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大型集塵機の捕集力はフィルターの材質によって変わる?

公開:2024.07.24 更新:2024.12.23

集塵機フィルター

集塵機フィルターの選定は、材質によって性能や耐久性が大きく左右されます。そのため、集塵機のフィルター選定では、メーカーとの相談が重要です。

ポリエステルは-40℃から150℃まで耐える耐久性があり、ポリプロピレンは軽量で化学薬品に強い特性を持ち、ナイロンは-40℃から120℃の範囲で高い耐摩耗性と引張強度を発揮します。

フィルターの形状や生地、原糸、織り方も性能に影響を与え、適切な選定が集塵効率とフィルター寿命を向上させるために重要です。フィルター選定は環境や用途に応じて総合的に判断することが求められ、集塵機メーカーとの相談も有効です。

主な集塵機フィルターの材質

フィルター材質の選定は、集塵機の性能や使用環境に大きく影響するため、各材質の特性を理解することが重要です。以下では、代表的なフィルター材質とその使用目安温度について説明します。

◇ポリエステル

耐久性と化学薬品への耐性が優れている素材です。高い引張強度と耐摩耗性もあり、業種を問わず幅広い用途で使用されます。使用目安温度は通常-40℃から150℃までです。

◇ポリプロピレン

軽量で耐化学薬品性が高く、コストパフォーマンスに優れている素材です。耐熱性に優れ、酸やアルカリなどの腐食性物質に対する耐性もあります。使用目安温度は-10℃から100℃までで、食品加工や化学工業などの分野で広く利用されています。

◇ナイロン

非常に高い耐摩耗性と引張強度を持つ素材です。さらに、柔軟性があり、細かい粉塵の捕集にも適しています。使用目安温度は-40℃から120℃までで、さまざまな産業における高性能フィルターとして使用されています。

◇その他

その他の素材として、芳香族ポリアミドやガラス繊維などの合成繊維も使われます。


・芳香族ポリアミド
非常に高い耐熱性と耐薬品性を持つ素材で、化学工場などの特殊な環境での使用に適しています。

・ガラス繊維
非常に高い耐熱性と化学薬品耐性を持ち、厳しい環境下でも性能を維持できる素材です。使用目安温度は-60℃から260℃以上で、高温集塵や腐食性の高い環境での使用に最適です。

材質以外の要素も影響

集塵機フィルター
画像出典:株式会社アコー 公式サイト

大型集塵機のフィルター性能は、材質だけでなく形状、生地、原糸、織り方などの要素にも大きく影響されます。これらの要素を適切に選定することで、集塵効率や耐久性が向上し、フィルターの寿命を延ばすことができます。

◇形状

フィルターの形状は、集塵機の性能に直接的な影響を与えます。代表的な形状として挙げられるのは、円筒形、プリーツ形、フラット形などです。

プリーツ形フィルターは表面積が広く、より多くの粉塵を捕捉できるため、高効率な集塵が可能です。形状の選定は、設置スペースや集塵対象の特性に応じて行う必要があります。

◇生地

フィルターの生地が与える主な影響は、微細な粉塵を捕捉する能力や通気性です。生地には、ニードルフェルトや織布などがあり、それぞれに特性があります。

ニードルフェルトは高い捕捉性能を持ち、微細な粉塵にも対応できます。一方、織布は通気性が良く、低圧損で運転できるのが利点です。

◇原糸

フィルターの原糸は、その強度や耐久性に関わります。高強度の原糸を使用することで、フィルターの寿命を延ばすことが可能です。原糸の選定は、フィルターの用途や要求される性能に応じて慎重に行うことが重要です。

◇織り方

フィルターの織り方も、性能に大きな影響を与えます。一般的な織り方には、平織り、綾織り、朱子織りなどがあります。

・平織り

経糸と緯糸を1本ずつ組み合わせる織り方です。糸が交差している部分が多いため、丈夫で摩擦にも強いのが特徴です。そのため、高圧用のフィルターに多く見られます。ただし、緻密であることから、目詰まりがしやすいのが難点です。

