集塵機に騒音対策は必要?
2024/06/25
集塵機の騒音についての問題は重要です。大型の汎用集塵機は、最大風速が78㎥/min以上の場合、最大で80dB以上の騒音を発生させることがあります。この騒音レベルは、作業現場でのコミュニケーションや作業員のストレスに影響します。
集塵機からは、運転音やパルスジェット音、ファンの回転音などが発生し、特に屋外設置時は周囲に騒音が広がりやすいため、対策が必要です。騒音を放置すると、近隣住人や従業員の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
静音・低騒音型の集塵機や吸音装置の導入が有効であり、騒音対策に成功した事例も多数あります。
目次
集塵機はうるさい?
集塵機から発生する音は、比較的大きいと言われています。集塵機が発する音は騒音と言われるほどのレベルなのでしょうか。
◇大型集塵機の騒音レベル
汎用型の大型集塵機で最大風速が78㎥/min以上の場合、騒音レベルは80dB以上です。これは、飛行機の機内と騒音に匹敵します。なお、パルス型の場合、最大風速が55㎥/min以上で約78dB、屋外に設置された場合の集塵機からは騒音レベルは約56dBです。
騒音が大きいと、作業現場でのコミュニケーションが難しくなるだけでなく、作業員のストレスの原因にもなります。集塵機を設置している場合は、これらの問題を解決するために集塵機の騒音対策が必要です。
◇騒音が発生しやすい場所
集塵機からは、さまざまな種類の音が発生します。具体的には、運転音、集塵機本体からのパルスジェット音、ファンの回転音、排気音などです。
また、通常運転時だけでなく異常時にも異音が発生します。主に回転部の異常が原因です。例えば、インペラーのバランスが崩れて、ケーシングに接触したり回転部に異物が入り込んだりすると、異音が発生します。
集塵機本体で発生したこれらすべての音は、ダクトを通じて外部に漏れる可能性もあります。特に屋外に集塵機を設置している場合、周囲に音を遮るものがなく、騒音が広がりやすいため注意が必要です。
騒音を放置するとどうなる?
工場の騒音や低周波は、近隣住人とのトラブルや作業員のストレスの原因になるため、事業者は騒音規制法が定める規制基準を遵守しなければなりません。騒音レベルの目安は自治体や周辺状況によって異なるため、事前に確認が必要です。
◇近隣への影響
工場の騒音や機械からの低周波が原因で、近隣住人との間でトラブルが発生することもあります。事業者は騒音規制法を守る義務があるため、裁判にまで発展した場合、争点となるのは騒音規制法に基づく規制基準を超えていたかどうかです。例えば、東京都の工場と隣地との境界線における音量基準は、次のとおりです。
朝(6~8時):60dB
昼(8~18時):70dB
夕(18~21時):60dB
夜間(21~翌日6時):55dB
騒音規制法における騒音レベルの目安は、工場周辺の状況や稼働時間によって異なる上に、規制基準は地方自治体によっても変わります。工場が学校、住宅街、図書館などに近接している場合は、さらに厳しい基準が適用されることがあるため確認が必要です。
◇従業員への影響
騒音による身体的なストレスは、騒音性難聴や音響障害などの聴力低下を引き起こすリスクがあり、頭痛やめまいなどの症状を引き起こす原因になります。
高い騒音レベルは心理的なストレスも引き起こし、従業員の作業効率を低下させるだけでなく、ノイローゼや精神的な負担が身体的な不調につながるリスクも否めません。
騒音障害防止のためのガイドラインは、騒音作業に従事する作業員の騒音障害を防ぐことを目的とし制定されたものです。
集塵機でできる騒音対策
集塵機の騒音を防ぐ対策をすることで、近隣住人とのトラブルを未然に防ぎ、作業員が働きやすい環境を整えられます。集塵機でできる主な騒音対策は、静音・低騒音型の集塵機を導入と遮音・吸音装置の追加です。
◇静音・低騒音型の集塵機を導入
既存の集塵機の騒音対策をするのではなく、静音・低騒音型の集塵機を導入するのも選択のひとつです。例えば、大型集塵機のなかには、サイレンサーが内蔵してあるタイプもあります。サイレンサーは排気音を軽減するパーツで、集塵機本体から生じるパルスジェット音を抑えるのに役立ちます。
内蔵型のため、省スペース化を図れるのが利点です。サイレンサー内蔵型の集塵機を導入すれば騒音を約70dB、静音タイプの小中型集塵機であれば騒音を50dBまで軽減できます。
◇遮音・吸音する装置を追加
既存の集塵機を使う場合は、サイレンサーやパネルなど、遮音・吸音する装置を追加することで、騒音対策が図れます。サイレンサーには、内部に設置した吸音材で騒音や排出音を低減させる方法と、一部の周波数の騒音のみを低減させる方法があります。
前者は幅広い周波数を平均的に低減でき、後者は特定の騒音源を低減させるのに適しています。機械の騒音対策に採用されるパネルは複数ありますが、遮音性能と吸音性能に優れたパネルや、多孔質吸音材を使用したパネルなどが効果的です。
集塵機の騒音を改善した事例
集塵機の騒音対策は、状況に応じて適切な方法を選択することが大切です。こちらでは、低騒音型集塵機と吸音材で騒音対策に成功した事例をご紹介いたします。
◇低騒音型集塵機での解決事例
工場内の騒音値規制では、機側1mで65dB以下という厳しい条件があります。ある医薬品研究所では、騒音値規制をクリアする集塵機を販売しているメーカーが見つからず、天井の高さにも制限があったため、低騒音型集塵機を採用しました。
低騒音ノズルとファン用防音BOXを搭載しているため、遮音・吸音装置を追加せずに規制値以下のレベルまで騒音を抑えました。スライドレール式のためフィルター交換も簡単にできます。
◇吸音材などでの解決事例
ある会社の工場内には、集塵機、コンプレッサー、クーリングタワーなど多種多様な設備があり、それぞれの高い騒音が隣接工場や作業環境に悪影響を与えていました。監督署からも指摘があり改善方法を検討していましたが、騒音源の種類と数が多く対応が難航していました。
専門業者に、騒音発生箇所の数値を測定し診断し、それぞれの設備に適した方法で騒音対策を行いました。コンプレッサー室の排気ダクト内に吸音材を設置したり、クーリングタワーにコンクリートブロックで覆ったりした結果、10~20dBの減音に成功しています。
集塵機の騒音問題は、工場や作業現場で重要な課題です。特に大型の汎用集塵機は、最大風速が78㎥/min以上の場合、騒音レベルが80dB以上に達することがあります。この騒音は飛行機の機内と同等であり、作業現場でのコミュニケーションや作業効率に大きな影響を与えます。
集塵機からは、運転音やパルスジェット音、ファンの回転音などが発生し、特に屋外設置時は周囲に騒音が広がりやすいため、近隣住人の生活にも影響を与える可能性があります。
騒音を放置すると、近隣住人や従業員の健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。工場の騒音は、低周波成分を含むことが多く、これが原因で睡眠障害やストレスを引き起こすことがあります。
これらの問題を解決するためには、集塵機の騒音対策が不可欠です。静音・低騒音型の集塵機の導入や吸音装置の追加が有効な対策として挙げられます。静音・低騒音型の集塵機は、サイレンサーを内蔵したり、吸音材を使用することで騒音を大幅に低減することが可能です。また、既存の集塵機に対しては、サイレンサーや遮音パネルの追加が効果的です。