵や少量の場合に効果を発揮します。ただし、主に液体ミストの捕集を目的としているため、粉塵の特性や量に応じて限界があります。粉塵の回収には注意が必要です。
粉塵が大量に発生したり、粒子が大きかったりする場合、ミストコレクターのフィルターが目詰まりしやすくなります。目詰まりが起こるとフィルターの効率が低下し、全体の性能にも影響します。さらに、頻繁なメンテナンスやフィルター交換が必要になる点もデメリットです。
◇使い分けを推奨
粉塵の回収を主な目的とする場合、専用の集塵機を使用することが推奨されます。集塵機は粉塵やチップの捕集に特化しており、粉塵の大きさや量に対応できる高い効率を持っています。
一方、ミストコレクターは液体ミストの処理に最適化されています。そのため、粉塵の捕集には限界があります。粉塵と液体ミストが同時に発生する作業環境では、両者を併用することで効果的な清掃が可能になります。適切な機器を選ぶことが重要です。
オイルミスト回収に対応可能な大型・中型集塵機
株式会社アコーのウェットスクラバーは、水を用いて高効率でミストを捕集し、安全性が高い集塵機です。アマノのセルフクリーニング電気集塵式ミストコレクターは99.95%の捕集効率を持ち、メンテナンスが簡単です。赤松電機のスマートミストゼロは、遠心分離機能により微細ミストを99%以上捕集します。
◇ウェットスクラバー
株式会社アコーのウェットスクラバーは、シンプルな構造ながら高い集塵効率を誇る集塵機です。水を使ってミストを捕集するため、爆発や火災のリスクがなく、安全性が高いのが特徴です。また、フィルターやデミスターがないため、風量の低下を防ぎ、安定した運転が可能です。
ウェットスクラバーには、シングルとダブルの二つのタイプがあります。シングルスクラバーは、8μmの大きめの粒子を100%捕集できますが、ダブルスクラバーは1μmの細かい粒子も99%捕集でき、より高精度な処理が実現します。
◇セルフクリーニング電気集塵式ミストコレクター EM-SC
アマノ株式会社の集塵機は、セルフクリーニング機能を備えており、特別な電極を使ってミストを捕集します。この電極は自動的にクリーニングされるため、水や洗剤を使わずに効率的に清掃でき、頻繁なメンテナンスが不要です。
さらに、捕集効率は非常に高く、99.95%の精度でミストを取り除くことができます。高濃度のミスト(200mg/m³)にも対応しており、水溶性のミストの処理にも適しています。
◇スマートミストゼロ
赤松電機製作所のスマートミストゼロは、強力な遠心分離機能を備えた集塵機です。この装置は、高速回転する「ロータリーマジック」機構を使って、オイルミストや粗い汚れを効率よく分離します。微細なミスト(1μm以上)も99%以上捕集できるため、精度の高い処理が可能です。
さらに、装置には自浄作用があり、ミストが付着しても遠心力で弾き飛ばします。そのため、長時間にわたり高い捕集性能を維持し、メンテナンスも簡単に行えます。正面の扉を開けるだけで、主要部分の点検や清掃が可能です。
オイルミスト回収で作業環境を改善
アコーのウェットスクラバー導入により、従来の湿式集塵機の頻繁な清掃が不要になり、排気口の黒い粉塵も消失しました。また、川重テクノロジーのミストリーナーによって、金属加工現場のオイルミストを効率的に回収し、作業環境が改善されました。作業者はマスクなしで快適に作業できるようになりました。
◇オイルミストや解決した事例
従来の充填塔タイプの湿式集塵機からアコーの「ウェットスクラバー」に切り替えた事例では、導入前に頻繁な内部清掃が必要で、メンテナンスが非常に大変でした。部品を外して清掃していたため、集塵能力も低下し、排気口から黒い粉塵が見えていたのです。
ウェットスクラバーを導入した結果、メンテナンスが容易になり、排気口からの黒い粉塵も見られなくなりました。また、装置は設置スペースに合わせて設計されており、運用の効率性も向上しました。
◇金属加工で生じるオイルミストを回収した事例
川重テクノロジーの「ミストリーナー」を導入する前、工場では金属加工中に加工機からオイルミストが漏れ出しており、作業環境が濁って視界が悪化していました。この状況では作業がしづらく、効率が低下していました。
「ミストリーナー」を導入した結果、部屋の視界がクリアになり、1か月間メンテナンスが不要な快適な状態を維持できるようになりました。さらに、追加で13台を設置したことで、作業者はマスクなしで作業できるほど職場環境が大幅に改善しました。
ミストコレクターは金属加工や機械加工で発生する微細な液体ミストを捕集し、作業環境を清浄に保つ装置です。フィルター式、遠心分離式、電気集塵式の3種類があり、液体を捕集するのに対し、集塵機は固体の粉塵を捕集します。
ミストコレクターは有害なミストや煙を取り除くことで作業者の健康を保護します。フィルター式は液体ミストを捕集し、遠心分離式は高速回転で液体を分離、電気集塵式は電気的に荷電した粒子を収集することが特徴です。
一方、集塵機は粉塵やチップなどの固体粒子を捕集します。フィルターの種類も異なり、ミストコレクターは液体を通過させるメッシュフィルターを使用しますが、集塵機は布フィルターやサイクロンフィルターを使います。用途に応じてミストコレクターは加工機に、集塵機は加工場に設置されるのが一般的です。
ミストコレクターは微細な粉塵も回収できますが、液体ミスト捕集が主目的です。そのため、粉塵が多量に発生すると目詰まりのリスクが高まり、フィルター効率が低下します。粉塵回収には集塵機を併用することが推奨され、効率的な清掃が可能です。
アコーのウェットスクラバーは水を用いて高効率でミストを捕集し、爆発や火災のリスクが低い安全性の高い集塵機です。アマノのセルフクリーニング電気集塵式ミストコレクターは99.95%の捕集効率を持ち、メンテナンスが簡単です。赤松電機のスマートミストゼロは遠心分離機能により微細ミストを99%以上捕集します。
アコーのウェットスクラバーの導入により、従来の湿式集塵機では頻繁な清掃が必要でしたが、メンテナンスが容易になり、排気口の黒い粉塵も消失しました。川重テクノロジーの「ミストリーナー」を導入した工場では、作業環境が改善され、作業者はマスクなしで快適に作業できるようになりました。