・綾織り

経糸と緯糸を2本ずつ組み合わせる織り方です。一般的なフィルターはもちろん、厚手の生地にも用いられます。平織よりも高密度となるため、ろ過用フィルターなどに適しています。

・朱子織り

経糸と偉糸のいずれかを長く表面に現す織り方で、サテン織りとも呼ばれます。ダストがはがれやすく目詰まりしにくい反面、隙間が大きいため捕捉性が下がる可能性があります。

フィルターを選ぶときのポイント

適切なフィルター選定は、集塵効率の向上やメンテナンスの手間を軽減するために非常に重要です。以下では、フィルターを選ぶ際のポイントについて説明します。

◇総合的に判断

フィルターを選ぶ際には、単一の要素だけでなく、さまざまな視点から総合的に判断することが必要です。


例えば、フィルターが使用される環境の温度、湿度、粉塵の種類や量といった使用環境によっても最適なフィルターの材質の耐久性や耐薬品性、形状や構造、ろ過速度などが変わります。

また、初期コストだけでなく、フィルターの寿命やメンテナンスコストも考慮しなければなりません。

◇集塵機メーカーに相談

フィルター選定の際には、集塵機メーカーに相談するのも有効な方法です。メーカーは多くのフィルターを取り扱っており、さまざまな環境や条件での適用事例を知っているからです。

一部のメーカーは、特定の環境や条件に合わせたカスタマイズフィルターを提供しています。また、最新のフィルター技術や製品情報を持っており、新しい技術や製品を適用することで、より高性能な集塵を実現できます。

フィルターの見直しで効率がアップした事例

既存のフィルターから新しいフィルターに変更することで、集塵効率が向上した事例をご紹介します。

◇フィルターの目詰まりを解消した事例

クーラー用フィルターの頻繁な目詰まりを解消した事例です。既存のフィルターは頻繁に目詰まりを起こし、撥水性の高い素材を使用してもその効果が短期間で失われるという課題がありました。

解決策として、フィルターの表面にフッ素樹脂をコーティングし、撥水性能の持続性を高める新しい素材に変更しました。この改善により、目詰まりが減少し、フィルターの寿命も大幅に延びました。

◇極小粒子の回収を成功させた事例

フィルターからの極小粒子の漏れを改善した事例です。この工場では、フィルターバッグの微細な針孔から極小粒子が漏れ、機械の捕集量が減少し、排出量が増えていました。

この課題を解決するために導入されたのが、低排出フィルターバッグです。このフィルターバッグは針孔をゴアシームテープで完全に封じており、漏れを防ぎます。切り替え後、捕集量が増えただけでなく、フィルターバッグの寿命も1年以上延びました。


集塵機フィルターの選定は、フィルターの材質だけでなく、形状、生地、原糸、織り方といった多様な要素に基づいて行われるべきです。これらの選択肢は、使用環境や目的によって大きく異なり、集塵機の全体的な性能と寿命に直接的な影響を与えます。

そのため、フィルター選びでは、集塵機メーカーへ相談し、使用環境や具体的な要件に基づいたカスタマイズフィルターの提案を受けるとよいでしょう。

フィルター材質は、耐久性や耐熱性など、特定の性能を決定し、フィルターの形状は、捕捉する粉塵の量やフィルターの効率に影響を与えます。

実際の事例として、ある製造工場では新しいフィルター技術の導入によって、フィルターの目詰まり問題を解決しました。旧式のフィルターが頻繁に目詰まりを起こしていたのに対し、新技術ではフッ素樹脂コーティングを施したフィルターを導入します。

これにより撥水性能が向上し、目詰まりが劇的に減少しました。その結果、フィルターの寿命が延長し、メンテナンスの頻度も低減しました。

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