集塵機フィルターの選定は、材質によって性能や耐久性が大きく左右されます。そのため、集塵機のフィルター選定では、メーカーとの相談が重要です。
ポリエステルは-40℃から150℃まで耐える耐久性があり、ポリプロピレンは軽量で化学薬品に強い特性を持ち、ナイロンは-40℃から120℃の範囲で高い耐摩耗性と引張強度を発揮します。
フィルターの形状や生地、原糸、織り方も性能に影響を与え、適切な選定が集塵効率とフィルター寿命を向上させるために重要です。フィルター選定は環境や用途に応じて総合的に判断することが求められ、集塵機メーカーとの相談も有効です。
目次
集塵機フィルターの役割と効果

集塵機のフィルターは、粉塵や異物を除去し、クリーンな空気を排出するための重要な部品です。工場や作業現場では、多くの粉塵が発生するため、フィルターの役割が欠かせません。特に、複数のフィルターを設置することで、効率的に粉塵を捕集し、集塵機の性能を維持することができます。
◇フィルターの役割
集塵機のフィルターは何種類ものフィルターが設けられている場合があり、それぞれに異なる役割を持ちます。それぞれのフィルターの役割については、以下の通りです。
1次フィルター
一次フィルター(プレフィルター・粗じんフィルター)は、集塵機に吸い込まれた粉塵のうち、粒径が5μm以上の比較的大きなダストを捕集・除去するためのフィルターです。このフィルターは、最初の段階で粉塵を捕らえ、一か所にまとめる役割を果たします。
一次フィルターは基本的に使い捨て可能であり、交換が容易な点が特徴です。一次フィルターによって大きな粉塵を取り除くことで、後段の二次フィルターや排気フィルターが目詰まりしにくくなり、集塵機全体の効率が向上します。適切に機能させるためには、定期的な清掃や交換が必要です。
2次フィルター
二次フィルター(セカンダリーフィルター)は、一次フィルターで取り切れなかった粒径5μm以下の微細な粉塵を捕集し、集塵機の性能を維持する役割を担います。特に、ブロア(風を吸い込む機械)内に設置されることで、粉塵がブロアに入り込むのを防ぐことが可能です。ブロアは高速回転するため、硬い粉塵が混入すると損傷の原因となることがあります。そのため、二次フィルターはブロアを保護し、集塵機の耐久性を高める重要な役割を果たします。さらに、活性炭を使用した「チャコールフィルター」が採用されることもあり、有害なガスや臭気を除去する効果も期待できるでしょう。二次フィルターは、集塵機を安定して運用し、効率よく機能させるために欠かせないフィルターです。
排気フィルター
排気フィルターは、集塵機が吸い込んだ粉塵を外部に排出するのを防ぐために設置されます。特に微細な粉塵は肉眼では見えないため、適切に捕集しないと周囲の環境汚染に繋がりかねません。
また、集塵機の構造によっては、粉塵が巻き上げられて排出される可能性があるため、内部に排気フィルターを設置して対策を行うこともあります。一次フィルターや二次フィルターとは別に排気フィルターを取り付けることで、より高い集塵性能を発揮することが可能です。
◇いくつものフィルターを設置する理由
集塵機において、複数のフィルターを設置する理由は主に吸引力の低下を防ぎ、運用コストを削減するためです。
吸引力の維持
集塵機の主な役割は粉塵やごみを吸引し、フィルターで取り除くことですが、フィルターが詰まると吸引力が低下し、効率が悪化します。この問題を防ぐために、複数のフィルターを段階的に使用します。1次フィルターで粗い粉塵を取り除き、2次フィルターで細かい粉塵を捕集することで、後のフィルターが目詰まりしにくくなり、吸引力を維持できます。
ランニングコストの削減
複数フィルターを使用することで、ランニングコストを抑えることが可能です。1次フィルターは安価で使い捨て可能なので、交換が簡単で経済的です。一方、2次フィルターや排気フィルターは高品質で耐久性があり、交換頻度が少ないため、長期的にコスト削減が期待できます。一つの高性能フィルターを頻繁に交換するよりも、段階的なフィルター設計を採用する方が、吸引力を保ちながらコストも節約できる仕組みです。
主な集塵機フィルターの材質

フィルター材質の選定は、集塵機の性能や使用環境に大きく影響するため、各材質の特性を理解することが重要です。以下では、代表的なフィルター材質とその使用目安温度について説明します。
◇ポリエステル
耐久性と化学薬品への耐性が優れている素材です。高い引張強度と耐摩耗性もあり、業種を問わず幅広い用途で使用されます。使用目安温度は通常-40℃から150℃までです。
◇ポリプロピレン
軽量で耐化学薬品性が高く、コストパフォーマンスに優れている素材です。耐熱性に優れ、酸やアルカリなどの腐食性物質に対する耐性もあります。使用目安温度は-10℃から100℃までで、食品加工や化学工業などの分野で広く利用されています。
◇ナイロン
非常に高い耐摩耗性と引張強度を持つ素材です。さらに、柔軟性があり、細かい粉塵の捕集にも適しています。使用目安温度は-40℃から120℃までで、さまざまな産業における高性能フィルターとして使用されています。
◇その他
その他の素材として、芳香族ポリアミドやガラス繊維などの合成繊維も使われます。
・芳香族ポリアミド
非常に高い耐熱性と耐薬品性を持つ素材で、化学工場などの特殊な環境での使用に適しています。
・ガラス繊維
非常に高い耐熱性と化学薬品耐性を持ち、厳しい環境下でも性能を維持できる素材です。使用目安温度は-60℃から260℃以上で、高温集塵や腐食性の高い環境での使用に最適です。
材質以外の要素も影響

