大型集塵機をオーダーメイドする利点は?対応可能なメーカーについて
公開:2024.03.22 更新:2024.03.22
一般的な標準仕様の集塵機では、特定のニーズや要件に対応できない場合があります。そのため、製造現場の環境や作業内容に合わせてカスタマイズされたオーダーメイドの集塵システムが必要です。オーダーメイドの大型集塵機は、吸込フードの設置位置や形状、ダクトの配管設計などが個別に調整され、効率的な粉塵の取り込みが可能となります。
目次
集塵機をオーダーメイドする利点
集塵機をオーダーメイドする利点は、製造現場の特定のニーズや要件に合わせて設計されるため、機能性や効率性が最大限に高められる点にあります。一般的な標準仕様の集塵機では十分に満たせない要求に対応できるため、作業環境やプロセスに最適なソリューションを提供することが可能です。
◇集塵機はオーダーメイドが多数派?
製造現場における集塵機の導入には、様々な要素が関わっています。一般的に、集塵機は単に装置本体の価格だけを考慮すれば良いというものではありません。実際には、製造現場の環境や作業内容に合わせてカスタマイズされたシステムが必要とされることがほとんどです。
集塵機の導入において、最初に考えるべき点は、製造現場の状況に適したシステムを構築することです。これには、吸込フードの設置位置や形状、ダクトの配管設計などが含まれます。製造ラインや作業スペースのレイアウト、機械の配置など、さまざまな要素を考慮に入れなければなりません。そのため、各現場ごとに異なるニーズに対応するために、集塵機はオーダーメイドで製作されることが一般的です。
オーダーメイドの集塵システムを構築する場合、製造現場の特性や要件を正確に把握し、それに基づいて設計や製作を行う必要があります。作業者との密なコミュニケーションや現地調査が欠かせません。また、実際の現場状況に合わせて設計を調整し、必要に応じて試作品を作成してテストすることも重要です。そのため、集塵機メーカーが価格表を提供していないのも、各現場のニーズに応じた個別対応が必要なためです。
このように、集塵機の導入には単に装置本体の価格だけでなく、製造現場に合わせたオーダーメイドシステムの構築や関連する工事費用、吸込フードの設計や製作など、さまざまな要素が含まれることを理解することが重要です。
◇集塵機をオーダーメイドする利点
放射能を含む粉塵の集塵が必要な場合、既製品ではその性質に対応できず、安全かつ効果的な対策が難しいことがあります。こうした特殊なケースでは、特注・特殊仕様の集塵機が必要となります。これらの機器は、放射能を含む粉塵に適したオーダーメイドの装置を提供し、十分な集塵効果を発揮します。
また、特殊な粉塵や設置条件が要求される場合も、高温になる溶解炉や放射能を含む粉塵など、通常の条件では対応が難しい状況があります。このような場合には、特注・特殊仕様タイプの集塵機が必要であり、その装置には必要な機能や安全対策が組み込まれています。
吸込フードは、作業現場において粉塵や汚染物質の発生源を覆う形で設置される装置であり、その設置にはいくつかの注意点があります。まず、発生源に対して吸込フードを適切に配置することが重要です。これには、発生源にできるだけ近くに吸込フードを取り付け、適した形状や大きさのものを選定する必要があります。
発生源や作業状況に合わせてオーダーメイドで設計された吸込フードは、集塵性能が向上し、効率的な粉塵の取り込みが可能となります。
集塵機のオーダーメイドが可能なメーカー
画像出典先:集塵装置株式会社
集塵機のオーダーメイドが可能なメーカーは、製造現場のニーズや要件に合わせてカスタマイズされた集塵システムを提供する専門企業や製造メーカーがあります。これらのメーカーは、豊富な経験と技術を持ち、顧客との緊密な連携を通じて最適なソリューションを提供することに焦点を当てています。
◇株式会社アコー
株式会社アコーは、完全なカスタマイズと自社一貫生産の特長を有しています。同社は製品の生産において、顧客の要望に柔軟に対応できる完全受注生産を行っており、このアプローチにより、通常の既製品では解決が難しい悩みや課題に効果的に対処できる体制を整えています。また、製造プロセス全体を自社内で一貫して管理していることも強みの一環であり、品質と生産効率の向上に貢献しています。
アコーの特筆すべき点は、相談から設計までのフェーズで、千葉、静岡、大阪の3拠点に営業所を展開し、経験豊富な営業技術スタッフが直接顧客と対話しています。この過程で、顧客の要望や問題を詳細に把握し、アイデアを取り入れた機器の設計を行います。また、製造工程は静岡県磐田市にある自社工場で実施され、品質管理が厳格に行われています。
納品においては、製品の出荷前に徹底的な検査が行われ、合格したもののみが顧客の納期に合わせて確実に出荷されます。このようなプロセスにより、アコーは信頼性の高い機器を提供し、納期厳守に対応しています。
また、既製品では解決が難しい悩みに対しては、フルオーダーでの製品提供が可能であり、特にコンタミ、火災防止、風量の安定といった要件に対して迅速な対応が可能です。これにより、アコーは市場での競争力を強化し、クライアントの期待に応える製品を提供しています。
◇集塵装置株式会社
集塵装置株式会社は特注・特殊仕様に対応することを得意とし、その分野で高い評価を受けています。同社は、作業環境改善設備から公害防止設備、廃棄物・リサイクル設備まで広範な分野にわたり、顧客のニーズに合わせたオーダーメイドの集塵システムを提供しています。
