バグフィルター(ろ過式集塵機)とは?仕組みや注意点を解説
公開:2023.11.28 更新:2024.12.23
バグフィルター(ろ過式集塵機)は、微細な粒子やダストを効率的に収集するための装置です。この装置の仕組みは、排気ガスが特定のろ布を通過する際に、ろ布表面に粒子やダストが付着することで、クリーンなガスを生成する原理に基づいています。
除去された粒子やダストは、専用の収集容器に蓄積され、定期的な清掃やろ布の交換が必要です。バグフィルターは、主に工業プロセスや製造業において利用され、有害な微粒子の排出を最小限に抑え、環境保護や労働者の健康を保護する役割を果たしています。以下では、バグフィルターの詳細な仕組みと注意点について解説します。
目次
バグフィルター(ろ過式集塵機)とは?構造や仕組み
バグフィルター(ろ過式集塵機)の構造や仕組みは、空気中の微細な粒子やダストを効率的に取り除くために設計されています。バグフィルターの基本的な概念や各部の構造、ろ過の仕組みについて解説します。
◇バグフィルターとは?
バグフィルターとは、主に工業プロセスにおいて排ガス中の微粒子やダストを集じんするためのろ過装置のことです。機械内部のフィルター(ろ布)を使用して、ガスや排気から微細な粒子を捕捉し、クリーンなガスを排出します。
バグフィルターは鋼鉄工場、セメント工場、製紙工場、化学工場などさまざまな工場で使用され、大気中への有害物質の放出を制御するために役立っています。
バグフィルターで使用される「ろ布」の材料はさまざまです。以下に例を挙げます。
・ポリエステル
耐久性があり、湿気に強い素材です。高温下での使用は難しく、一般的に中温度の環境で使用されます。
・コットン
熱には強い反面、耐久性が低い自然繊維の素材です。特殊なダストはろ過できないため、通常は一般的な集塵機で使用されます。
・ナイロン
強力な耐熱性と耐摩耗性があり、特に高温環境に対応するために使用されます。
・ガラス繊維
高温環境での使用に適しており、耐久性が高い素材です。化学的な耐性もあるため、特定の腐食性のガスや化学物質にも対応できます。
◇バグフィルターの仕組みとは?
バグフィルターは、袋状または円筒状や平板状のフィルターが吊り下げられた構造が一般的です。排気ガスやダストを含むガスがフィルターを通過すると、フィルターの表面に粒子やダストが付着し、クリーンなガスが排出される仕組みです。取り除かれた粒子やダストは収集容器に蓄積され、定期的に清掃や交換が行われます。
バグフィルターを効率的に機能させるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。なぜなら、メンテナンスを怠るとフィルター(ろ布)の表面に付着したダストが堆積し、ろ過効率が低下してしまうからです。さらに、ろ布が破れたり穴があいたりすると、ダストが外部に漏れて空気を汚染する可能性があります。
バグフィルター(ろ過式集塵機)のメンテナンス・使用時の注意点
バグフィルターの具体的なメンテナンス方法と、使用時の注意点を解説します。
◇メンテナンス
バグフィルターのメンテナンスは、ろ布の定期的な清掃と交換の二つの方法が一般的です。
ろ布の清掃(ダストを払い落とす)
ろ布に付着した粉じんやダストを取り除くために、振動や吹き飛ばしといった清掃作業を行い、布表面を綺麗にします。振動式は、ろ布を振動させて付着している粉じんを落とす手法です。これにより、表面に付着した微粒子が剥がれて収集容器に移動します。
吹き飛ばし(パルスジェット式)では、圧縮空気を使用してろ布を膨張させ、付着している粒子を吹き飛ばす方法です。
ろ紙の交換
バグフィルターのろ布は消耗品で、損傷するとダストが漏れる可能性があるため、定期的な交換が必要です。寿命は用途や粉塵の種類に依存し、交換時期の判断が難しいことがあります。
ろ布の異常やろ過効率の変化を早期に検出し、適切なメンテナンスを行うために、ダストモニターを使用してダスト濃度を計測することが推奨されます。バグフィルターの運用にダストモニターを組み合わせることで、予防的なメンテナンスが可能となり、設備の効率と安全性を維持できます。
◇注意点
バグフィルターは、さまざまなダストをろ過できる汎用性の高い装置ではありますが、すべての粉じんや微粒子を完全に取り除くことは難しく、特に浮遊粉じんや微細な粒子、カビ胞子の除去には限界があります。
設備への影響
粉じんが設備に堆積すると、機械の性能低下や不具合が発生する可能性があります。特に、粉じんが機械の冷却ファンや電子部品などに付着すると、効率の低下や過熱などの問題が生じるため注意が必要です。
カビ繁殖
カビ胞子など微生物が除去されない場合、湿度や温度の条件が整えばカビの繁殖が促進され、設備に不具合が生じる恐れがあります。
健康への影響
ダストの堆積や外気への排出による、人体への影響は見逃せません。空気中の微粒子や粉じんが人体に吸引されると、呼吸器疾患やアレルギー反応などの健康被害が生じる可能性があります。
おすすめのバグフィルター(ろ過式集塵機)を紹介!