大型集塵機のフィルター性能は、材質だけでなく形状、生地、原糸、織り方などの要素にも大きく影響されます。これらの要素を適切に選定することで、集塵効率や耐久性が向上し、フィルターの寿命を延ばすことができます。
◇形状
フィルターの形状は、集塵機の性能に直接的な影響を与えます。代表的な形状として挙げられるのは、円筒形、プリーツ形、フラット形などです。
プリーツ形フィルターは表面積が広く、より多くの粉塵を捕捉できるため、高効率な集塵が可能です。形状の選定は、設置スペースや集塵対象の特性に応じて行う必要があります。
◇生地
フィルターの生地が与える主な影響は、微細な粉塵を捕捉する能力や通気性です。生地には、ニードルフェルトや織布などがあり、それぞれに特性があります。
ニードルフェルトは高い捕捉性能を持ち、微細な粉塵にも対応できます。一方、織布は通気性が良く、低圧損で運転できるのが利点です。
◇原糸
フィルターの原糸は、その強度や耐久性に関わります。高強度の原糸を使用することで、フィルターの寿命を延ばすことが可能です。原糸の選定は、フィルターの用途や要求される性能に応じて慎重に行うことが重要です。
◇織り方
フィルターの織り方も、性能に大きな影響を与えます。一般的な織り方には、平織り、綾織り、朱子織りなどがあります。
・平織り
経糸と緯糸を1本ずつ組み合わせる織り方です。糸が交差している部分が多いため、丈夫で摩擦にも強いのが特徴です。そのため、高圧用のフィルターに多く見られます。ただし、緻密であることから、目詰まりがしやすいのが難点です。
・綾織り
経糸と緯糸を2本ずつ組み合わせる織り方です。一般的なフィルターはもちろん、厚手の生地にも用いられます。平織よりも高密度となるため、ろ過用フィルターなどに適しています。
・朱子織り
経糸と偉糸のいずれかを長く表面に現す織り方で、サテン織りとも呼ばれます。ダストがはがれやすく目詰まりしにくい反面、隙間が大きいため捕捉性が下がる可能性があります。
フィルターを選ぶときのポイント

適切なフィルター選定は、集塵効率の向上やメンテナンスの手間を軽減するために非常に重要です。以下では、フィルターを選ぶ際のポイントについて説明します。
◇総合的に判断
フィルターを選ぶ際には、単一の要素だけでなく、さまざまな視点から総合的に判断することが必要です。集塵機が使用される環境の温度や湿度、粉塵の種類や量など、使用環境によって最適なフィルターの選定が異なります。
例えば、フィルターが使用される環境の温度、湿度、粉塵の種類や量といった使用環境によっても最適なフィルターの材質の耐久性や耐薬品性、形状や構造、ろ過速度などが変わります。
また、初期コストだけでなく、フィルターの寿命やメンテナンスコストも考慮しなければなりません。長期的な運用を見越した場合、交換頻度が少なく済む高耐久性のフィルターを選ぶことで、結果的にコストパフォーマンスが向上するでしょう。
◇集塵機メーカーに相談
フィルター選定の際には、集塵機メーカーに相談するのも有効な方法です。メーカーは多くのフィルターを取り扱っており、さまざまな環境や条件での適用事例を知っているからです。
一部のメーカーは、特定の環境や条件に合わせたカスタマイズフィルターを提供しています。また、最新のフィルター技術や製品情報を持っており、新しい技術や製品を適用することで、より高性能な集塵を実現できます。
フィルターの交換時期の目安
フィルターの交換時期は、集塵物の種類や使用時間、環境によって異なりますが、一般的には取扱説明書に記載された交換時期を目安にすると良いでしょう。通常、1〜3年ごとの交換が推奨されています。ただし、使用状況によっては早めに目詰まりを起こすこともあるため、定期的に点検して確認することが大切です。
フィルターを長期間交換せずに使い続けると、粉塵がフィルター内に蓄積し、目詰まりが進みます。これにより吸引力が低下し、集塵機の効率が悪化します。最悪の場合、フィルターが破損し、粉塵が漏れ出してブロアに入り込むことで故障を引き起こすこともあります。
風量が低下したり、払い落とし機能を使っても効果が感じられない場合は、フィルターの寿命が来ているサインです。その場合は、新しいフィルターに交換する必要があります。
フィルターの見直しで効率がアップした事例

