除塵と集塵の違いは?大型集塵機選定の注意点やトラブルを紹介
2023/12/20
![](https://fungin-guide.com/wp/wp-content/uploads/2023/12/1c376503.webp)
粉塵やほこりの管理は、製造や工業プロセスにおいて不可欠です。その中でも、除塵と集塵は異なるアプローチを取る重要なプロセスです。こちらでは、除塵と集塵の基本的な違いを明らかにし、大型集塵機を選定する際の注意点や一般的なトラブルに焦点を当てて紹介します。工業プロセスにおいて、粉塵やほこりの対策や異物除去は従業員の健康や、製品の品質向上等の観点からも非常に重要です。
除塵と集塵の違いは?集塵機の役割
除塵と集塵は、両者とも粉塵やほこりを取り除くプロセスですが、その手法やアプローチには違いがあります。
◇除塵の一手段としての集塵
除塵は、広い範囲で発生する空気中の粉塵やほこりを取り除くプロセスを指します。これに対して、集塵とは特定の場所や機器で生成された粉塵を効果的に収集することす。つまり、集塵は主に特定の作業場や機械の周りで粉塵を収集するための手段として使用されます。
除塵は通常、広範囲に存在する粉塵を除去するプロセスを指し、一方、集塵はその除塵プロセスの一部として、特定の場所や機器で発生した粉塵を効果的に収集するための手段と捉えられます。
◇原材料費のロスの減少
集塵装置は、製造プロセス中に発生する粉塵や異物を効果的に除去する役割を果たします。これにより、製品表面に付着した異物が減少し、最終的な製品の品質が向上します。製品に異物が混入することによる不良品のリスクが低減され、それに伴う生産ロスが減少する点が大きなメリットです。
特に、粉砕や切削などの作業において、製品としての価値を持つ材料が無駄なく再利用できるため、生産効率と経済性が向上します。
◇粉塵対策の手間と費用を削減
手作業による品質管理は短期的には効果があるかもしれませんが、長期的な視点ではいくつかの潜在的な課題が浮かび上がります。特に、人手不足が深刻な現在は、人的リソースの不確実性(いつでも作業員を確保できるかどうか)が大きな課題です。
さらに作業者による手作業では、清掃の精度が個人によって異なる可能性があるため、品質の一貫性に影響を与え、製品にばらつきを生じさせる可能性があります。総合的な費用対効果を考慮すると、自動化に投資することで、長期的な生産性向上が期待できる可能性があります。
大型集塵機の選定で重要なポイント
大型集塵機を選定する際には、知っておくべき重要なポイントがあります。そのなかでも特に重要な要素について、以下で解説します。
静圧と風量
大型集塵機を選定する際に重要なポイントのひとつは、静圧と風量のバランスです。静圧とは集塵機が粉塵を吸引する力を示す指標であり、ホースやパイプを通して集塵ポイントに到達するまでの抵抗に対抗する力のことを指します。作業現場の複雑なレイアウトや長距離の導管がある場合、静圧の強さが重要です。
風量は1分間に吸引できる空気や粉塵の量を示します。作業現場で発生する粉塵の量や特定の作業に必要な吸引能力に応じて、適切な風量を確保することが重要です。
高圧型集塵機
高圧型集塵機は、近距離での吸引に特化した集塵機です。その特性は、静圧が強力である一方で風量が比較的低いことです。このため、吸引口を物体に近づけるときに強力な吸引力を発揮し、近距離での吸引や特定のポイントからの集塵に優れています。
この特性から、金属加工や木工など、製造現場で直接製品に付着した粉塵を効果的に吸引する必要がある場合や、抵抗の多い環境での集塵が求められる場面で高圧型集塵機が選ばれます。
風量型集塵機
風量型集塵機は、主に空気中の微細な粉塵や浮遊物質の吸引に特化した装置です。その主な特徴は、大量の空気を取り込む能力にあります。これにより、部屋全体や広い作業空間で発生する微細な粉塵を効果的に吸引できます。この特性から、軽い気体や舞い上がった粉塵も効果的に集塵したい場合に風量型集塵機が選択されます。
食品産業や清掃作業、大規模な製造プロセスなど、広範囲な空間での清浄作業に適していると言えるでしょう。
![](https://fungin-guide.com/wp/wp-content/uploads/2023/12/dust-collector-illust1-1.webp)
画像出典先:株式会社ディーオ
大型集塵機の利用で起こりやすい問題
大型集塵機を使用する際、いくつかの問題が発生する可能性があります。大型集塵機で発生しやすいトラブルと、その対処方法をご紹介します。
◇集塵機の吸引力の低下
集塵機のトラブルで特に多いのが、吸引力の低下です。吸引力の低下は、メンテナンス不足によるフィルターの詰まりが原因でよく起こります。フィルターは粉塵や異物を捕捉する役割を果たしており、これが詰まると吸引力が低下します。
これに対処するためには、定期的かつ計画的なフィルターの清掃や交換が必要です。適切な点検スケジュールを設定し、作業環境に合わせた適切なフィルターを使用することで、吸引力を維持できます。
◇粉が漏れる
粉が漏れる問題は、シーリングやガスケットの不良、導管やフィルターの破損によるものです。フィルターと同様に、これも作業環境や適切なメンテナンスの不足によって引き起こされます。
問題解決には、定期的な点検と部品の修理または交換が必要です。シーリングやガスケットの劣化が見られる場合は、これらの部品を適切に交換し、導管やフィルターの損傷があれば修復することが重要です。
◇異臭・異常音・振動の問題
異臭や異常音、異常な振動が起こる場合は、モーターやファン、導管などの部品が損傷している可能性があります。またダンパーの開閉角度が不適切な場合、特に開いている角度が一定の範囲を逸脱してしまうと、サージングと呼ばれる現象が発生し、異常な騒音や振動が起こることもあります。
モーターやファン、導管などの部品が損傷している場合は、適切な修理か部品交換が必要です。異臭や異常な振動の場合も、ただちに点検を行い、必要に応じてメンテナンスを行う必要があります。
除塵と集塵は、粉塵やほこりの管理において異なるアプローチを取るプロセスです。除塵は広範囲な空中の粉塵を取り除く一般的なプロセスであり、集塵は特定の場所や機器で発生する粉塵を収集する手段です。
大型集塵機は、製造プロセス中に発生する粉塵や異物を効果的に取り除き、製品品質を向上させ、不良品のリスクを低減する役割を果たします。また、自動化による集塵は、品質の一貫性を高め、人手不足の問題を軽減し、経済的な生産性向上をもたらします。
大型集塵機を選ぶ際には、静圧と風量のバランス、高圧型と風量型の選択、適切なメンテナンスが重要です。一般的なトラブルは吸引力の低下、粉の漏れ、異臭や異常音、振動ですが、定期的な点検と適切な修理・交換によりこれらの問題を解決できます。大型集塵機は、生産プロセスの効率性向上と粉塵管理の改善に貢献します。
![大型集塵機 完全ガイド](https://fungin-guide.com/wp/wp-content/themes/OriginWiepro/img/banner_bottom.png)