バグフィルターは、メーカーごとに特長や性能が異なります。ここでは特におすすめのバグフィルター(ろ過式大型集塵機)を3つご紹介していきます。
◇エアショットバグフィルター(株式会社アコー)
株式会社アコーのバグフィルターは、卓越した捕集性能に加え、サブミクロン粒子まで確実にキャッチできる高い性能を誇ります。自動ダスト払い落し(パルスジェット)による連続安定運転が可能で、メンテナンスのしやすさと故障が少ない構造が魅力です。さらに、使用条件に合わせて多種多様なフィルター(ろ材)を選択できます。
エアショットバグフィルターの主な用途は、粉体・粉砕品の回収、乾燥機排気、空気輸送の気抜き、局所集塵、黒煙除去などです。
◇エコパルサー®(住友重機械工業)
住友重機械工業が提供するエコパルサーは、経済産業省の「産業技術環境局長賞」を受賞した高性能かつ信頼性の高いバグフィルターです。エコパルサーでは、高速ろ過や長尺ろ布の導入により20%以上もの省スペースを実現しており、工事コストの低減が期待できます。さらに低圧損運転が可能でランニングコストの削減と、省エネの促進が可能な点も特長です。
住友重機械工業では、国内最大級のテスト機によるデータ分析を通して、顧客ごとの設計条件・制約条件に沿った最適なバグフィルターを提案しています。
◇バグフィルタ式集塵機(山本工作所)
山本工作所は、1950年に国内で初めてバグフィルターを製造した先駆的な企業です。長きにわたって培ったノウハウと技術によって作られたバグフィルターは、国内外のさまざまな業種(鉄鋼・鉱業・セメント・化学・食品など)の工場で使用されています。
山本工作所のバグフィルターは、高性能かつコンパクトなパルス式から、ランニングコストの安い機械式まで、多彩なモデルが揃っているのが魅力です。
バグフィルター(ろ過式集塵機)は、工業プロセスにおいて微細な粒子やダストを効率的に集じんする装置です。ろ布を使用し、ガスから粒子を捕捉し、クリーンなガスを排出します。バグフィルターの仕組みは、ガスがろ布を通過し、ろ布表面に粒子やダストが付着することにより、クリーンなガスを生成します。
注意点として、粉じんの堆積が設備に影響を及ぼす可能性や、微生物の繁殖、健康への影響があることが挙げられます。
おすすめのバグフィルター(ろ過式集塵機)として、株式会社アコーのエアショットバグフィルター、住友重機械工業のエコパルサー、山本工作所のバグフィルターが挙げられます。これらのバグフィルターは、異なる産業や用途に合わせて選択でき、高性能や省スペースなどの特長を持っています。適切なバグフィルターの選定には、用途や設備条件を検討し、最適な製品を選ぶことが重要です。