プレダスターとは?役割や適した集塵機タイプを解説
公開:2024.10.11 更新:2024.10.11
プレダスターは、集塵機の前に設置され、固形物や火の粉を取り除く装置です。フィルターの目詰まりを防ぎ、処理ガスの整流を助けます。主にサイクロン集塵機と慣性式集塵機が使用され、特に粘着性の粉塵の回収やフィルター寿命の延長に効果的です。
目次
プレダスターとは?
プレダスターは、集塵機が効率的に動作するために、固形物や火の粉を事前に取り除く装置です。これにより、フィルターの目詰まり防止や安定した集塵機の運転が実現します。プレダスターにはサイクロン集塵機や慣性式集塵機が用いられ、特に目詰まりしやすい環境や粘着性の粉塵を含む作業環境で効果を発揮します。
◇プレダスターの役割
プレダスターは、集塵機の働きをスムーズにするための装置です。固形物や火の粉など、集塵機にとって邪魔になるものを事前に取り除く役割を果たします。これにより、フィルターの目詰まりを防ぎ、処理ガスの整流作用も期待できます。
プレダスターを利用することで、集塵機の安定した稼働が可能となり、メンテナンスの手間が軽減されます。特に、粉塵の多い現場や、長時間稼働する機器においてその効果が顕著です。
◇プレダスターに使われる集塵機
プレダスターは、サブとして集塵機の前段階で働く集塵機です。主にサイクロン集塵機と慣性式集塵機が使われます。
これらの集塵機は、メインの集塵機ほどの高性能は持たないものの、圧力損失が少なく、効率的に粉塵を取り除く役割を担います。サイクロン集塵機は遠心力で粉塵を分離し、85~95%の集塵効率を誇ります。
一方、慣性式集塵機は空気の流れを利用して粉塵を分離し、大きな粉塵を処理するのに適しています。
プレダスターが効果的なシーン
プレダスターは集塵機のフィルターの目詰まりを防ぎ、粘着性の粉塵を効率的に取り除く装置です。これにより、集塵機の寿命が延び、メンテナンスが減少し、作業環境も改善されます。
◇目詰まりを解消したい
集塵機のフィルターは長期間使用することで、繊維の間に粉塵が蓄積しやすく、最終的に目詰まりが発生します。特に、粉塵の量が多い場合や粒子が大きい場合、また静電気が発生しやすい冬場には、粉塵が溜まりやすくなります。
目詰まりが進むと、フィルターの寿命が短くなるだけでなく、機械の故障や健康問題、火災のリスクも高まります。頻繁なフィルター掃除で目詰まりを防ぐことは可能ですが、その分労働力が増え、生産性が低下してしまいます。
プレダスターを利用すれば、事前にある程度の粉塵を除去し、フィルターの目詰まりを自動的に予防することができます。
◇粘着性の高い粉塵を回収したい
粘着性の高い粉塵は、フィルターに付着しやすく、特に金属加工の現場で見られる「オイルミスト」が問題となります。オイルミストは切削油が空気中に漂い、粉塵と混ざり合うことでフィルターの目詰まりを引き起こします。
これにより消費電力が増加し、作業環境が悪化するだけでなく、フィルターが産業廃棄物として処理される必要があります。
また、ベタつきや錆、腐食などのトラブルも発生するため、メンテナンスが大変です。
プレダスターを導入することで、粘着性の高い粉塵を事前に取り除くことができ、フィルターや設備への負担を軽減します。
プレダスターにもなるサイクロン集塵機
マルチサイクロンやサイクロン内蔵集塵機は、それぞれ異なる特徴を持つ集塵機で、用途や規模に応じて効率的に粉塵を取り除くことができます。
◇マルチサイクロン(大型集塵機)
株式会社アコーのマルチサイクロンは、大型のサイクロン集塵機で、高い処理風量と集塵効率が特徴です。火災や高温ガスにも対応できるため、安全性が高く、幅広い用途に対応しています。また、設置スペースに対して大きな処理風量を確保できる点が評価されています。
12μmの粒子を100%分離できる条件下では、その性能が特に際立ちます。オプション導入により、集塵効率をさらに向上させ、自動クリーニングも可能となります。
このマルチサイクロンは、化学製品、食品、金属粉、木粉、レジンなど多様な工業用途に採用され、これまでに850件以上の工場で導入されています。
◇サイクロン内蔵集塵機 IS-15(小型集塵機)
アマノ株式会社のサイクロン内蔵集塵機 IS-15は、小型でありながら、サイクロンとフィルターを一体化した効率的な集塵機です。
最初にサイクロンで半分以上の粉塵を分離し、その後フィルターで細かな粉塵を除去することで、フィルターの寿命を延ばす設計になっています。
粉塵の廃棄や保管も市販のゴミ箱を使って簡単に行え、フィルターの交換も工具を使わずに素早く行うことが可能です。これにより、メンテナンスの手間が大幅に削減されます。
プレダスターの導入で粉塵回収に成功した事例
パイプ製造と化学製品製造の現場で、プレダスターが導入され、削粉やバリ粉塵の回収効率が向上し、作業環境やメンテナンス負担が改善されました。
◇削粉を回収した事例
あるパイプ製造メーカーでは、切削油を使ってパイプを切断しており、エアー噴射で油分と切断くずを除去していました。洗浄は成功していたものの、飛び散り防止のフードを越えて油分と切断くずが広がり、作業環境が悪化していました。
そこで、集塵機と共に導入されたのが、油分を減らすためのプレダスターです。撥水性フィルターも備わっていましたが、油分が多く、対策としては不十分でした。
油を遮断する「グリースフィルター」搭載のプレダスターを追加し、集塵機への油分の流入とフィルターへの負担を軽減しました。
◇バリ粉塵を回収した事例
化学製品製造会社では、ウレタン成型品のバリ粉塵が屋内に飛散し、既存の集塵機では十分に対応できていませんでした。また、剥離剤が粉塵を粘着性の高いものにしており、メンテナンス頻度が増え、作業の負担が大きくなっていました。
新しい集塵機と共に導入されたプレダスターが、大きな粉塵を効率的に回収し、集塵機への負担が減りました。これによりフィルターの交換回数が減り、プレダスターのキャスター付き集塵ボックスや点検窓により、メンテナンスが容易になりました。
プレダスターは、集塵機が効率的に働くために、事前に固形物や火の粉を取り除く装置です。これにより集塵機のフィルターが目詰まりするのを防ぎ、安定した運転が可能となります。処理ガスの流れも整流されるため、集塵効率が向上し、機械の寿命も延びます。プレダスターは、集塵機の前段階で働き、主にサイクロン集塵機と慣性式集塵機が利用されます。
サイクロン集塵機は、遠心力で粉塵を分離する仕組みで、85~95%の高い集塵効率を誇ります。一方、慣性式集塵機は空気の流れを方向転換させて粉塵を分離し、大きな粒子の粉塵を処理するのに向いています。両者ともシンプルな構造であり、設備コストやメンテナンスの負担が軽減されます。
プレダスターは、特に粘着性の高い粉塵や目詰まりしやすい環境で効果を発揮します。例えば、オイルミストや大きな粉塵が多い工場環境では、集塵機のフィルターの負担を軽減し、維持管理が容易になります。プレダスターを導入することで、生産性の向上と機器の故障リスク低減を期待できます。