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コンクリート粉塵は集塵機で回収できる?

公開:2024.07.22 更新:2024.12.23

コンクリート

コンクリートはセメント、骨材(砂や砕石)、水の混合物から作られ、非常に強固な建築材料となります。しかし、ンクリート粉塵には健康リスクが伴い、特に結晶質シリカの吸入はシリコシス(塵肺症)を引き起こすことがあり、大型集塵機などでの回収が欠かせません。

また、生コンクリートは強アルカリ性で皮膚や目に刺激を与える可能性があるため取り扱いに注意が必要です。効果的な粉塵対策として乾式集塵機が役立ちます。

サイクロンやバッグフィルターを用いて粉塵を効率的に回収し、局所排気装置やプッシュプル型排気装置と組み合わせることで作業環境の空気質を改善します。

コンクリートの成分と生コンクリートの有害性

コンクリートは現代建築の基盤を支える重要な材料ですが、その成分や取り扱いには注意が必要です。以下では、コンクリートの基本的な成分と生コンクリートの有害性について解説します。

◇コンクリートの成分

コンクリートは、セメント、骨材(砂や砕石)、水を混ぜ合わせて作られる建築材料です。この混合物が固まると、非常に強固で耐久性のある素材となり、建物の基礎や構造部分に広く使用されます。コンクリートの主な成分は以下の2つです。

・セメント
セメントは、コンクリートの主要成分であり、骨材を結びつける役割を果たします。一般的に使用されるセメントは、石灰石、粘土、鉄鉱石などを高温で焼成し、粉砕して作られます。

・モルタル
モルタルはセメントと細骨材(砂)を混ぜ、水を加えて作られる材料です。コンクリートよりも柔軟性があり、細かな作業に適しています。そのため、レンガやブロックの接合、補修作業など広範な建築用途で使用されます。

◇生コンクリートは有害性が高い

生コンクリートは強アルカリ性(pH値が12~13)であり、皮膚や目に触れると強い刺激を与える可能性があります。皮膚に直接触れると、化学熱傷(アルカリ性の火傷)を引き起こすことがあるため注意が必要です。

コンクリート粉塵の危険性

コンクリート
画像出典:東京コンテック株式会社 公式サイト

コンクリート粉塵は、現場の作業者の健康に深刻な影響を及ぼすことがあります。ここでは、コンクリート粉塵の危険性について詳しく解説し、生コンクリートに関連するじん肺の事例も紹介します。

◇結晶質シリカの吸入

結晶質シリカは、二酸化ケイ素の結晶形態で、自然界では石英として広く存在します。結晶質シリカは硬く、耐久性があり、建設材料として利用されていますが、吸入すると健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

結晶質シリカの微細な粒子が肺に入り込むと、シリコシス(塵肺症)と呼ばれる肺疾患を引き起こすことがあります。この病気は肺組織の炎症をもたらし、呼吸困難や慢性的な咳、胸痛などの症状を引き起こします。

◇生コンクリートでじん肺になった事例

ある建設現場の作業員が、じん肺になった事例です。この作業員は、長期間にわたり生コンクリートを取り扱う仕事を続けていましたが、適切な防護具(高性能な防塵マスクなど)を使用せずに作業を行っていたため、コンクリート粉塵を大量に吸い込んでしまいました。

数年後、この作業員は慢性的な咳と呼吸困難を訴えるようになり、医師の診断によりじん肺と診断されました。

コンクリート粉塵は乾式集塵機で回収できる

大型集塵機の一種である乾式集塵機は、コンクリート粉塵を効率的に回収するための有効な手段です。以下では、乾式集塵機の特徴と、局所排気装置およびプッシュプル型排気装置の有効性について解説します。

◇乾式集塵機の特徴

乾式集塵機は、主にサイクロンとバグフィルターの二つの方式が利用されます。
・サイクロン
サイクロンは、粉塵を遠心力で分離する仕組みを持っています。空気中の粉塵を装置に取り込むと、渦を巻くような動きが生じ、重い粉塵が外壁に押し付けられて底部に落ちます。この方式は、メンテナンスが少なく、比較的高い効率で粉塵を回収できるのが特徴です。

・バグフィルター
バグフィルターは、フィルターを通して空気を通し、粉塵を捕集する仕組みです。空気がフィルターを通過する際に粉塵が捕らえられ、清浄な空気が排出されます。フィルターは定期的に清掃または交換する必要がありますが、微細な粉塵の回収に優れています。

◇局所排気装置やプッシュプル型排気装置も有効

コンクリート粉塵の発生を抑えるためには、局所排気装置やプッシュプル型排気装置も効果的です。

・局所排気装置
特定の作業場所や設備から発生する有害な気体や粉塵を直接捕集し、外部に排出する装置です。粉塵が発生する地点の近くに設置され、専用のフードが空気を吸引して粉塵を捕集します。吸引された空気はフィルターやサイクロンを通過し、粉塵が除去された後に外部へ排出されます。

・プッシュプル型排気装置
プッシュプル型排気装置は、粉塵を発生源から遠ざけるための装置で、空気を押し出しながら同時に粉塵を吸引するのが特徴です。この方式は、作業環境の空気を循環させ、粉塵の滞留を防ぎます。また、作業場全体の換気を改善する効果もあります。

バグフィルターでコンクリート粉塵を回収した事例

バグフィルターによるコンクリート粉塵回収の成功事例をご紹介します。

◇生コンクリートの混合で生じる粉塵を回収した事例

生コンクリートの混合工程で、セメントや骨材を扱う際に大量の粉塵が発生していた工場の事例です。この問題を解決するために、サイクロンとバグフィルターを組み合わせたシステムが導入されました。

サイクロンで水分とコンクリート粉塵を分離し、バグフィルターでコンクリート粉塵のみを高効率で捕集するという方法です。この結果、粉塵の飛散を抑制すると同時に、設備のコンパクト化を実現しました。

◇セメント焼成で生じる粉塵を回収した事例

セメントの焼成過程で、高温によって多くの粉塵が発生した工場での事例です。この工場では、焼成炉の排気系統にバグフィルターを設置しました。これにより、焼成時に生じる微細な粉塵を効果的に捕集し、クリーンな空気を排出することが可能になりました。


コンクリートは、セメント、骨材(砂や砕石)、水を混合して作られ、建築業界で広く使用される非常に強度の高い材料です。

しかし、生コンクリートは強アルカリ性を示すため、皮膚や目に触れると刺激や化学熱傷を引き起こす可能性があり、安全な取り扱いが求められます。特に結晶質シリカは、シリコシスなどの肺疾患のリスクを高めるため、適切な保護措置が重要です。

粉塵の管理には、乾式集塵機が効果的です。この機器は、サイクロン方式とバグフィルター方式を主に用い、粉塵を効率的に捕集します。

サイクロン方式は、粉塵を遠心力で分離し、バグフィルター方式は、フィルターを通過させることで微細な粉塵を捕捉します。これらの集塵機は、特に大規模なコンクリート作業において、空気質を改善し作業者の健康を守るために不可欠です。

さらに、局所排気装置やプッシュプル型排気装置の使用により、粉塵の局所的な発生源から直接排気することが可能です。特に粉塵の多い作業場では、粉塵の拡散を防ぎながら、清浄な空気を維持することが可能です。

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