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集塵機とは?掃除機との違いや集塵機を選ぶ際のポイントを解説!

2023/06/30

木工や金属加工、製造工場などでは、粉塵やチリが舞い上がります。そのため、多くの工場でこれらを除去するために、集塵機や業務用掃除機の導入を検討するでしょう。これらはどのように違うのでしょうか。集塵機の用途や集塵機を選ぶ際のポイントについて解説します。

集塵機とは?

集塵機は、空気中に浮遊している微細な粉塵や粒子などを集めて除去する装置です。軽いゴミやホコリなど、少しの振動や衝撃で散乱してしまう空気中のゴミを人が吸わないように防止することを目的としています。

重要なポイントは、「吸う」のではなく、「吸い込む」ことです。例えば、工場などで木を切ったり金属を削ったりすると、粉塵が発生します。これが作業場内に溜まると製品に混入し、作業者の健康にも害を及ぼす恐れがあるため、集塵機による粉塵の吸引が必要となるのです。なお、泥水なども吸引できる乾湿両用の集塵機もあり、粉塵から泥水の掃除まで、さまざまな場面で使用されています。

業務用の集塵機には、大型の工場用から作業机の足元に置ける小型のものまで、さまざまなタイプがあり、大型集塵機は大規模な工場などで、小型集塵機は工場の各ラインや倉庫などで活躍しています。

集塵機と掃除機の違い

掃除機と集塵機は、埃やゴミを吸引するための機械ですが、その仕組みや特徴は異なります。掃除機は、重さのあるゴミを吸い上げるために設計されており、ゴミが地面に密着していることが前提で、接触させて吸い上げる仕組みです。

重要なポイントは、「吸う」のではなく「吸い上げる」ということです。掃除機の先端部分を見ると、吸引口が自然に床に密着する構造になっています。バキュームの力によってゴミを吸い上げるイメージであり、床に密着することでゴミを確実に吸い込みます。

掃除機は高圧で少ない風量の特徴があり、床に密着して埃を吸引します。空中の細かな埃を吸い込むのは難しく、フィルター面積が小さいため、目詰まりが起こりやすいのが難点です。目詰りを放置して運転を続けるとモーターが焼けてしまうこともあるため、長時間の運転には向いていません。

一方の集塵機は、圧力こそ低くなりますが、大きな風量で大量の埃を吸引することができます。切断や研磨などで空中に舞う埃を専用のフードで吸引します。集塵機は多数のフィルターがあり、フィルター面積が大きいため、目詰まりが少なく吸引力が持続します。目詰まりしてもモーターが焼ける心配はありません。

つまり、掃除機は床など平面上の埃を効率的に取り除く時に有効であり、集塵機は工業や加工現場などでの大量の埃やゴミの除去に威力を発揮します。掃除機と集塵機は、それぞれの目的や使用環境に合わせて選ぶことが重要です。

工場や倉庫で発生する粉塵の種類

工場などの生産現場、および倉庫などの保管現場では、さまざまな種類の粉塵が発生します。それぞれについて解説しましょう。

工場で発生する粉塵の例

商品やエネルギーなどを製造する工場では、商品やエネルギーの製造過程でさまざまな材料や物質が取り扱われるため発生する粉塵の種類も多岐に渡ります。

金属加工

金属を削ったり研磨したりする過程で、金属の粉塵や切屑が発生します。鋼材やアルミニウム、銅などの金属を切削や加工する際に、微細な粉塵が舞い上がることがあります。

木工

木材を加工する際には、木くずや木の粉塵が発生します。木を切削したり、削り屑を取り除いたりする過程で、微細な木の粒子が空中に飛散します。

印刷業

印刷機の運転によって、紙の切削やインクの散乱による粉塵が発生します。特に大量の紙を印刷する場合やインクジェットプリンターを使用する場合には、微細なインクの粒子が空中に広がります。

化学プラント

化学反応や物質の混合・粉砕などを行う化学プラントでは、化学物質の粉塵が発生することがあります。微粒子状の化学物質が空中に拡散し、作業環境や周囲の空気品質に影響を与える可能性があります。