集塵装置株式会社の強みは、単なる製品提供にとどまらず、機器選定から設置、アフターサービスまでを含むトータルサポートが可能なことです。お客様の問題解決に向け、計画段階から試運転まで一貫してサポートし、他社との差別化を図っています。
同社は長年の経験を積み重ね、様々なワークや環境に応じて高度な物性診断を行い、最適な集塵機を提案する高い集塵技術を有しています。また、集塵機だけでなく、フードやダクトの設計までを総合的に提案することが可能で、トータルの集塵システムをご希望の方に最適なソリューションを提供しています。
◇株式会社九州エアーテック
九州エアーテックは、各工場の状況に基づいて、ユニークでカスタマイズされた集塵機を提供しています。お客様の要望に基づいた詳細な調査を行い、最適な濾過面積と風速を測定し、集塵機に最適なフィルターを提案します。
九州エアーテックの集塵機はすべてオーダーメイドであり、これまでに400台以上の製品を生産していますが、一つとして同じものはありません。これにより、お客様の個別のニーズに対応し、オリジナルで特化した製品を提供しています。
特に、通常のフィルターの寿命が半年である中、九州エアーテックのフィルターは通常の3~4倍の長寿命を誇ります。この特長は、お客様の工場に関する正確なデータと経験に基づいており、各お客様に最適なフィルターを提案できる要因となっています。
また、短納期での製品納品にも柔軟に対応し、製品を納品した後もアフターフォローに力を入れています。日田本社と宮崎県都城市に営業所があり、九州・山口エリアではどこでも2時間以内にメンテナンスが可能です。
オーダーメイド集塵機の導入事例
以下では、オーダーメイド集塵機の導入事例をご紹介します。これらの事例では、顧客のニーズや現場の状況に合わせて設計されたカスタマイズされた集塵システムが導入され、生産性向上や作業環境改善に貢献しています。
◇火災実験室用集塵装置
某地方の警察付属機関の科学捜査研究所は、火災実験室での実験において、発生する煙を効果的に排除する必要があり、集塵装置株式会社の排煙システムの導入を決定。火災模擬実験中、実験室内に広がる煙が実験の進行に支障をきたす可能性があり、この問題を解決する手段として排煙装置が提案されました。
具体的な課題点としては、火災実験後に発生する煙を素早く排除する必要があり、同時に周辺機器への悪影響予防、高熱化の防止、漏れの防止が求められました。また、屋上に装置を設置する場合には、スペース制約やメンテナンスの問題も考慮しなければなりませんでした。
集塵装置株式会社は、火災実験室用のバグフィルタ集塵機と脱臭装置の組み合わせを提案しました。このシステムにより、煙の排除だけでなく、焦げた臭気も処理可能となりました。屋上に設置する場合、スペース制約やメンテナンスの問題にも対応するため、集塵装置株式会社は独自のレイアウトで設計し、効率的な排煙が実現されました。
導入後、火災実験中に発生する煙が迅速に実験室内から排出され、視界の妨げが解消されました。排煙システムはインバーター制御で排風機を微速運転し、実験に支障をきたさないよう工夫されました。全量排気時間も短縮され、実験後の待ち時間がなくなりました。
◇高さ制限のある建築建材メーカーの事例
建築建材メーカーが直面していたのは、乾燥工程で発生する排ガスに含まれる粉砕石膏をリサイクル材料として有効に回収する課題でした。これは環境への配慮や資源の効果的な活用に対応するための取り組みであり、それに伴い適切な設備の導入が求められていました。
石膏粉の回収には、大規模な設備が必要である可能性があり、それに伴う建屋内のスペースや高さ制限の課題が存在していました。また、建屋内には高さ制限があり、かつ斜材が存在しているため、これらの要素を踏まえた効果的な設置が必要でした。
さらに、装置を設置するエリアには、天井までの高さ制限があるため、その空間を最適に活用する工夫が必要でした。
アコーは、建屋の斜材を巧妙に避ける設計を提案し、設備の中央に隙間を設けて斜材を貫通させることで、建屋内に最適に配置しました。これは現場の寸法検査をもとに行われました。
装置の排出口をWスクリューにすることで、建屋の高さ制限を守りつつ、最小のスペースを占めるよう工夫しました。作業者の負担を考慮し、フィルター交換時に石膏粉が触れないよう、上からフィルターを取り出せる仕様を採用しました。
結果として、アコーの提案により、排ガス中に混じる石膏粉を有効に回収でき、かつ斜材を避けつつ建屋内に装置を適切に配置することが達成されました。作業者の安全性と効率性が向上し、より持続可能な製造プロセスが確立されました。
集塵機のオーダーメイドは、製造現場のニーズや要件に合わせて設計されるため、機能性や効率性が最大限に高められる利点があります。一般的な標準仕様の集塵機では十分に満たせない要求に対応できるため、作業環境やプロセスに最適なソリューションを提供することが可能です。
製造現場の状況に適したシステムを構築するためには、吸込フードの設置位置や形状、ダクトの配管設計などを考慮する必要があります。このため、集塵機はオーダーメイドで製作されることが一般的であり、製造現場の特性や要件を正確に把握し、それに基づいて設計や製作を行う必要があります。
オーダーメイドの集塵システムを提供するメーカーには、株式会社アコーや集塵装置株式会社、株式会社九州エアーテックなどがあります。これらのメーカーは、顧客の要望や問題を詳細に把握し、設計から製造、納品、アフターサービスまでをトータルでサポートします。特殊なケースや高度な要件に対応するため、特注・特殊仕様の集塵機を提供することが得意であり、豊富な経験と技術を持っています。