大型集塵機における排気処理の重要性とは?
公開:2024.04.18 更新:2024.04.18
工場排気には有害成分や粉じん、揮発性有機化合物が含まれ、法律で規制されています。健康被害や環境汚染を防ぐために排ガス処理装置が必要で、集塵機や局所排気装置、スクラバーなどが利用されます。これらの装置を適切に設置することが重要です。
目次
工場の排気に含まれる物質は?
◇空気中に浮上する物質
工場内の空気中にはさまざまな有害物質が浮遊しています。まず、燃料の燃焼によって発生するばいえん(煤煙)があります。これには硫黄酸化物や一酸化炭素などの有害成分が含まれています。
また、工場作業に伴って排出される粉じんも空気中に浮遊します。特に、アスベストなどの特定粉じんは健康に有害です。さらに、塗料やインク、洗剤などに含まれる揮発性有機化合物も空気中に放出されます。これらの化合物は光化学スモッグの原因となることがあります。
また、大気汚染防止法で指定された特定物質や有害大気汚染物質も工場からの排出源です。これらの物質は低濃度でも長期的な摂取で健康に影響を及ぼすおそれがあります。
◇排ガスや有害物質の処理
排ガス処理は、環境省によって大気汚染防止法で規制され、その重要性は健康被害や生活環境の保全に関わっています。大気汚染防止法は国民の健康を守ると同時に生活環境を維持することを目的としており、具体的な規制を行う法律です。
大気汚染が発生すると、悪臭や粉じんが周辺住民に影響を与えるだけでなく、健康被害を引き起こすこともあります。有害物質を含む排ガスが放出されると、大気が汚染され、その解消には多大な手間と費用がかかります。また、工場内で排出された未処理の排ガスは、工場内の環境を悪化させる可能性もあります。
このような問題を回避するために、工場などで排出される排ガスは処理を経て浄化され、外部に排出される必要があります。そのためには、適切な排ガス処理装置を使用し、有害物質を除去することが必要です。排ガスの処理は環境保護や健康維持に不可欠であり、法律によってその適切な管理が求められています。
排気の粉じんやガスによるリスク
◇粉じんやガスによる健康被害
粉じんやガスによる健康被害は、特に労働環境において重要な問題です。このような物質を多量に吸入すると、肺内に蓄積し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
粉状物質の一般的な有害性は、その微粒子が肺に入り込んで肺組織に付着し、炎症や組織の損傷を引き起こすことです。肺の繊維化や間質性肺炎のような症状が現れ、これにより呼吸機能が低下し、息切れや呼吸困難などの症状が生じます。
特に、じん肺のような肺疾患は、粉じんによって引き起こされる代表的なものです。
初期段階では自覚症状が少ないことがありますが、症状が進行すると息切れや咳、たんの排出などが現れ、さらに進行すると日常生活に支障をきたすほどの重篤な症状が現れる可能性があります。例えば、歩行時にも息苦しさを感じるようになり、仕事にも影響を及ぼすことがあります。
◇粉じん爆発
粉じん爆発は、大気中に浮遊している可燃性の粉じんが点火されることによって引き起こされる現象です。この現象は、可燃性の粉じんが一定の濃度と酸素との混合比を満たす状況下で外部の火花や点火源によって引火されることで発生します。
粉じん爆発は非常に危険であり、爆発によって放出される圧力や火災が周囲の人々や施設に深刻な被害をもたらす可能性があります。また、粉じん爆発が連鎖反応を引き起こす危険性もあるため、一度発生するとさらなる爆発を引き起こすリスクがあります。
◇機器の故障
機器の内部に長期間蓄積された粉じんが、故障の原因となることがあります。粉じんが基板に付着し、短絡を引き起こしたり、基板を損傷させたり、焼けを引き起こすことがあります。
粉じんなどの汚れが蓄積すると機器の正常な動作を妨げ、故障の原因となります。
集塵機で排気処理が可能
◇集塵機について解説
大型集塵機は、工場やその他の施設から発生する粉じんを集塵、除塵し回収するための装置や機械です。粉じんは非常に微細で、目に見えないほど小さな粒子から、マイクロレベルの微細なものまでさまざまです。これらの粉じんが空気中に漂い、人体に吸入されると健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、集塵機は粉じんを集めて拡散を防ぎ、除去する役割を果たします。
集塵機にはさまざまなタイプがあります。大型の除塵装置は工場建物に設置され、広範囲の粉じんを効果的に集塵します。また、掃除機のようなハンディーな除塵機もあり、より小規模なエリアや特定の作業場所での使用に適しています。
◇集塵機で健康被害を防ぐ
集塵機は作業現場や産業環境において、粉じんや微粒子を効果的に除去する装置です。これらの粉じんや微粒子は、長時間にわたって吸入されると呼吸器系に深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。しかし、集塵機を適切に使用することで、健康被害を防ぐことができます。
集塵機が役立つ理由はいくつかあります。まず、集塵機は空気中の粉じんや微粒子を効率的に除去するため、作業者がそれらを吸引することを防ぎます。これにより、肺胞まで到達する微粒子の吸入を減らし、呼吸器系への悪影響を軽減します。
さらに、集塵機は異なる処理方式を使用して粒子を除去します。重力式、慣性式、遠心式、洗浄式、ろ過式、電気式など、これらの方式は粒子の大きさや性質に応じて効果的な集塵を行います。
例えば、重力式集塵機は重力を利用して大きな粒子を沈降させ、慣性式集塵機は衝突板を使用して粒子を分離します。このように、適切な集塵方式を選択することで、さまざまな粒子を効果的に除去できます。
排気処理に適した集塵機を選ぼう
◇局所排気装置
局所排気装置は、工場や作業場、実験室などで発生する有害物質を作業者が吸い込まないようにするための装置です。これは、発生源の近くに設置された空気吸引口(フード)によって有害物質を吸引し、屋外に排出する仕組みを持っています。そのため、有害物質が室内に拡散する前に、即座に排出されます。
この装置は、汚染された空気をフードで吸引し、ダクトを通して排気機で圧力を加えて屋外に排出します。一般的には、大気汚染を防ぐために、ダクトに集じん機や排ガス処理装置などの空気清浄装置が取り付けられます。
局所排気装置は、設置場所に適切な形状のフードを持つことが重要であり、また、厚生労働省令に準拠した要件を満たさなければなりません。これらの要件を満たさない場合、法的に認められないことがあります。
◇スクラバー
スクラバーは、香料工場や製紙工場、そして汚水処理施設などの排気装置から発生する有害なガスや悪臭ガスを取り除き、安全な状態にするための装置です。この装置は、排ガス処理装置や洗浄装置としても知られており、近隣への悪臭苦情の防止や大気汚染の抑制を目的としています。
工場の排気に含まれる物質は、空気中に浮遊する有害成分や特定の粉じん、揮発性有機化合物などが含まれます。これらは大気汚染防止法で規制され、健康被害や環境への影響が懸念されます。そのため、工場では排ガス処理装置を使用して有害物質を除去し、健康被害や環境汚染を防ぐ必要があります。
排ガス処理装置の種類には集塵機や局所排気装置、スクラバーなどがあり、これらを適切に選択・設置することが重要です。
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