食品加工

粉砕や挽肉などの食品加工過程でも粉塵が発生します。例えば、小麦粉やスパイスの粉末を扱う際には、微細な粉塵が空中に舞い上がることがあります。

倉庫で発生する粉塵の例

商品の梱包や運搬、積み下ろしの過程で、細かい粉末や微細な粒子が舞い上がります。これらも粉塵であり、除去が必要です。

穀物の粉塵

穀物や穀物製品の取り扱いや保管により、穀物の粉塵が発生します。例えば、穀物の袋詰めや移動時に微細な粉塵が舞い上がることがあります。

建築資材の粉塵

建築資材の加工や取り扱いにより、石灰、セメント、ギプスなどの建築資材の粉塵が発生します。特に切削や研削作業による粉塵が問題となることがあります。

木材の粉塵

倉庫内に保管される木材や木製品から、木くずや木の粉塵が発生します。これは特に木製品の取り扱いや切削作業によって生じることが多く、火災や健康被害のリスクをはらんでいます。

化学物質の粉塵

倉庫内で保管される化学物質や粉末状の製品から、化学物質の粉塵が発生する場合があります。これには粉末状の薬品や化学添加剤などが含まれます。

粉塵爆発を起こすことも

厚生労働省に、穀物製品の製造工場で粉塵爆発が発生した事例が報告されています。

この災害は、輸入されたとうもろこしを原料として家畜用の飼料を製造する工場で発生しました。爆発の原因は、粉砕機内部の繊維質の乾燥した粉塵であり、噴き出した爆風が周囲に堆積した粉塵を舞い上げ、着火させることで火災が発生しました。

事故発生当日、直火型の乾燥機と貯留室の間から炎が上がり、周囲の鉄骨に堆積した粉塵が燃え上がるのを目撃しました。作業長が2階に上がって鉄骨にホースで水をかけて消火し、1階に戻り乾燥機のバーナーを確認したところ、温度センサーによりバーナーは既に自動的に断火していたのです。また、最初の火災発生から約1時間後、上方の工場建屋内が瞬間的に燃え上がりました。炎は数秒で消えましたが、鉄骨の上に堆積していた粉塵がくすぶっていました。

この災害は、原料となるとうもろこしから分離された繊維質の乾燥粉塵が爆発したものと考えられます。まず、粉砕機内部で最初の爆発が発生し、作業場内の堆積粉塵が舞い上がり、二次爆発が引き起こされたと推定されます。火災の着火源は明確ではありませんが、最初の火災の影響がくん焼状態となって残っていたか、原料に含まれている異物によるスパークや静電気放電などが考えられます。

粉塵爆発は、穀物、金属、高分子化合物、化学薬品、石炭などの可燃性物質が乾燥し、粉状で空気中に浮遊した状態で、火気や火花などの着火源が存在する場合に発生します。粉塵爆発の特徴は、最初の小規模な爆発によって堆積した粉塵が舞い上げられ、連鎖的な二次爆発が発生し、災害が拡大することです。粉塵爆発の危険性は広く存在しており、可燃性の粉塵が存在する事業場では、その危険性をよく理解し、予防策を講じる必要があります。

粉塵の種類から集塵機を選ぶのがポイント

集塵機を選ぶ上で重要なポイントは、吸い込む物質の種類です。乾湿両用の集塵機は、水や水気を含んだ木くずなどの湿った粉塵を吸引できます。一方、乾式専用の集塵機は、完全に乾いた砂やコンクリートなどの粉塵を吸い込むことに特化しているタイプです。

乾湿両用の集塵機と乾式専用の集塵機では、フィルターの種類や構造が異なります。乾湿両用のフィルターは粗めであり、粉塵専用のフィルターは細かくなっているのが特徴です。乾湿両用の集塵機で細かい粉塵を吸引すると、フィルターを通過してモーターに入り込んで故障の原因となる可能性があります。逆に乾式専用の集塵機では、粗いチリや木材の切れ端などを吸い込むと粉塵フィルターが傷つき破損する恐れもあるのです。

集塵機の性能を最大限に活かし、故障や損傷を防ぐためにも、吸引する物質に応じて適切な集塵機を選びましょう。


集塵機は空気中の微細な粉塵や粒子を集めて取り除く装置であり、人が吸わないように散乱を防ぐ役割を果たします。工場での作業などで発生する粉塵は、製品への混入や作業者の健康への影響が懸念されるため、集塵機による吸引が必要です。

集塵機を選ぶ上で重要なポイントは、吸い込む物質の種類です。吸い込む物質によって、乾湿両用の集塵機や乾式専用の集塵機などを使い分ける必要があります。集塵機の性能を最大限に活かし、故障や損傷を防ぐためにも、吸引する物質に応じて適切な集塵機を選びましょう。自社の粉塵除去にどのような集塵機が適しているかが不明な場合は、設計から製造までオーダーメイドで対応する株式会社アコーへ相談することをおすすめします。

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