既存のフィルターから新しいフィルターに変更することで、集塵効率が向上した事例をご紹介します。
◇フィルターの目詰まりを解消した事例
クーラー用フィルターの頻繁な目詰まりを解消した事例です。既存のフィルターは頻繁に目詰まりを起こし、撥水性の高い素材を使用してもその効果が短期間で失われるという課題がありました。
解決策として、フィルターの表面にフッ素樹脂をコーティングし、撥水性能の持続性を高める新しい素材に変更しました。この改善により、目詰まりが減少し、フィルターの寿命も大幅に延びました。
◇極小粒子の回収を成功させた事例
フィルターからの極小粒子の漏れを改善した事例です。この工場では、フィルターバッグの微細な針孔から極小粒子が漏れ、機械の捕集量が減少し、排出量が増えていました。
この課題を解決するために導入されたのが、低排出フィルターバッグです。このフィルターバッグは針孔をゴアシームテープで完全に封じており、漏れを防ぎます。切り替え後、捕集量が増えただけでなく、フィルターバッグの寿命も1年以上延びました。
おすすめの集塵機メーカーを紹介
こちらでは、大型集塵機を探している担当者の方におすすめのメーカーを3社紹介します。
◇株式会社アコー

株式会社アコーは、1977年に創業された工場向け集塵機のメーカーで、パルスジェットバグフィルタ、ウエットスクラバー、マルチサイクロン集塵機などを製造・販売しています。お客様のニーズに応じたオーダーメイド集塵機の提案を行い、高品質な製品とサービスを提供することで、快適で安全な作業環境の実現に貢献しています。最新技術を活用し、環境保護と作業効率の向上に寄与するソリューションを提供しています。
会社名 | 株式会社アコー |
本社 | <所在地> 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-1-40 <電話番号> 047-352-4761 |
大阪営業所 | <所在地> 〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3-24-1 <電話番号> 06-6368-9551 |
静岡営業所 | <所在地> 〒438-0211 静岡県磐田市東平松500-1 <電話番号> 0538-86-6478 |
公式ホームページ | https://www.acokk.co.jp/ |
また、環境に配慮した製品とサービスを提供し、持続可能な社会の実現を目指しています。最新の技術を駆使し、効率的で安全な集塵システムを提供し続けています。
株式会社アコーについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇リョウセイ株式会社

リョウセイ株式会社は、昭和22年3月に創業された業務用および工場用の掃除機や集塵機の専門メーカーです。長年の豊富な実績とお客様の使用状況を深く理解し、きめ細かな工夫が生きた商品構成を提供しています。また、実際にお客様を直接訪問し、現場観察の上で最適な吸引方法による集塵システムを提案しています。
主な製品には、小型集塵機、オイルミスト集塵機、業務用掃除機などがあり、お客様のニーズに応じたカスタマイズ製品も提供しています。
会社名 | リョウセイ株式会社 |
所在地 | 〒463-0048 名古屋市守山区小幡南2-6-8 |
電話番号 | 052-794-3211 |
公式ホームページ | http://www.ryousei.com/ |
また、環境保全にも配慮し、ISO14001認証を取得しています。地域社会に根差した製造・販売体制を整え、持続可能な社会の実現を目指しています。
真空企業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇アマノ株式会社

アマノ株式会社は、時間情報、パーキングシステム、環境システムなど幅広い事業を展開しています。特に集塵機やミストコレクターを中心とした環境ソリューションに注力し、産業環境の改善に貢献しています。クリーンで効率的な作業環境を提供するために、革新的な技術を活用しています。
会社名 | アマノ株式会社 |
所在地 | 〒222-8558 神奈川県横浜市港北区大豆戸町275 |
電話番号 | 045-401-1441 |
公式ホームページ | https://www.amano.co.jp/ |
また、地域社会に根差した製造・販売体制を整え、顧客の要望に即した製品の創造・開発に取り組んでいます。持続可能な社会の実現を目指し、環境に配慮した製品とサービスを提供しています。
アマノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
集塵機フィルターの選定は、フィルターの材質だけでなく、形状、生地、原糸、織り方といった多様な要素に基づいて行われるべきです。これらの選択肢は、使用環境や目的によって大きく異なり、集塵機の全体的な性能と寿命に直接的な影響を与えます。
そのため、フィルター選びでは、集塵機メーカーへ相談し、使用環境や具体的な要件に基づいたカスタマイズフィルターの提案を受けるとよいでしょう。
フィルター材質は、耐久性や耐熱性など、特定の性能を決定し、フィルターの形状は、捕捉する粉塵の量やフィルターの効率に影響を与えます。
実際の事例として、ある製造工場では新しいフィルター技術の導入によって、フィルターの目詰まり問題を解決しました。旧式のフィルターが頻繁に目詰まりを起こしていたのに対し、新技術ではフッ素樹脂コーティングを施したフィルターを導入します。
これにより撥水性能が向上し、目詰まりが劇的に減少しました。その結果、フィルターの寿命が延長し、メンテナンスの頻度も低減しました。