大型集塵機のフィルターは水洗いできる?
公開:2024.07.22 更新:2024.12.23
大型集塵機のフィルターのなかには、水洗いが可能なタイプも存在します。しかし、繰り返しの洗浄による素材の破損や粉塵漏れのリスクがあります。工場や作業場で発生する微細な粉塵を効率的に捕集するためには、定期的なフィルターメンテナンスが欠かせません。このようなメンテナンスの手間を軽減するために、フィルターレスの集塵機を選ぶのも手です。メンテナンスの手間とコスト削減するうえに、作業効率の向上にも寄与します。
目次
フィルターが必要な集塵機と水洗いの可否
大型集塵機は、製造現場の空気を綺麗に保つための重要な機器です。以下では、フィルター仕様の集塵機(バグフィルター)の特徴とそのメンテナンス方法について解説します。
◇バグフィルター
バグフィルターは、工場や作業場などで発生する微細な粉塵を効率的に捕集するために使用されるフィルターです。このタイプのフィルターは、布や不織布で作られており、フィルター表面に粉塵が付着して集塵されます。
バグフィルターは通常、袋状のフィルターを複数個取り付けた構造をしており、空気がフィルターを通過する際に粉塵が捕集されます。フィルターの目詰まりを防ぐために、定期的なメンテナンスが必要です。
◇水洗いできるかは製品による
バグフィルターの水洗いが可能かどうかは、製品の仕様によります。一部のバグフィルターは水洗いに対応しており、洗浄することで再利用が可能です。しかし、水洗いに対応していないフィルターも存在し、その場合は交換が必要です。
水洗いに対応しているフィルターでも、洗浄回数に制限があるものもあるため、製品の取扱説明書やメーカーの指示に従うことが重要になります。
フィルターを水洗いするリスク
集塵機で使用するフィルターは、定期的なメンテナンス(水洗いや交換)が必要です。以下で、フィルターを水洗いすることによって生じる可能性のあるリスクを解説します。
◇フィルターの破損
フィルターは繰り返し水洗いをすることで、フィルターの素材や構造にダメージが生じる可能性が高いのが問題点です。長期間使用しているフィルターは、経年劣化により素材が脆くなっていることが多く、水洗いによってさらに耐久性が低下するリスクがあります。
特に高圧の水流や過度の摩擦をかけると、フィルターの素材がさらに劣化することがあります。また、フィルターの布や不織布の繊維が水流により切断されると、フィルターの目が粗くなり、捕集効率が低下する可能性がある点もデメリットです。
◇粉塵漏れ
水洗いによってフィルターの目詰まりを解消できる一方で、水流や摩擦によって繊維が傷つき、破損するリスクもあります。この破損によって生じるリスクが粉塵漏れです。
粉塵漏れは作業環境の空気質を悪化させ、作業者の健康に悪影響を及ぼすことがあります。特に、微細な粉塵は呼吸器系に深刻なダメージを与えることがあるため、注意が必要です。
さらに、粉塵が集塵機の内部や他の機械に侵入すると、機械の故障や性能低下の原因となり、修理や交換にかかるコストが増加する可能性があります。
集塵機のフィルター水洗いを抑える方法
集塵機のメンテナンスにおいて、フィルターの水洗いは手間とリスクが伴います。これを軽減するためには、適切な集塵機の選定やフィルターの選択が重要です。
◇フィルターレスの集塵機を導入
フィルターの水洗いを抑える最も効果的な方法のひとつは、フィルターレスの集塵機を導入することです。フィルターレスの集塵機には、スクラバー方式や静電集塵方式などがあります。
アコーのウェットスクラバー
アコーのウェットスクラバーは、フィルターレスの湿式集塵機です。湿式集塵機は、粉塵を含んだ空気を水に通過させて、粉塵を水滴に捕捉させる方式です。
水と混ざった粉塵は液体と一緒に排出されます。水を使用しているため、火災や爆発などのリスクが生じないのがメリットです。
アマノの電気集塵式ミストコレクター
電気集塵式ミストコレクターは、静電集塵方式の集塵機です。静電集塵方式は、電気的な力を利用して粉塵を集めるため、フィルターを使用しません。アマノの電気集塵式ミストコレクターは、一般的なダストやミストだけでなく、油性・水溶性ミストにも対応しています。
◇長寿命のフィルターを選定
長寿命のフィルターを選定することも、効果的な方法のひとつです。高品質で耐久性のあるフィルターは、頻繁な交換や水洗いの必要性を減少させます。長寿命フィルターは、特殊な素材やコーティングが施されており、通常のフィルターに比べて耐久性が高く、目詰まりしにくいのが特徴です。
フィルターレスの集塵機でコストと手間を軽減
フィルターレスの集塵機の大きなメリットは、コスト軽減と手間の軽減の2つです。この2つの利点について、以下で詳しく説明します。
◇コストの軽減
フィルター仕様の集塵機では、フィルターの交換が定期的に必要となり、そのたびに新しいフィルターを購入しなければなりません。
一方、フィルターレスの集塵機は、交換用フィルターの購入や使用済みフィルターの処分といった費用がかからないため、運用コストを大幅に軽減できます。
使用済みのフィルターは産業廃棄物として適切に処分する必要があり、その処分費用も無視できないコストです。
◇手間の軽減
フィルター付きの集塵機は、フィルターの塵落としや洗浄が定期的に必要な点がデメリットです。この作業を自社で行う場合、時間と労力を要し、特に大規模な施設ではかなりの手間となります。
フィルターレスの集塵機では、フィルターの塵落としや洗浄の必要がありません。そのため、長期的な運用コストとメンテナンスの労力を大幅に削減でき、効率的かつ経済的な選択肢となります。
フィルター仕様の集塵機では、水洗いが可能なフィルターも存在します。ただし、すべてのフィルターが水洗いに対応しているわけではなく、洗浄が許可されているフィルターでも洗浄回数には制限があるため、メーカーの指示に従うことが重要です。
水洗い可能なフィルターにおいても、リスクも伴います。繰り返しの水洗いはフィルターの素材や構造にダメージを与え、耐久性を低下させる可能性があります。また、水流や摩擦による繊維の切断はフィルターの目を粗くし、捕集効率の低下を招く恐れがあります。
さらに、フィルターの破損による粉塵漏れは、作業環境の空気質を悪化させ、作業者の健康にも悪影響を与える可能性があります。
これらの問題を避けるためには、フィルターレスの集塵機の導入が有効です。フィルターレスの集塵機には、湿式や静電集塵方式などがあり、これらはフィルターの交換や洗浄が不要で、運用コストとメンテナンスの手間を大幅に削減できます。
例えば、アコーのウェットスクラバーは水を使って粉塵を捕捉し、アマノの電気集塵式ミストコレクターは電気的な力を利用して粉塵を集めます。これらのシステムは、フィルター交換の必要がなく、産業廃棄物としてのフィルター処分の費用も削減できるため、経済的かつ効率的な選択肢となります。