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紙粉は集塵機で回収!放置するリスクや回収しやすい機種を紹介

2024/06/25

紙

紙粉とは、紙製品の取り扱いや加工に伴って発生する微細な紙の粉です。製紙工場や印刷所、オフィスのプリンター周辺でよく見られます。紙の裁断や摩擦が主な発生源であり、粉状と糸状の二種類に分けられます。紙粉は空中に浮遊しやすく、吸入すると健康に害を及ぼす可能性があり、機器の故障の原因にもなり得ます。

完全な防止は難しく、定期的な清掃や集塵装置の適切な配置が有効ですが、その完全なゼロは現実的ではありません。特に精密な機械では摩耗や損傷を引き起こし、粉塵爆発のリスクもあります。湿式集塵機は火災や爆発のリスクを低減し、作業環境の衛生維持に貢献します。

紙粉とは?

画像出典:フォトAC

製造現場では紙粉トラブルがよく起こります。以下では、紙粉の特徴や種類について詳しく説明します。

◇紙粉とは

紙粉とは、紙製品の取り扱いや加工の際に発生する微細な紙の粉のことです。紙粉は特に紙を裁断、印刷、加工する過程で生じやすく、製紙工場や印刷所、オフィスのプリンターやコピー機周辺でよくみられます。製造現場での刃物の摩耗や摩擦によって発生する紙の微細な粉も紙粉の一種です。

紙粉は非常に細かく、空気中に浮遊しやすいため、吸い込むと人体に悪影響を及ぼす可能性があり、また、機械の内部に溜まると故障の原因にもなります。

紙粉の種類は、主に粉状の紙粉と糸状の紙粉の2種類です。粉状の紙粉は紙の裁断や摩擦によって表面や切断面から削り取られた細かい粉状を指します。一方、糸状の紙粉は、紙の繊維が刃物や機械によって引きちぎられた結果生じます。

紙粉が発生するメカニズムとその原因

画像出典:フォトAC

紙粉が発生するメカニズムは、主に紙の構造や使用状況に関連しています。紙はセルロースという植物由来の繊維でできており、これらの繊維が絡み合って強度を保っています。しかし、使用や摩擦が繰り返されると、繊維同士が剥がれたり、破れたりすることがあります。この過程で、細かい繊維片や粉状の物質が生成され、それが紙粉として見られるのです。

具体的には、次のような要因が影響します。

  • 摩擦
  • 湿度
  • 紙の性質
  • 紙の製造年数

紙に何かを書いたり、折ったり、こすったりすることで、紙の表面が摩耗し、繊維が剥がれやすくなります。その際、微量な紙粉が発生します。

また、紙は湿度の影響を受けやすい素材です。高湿度の環境では、紙が膨張し、乾燥すると収縮するため、繊維が壊れやすくなります。繊維が壊れてしまうと紙がぼろぼろになって紙粉となるのです。

そのほか、使用する紙の種類や質も重要です。安価な紙や低品質の紙は、繊維同士がしっかり結びついていないため、紙粉が発生しやすくなります。また、古い紙は劣化しやすく、繊維の結合が弱くなります。その結果、紙粉が出やすくなるのです。

このように、紙粉は物理的な使用や環境の影響を受けて発生するもので、完全に避けることは難しいです。しかし、質のいい紙を使ったり、保管方法を工夫することで、発生を最小限に抑えることができます。

◇発生ゼロにするのは困難

紙粉の発生を完全に防ぐのは非常に難しいです。これは、紙の物理的特性によるものです。紙は繊維質で構成されており、摩擦や裁断によって必然的に粉状の繊維が発生します。

製紙や印刷、製造の工程は高度に複雑で、多くの機械が関与しています。それぞれの機械や工程で紙粉が発生する可能性があり、すべての発生源を完全に抑えることは現実的ではありません。

紙粉の管理には、定期的な清掃や吸引装置の適切な配置、作業員の保護装置の使用などが有効ですが、完全なゼロの実現は難しいとされています。

紙粉で懸念されるリスク

画像出典:フォトAC

紙粉は製造現場での作業過程で発生する紙状の微細な粉塵であり、その存在はさまざまなリスクを伴います。

◇異物混入

異物混入のひとつの原因は、紙粉の滞留です。紙粉が滞留し、湿気や温度の影響を受けるとカビが発生しやすくなります。このカビが紙粉の表面に繁殖することで、製品や作業環境に混入する可能性があります。

さらに問題なのは、カビが紙粉の中で成長し、それがチャタテムシなどの発生源となる可能性があることです。このような虫が製品や原材料に混入すると、品質問題や衛生上の懸念を引き起こしかねません。

◇機器の故障

紙粉は機器や機械の内部に侵入し、機器の故障の原因となることがあるため注意が必要です。特に精密な機械や機器では、紙粉が機構の一部に入り込むことで摩耗や損傷を引き起こし、機器の故障につながる可能性があります。

◇粉塵爆発

紙粉は微細な粉塵であり、特に高温や火花が発生する環境では粉塵爆発の危険性があります。一定の濃度と点火源がある場合には爆発や火災を引き起こす可能性があるためです。そのため、製紙工場や印刷工場では作業場の換気や粉塵の制御、適切な防爆対策の実施が極めて重要になります。

紙粉によるアレルギー症状と影響

画像出典:フォトAC

紙粉は、異物混入や機器の故障、粉塵爆発などのトラブルだけでなく、人体にも影響を与える可能性があります。

紙粉によるアレルギー症状は、主に呼吸器系や皮膚に影響を及ぼすことがあります。紙粉は微細な繊維やその他の物質を含んでおり、それらが空気中に舞い上がり、人が呼吸する際に吸い込む可能性があります。

紙粉が原因で、さまざまなアレルギー症状を引き起こすことがあるのです。

具体的には、紙粉を吸い込むことで、鼻水やくしゃみ、喉のかゆみといった風邪のような症状が発症することがあります。また、喘息を持っている方にとっては、呼吸がしにくくなることもあり、とくに注意が必要です。そのほか、紙アレルギーの方の皮膚に触れると、かゆみや発疹を引き起こすこともあります。

オフィスや工場などの紙粉が発生しやすい環境では、紙粉によるアレルギーに注意が必要です。紙を頻繁に扱う場所では、換気を良くしたり、アレルギー対策を講じたりすることが、症状を軽減する手助けになります。

また、アレルギー反応が強い場合には、医師に相談し、適切な対策を取ることが大切です。

紙粉や紙片をスムーズに回収した事例

画像出典:フォトAC

ある工場では、紙粉と紙片の問題に悩まされていました。生産ラインからの紙粉の発生や、機械の運転中に発生する紙片が作業環境や機器のメンテナンスに悪影響を与えていたのです。そこで、ある集塵システム提供業者はサイクロン集塵機を導入することを提案しました。

◇サイクロン集塵機による分離

サイクロン集塵機は、その特有の旋回運動によって空気中の微細な紙粉や紙片を効率よく分離します。集塵機内部での旋回により、重力と遠心力を利用して紙粉を分離し、それを集めることが可能です。

このプロセスにより、作業環境の清浄化が図られ、機器や製品への紙片の混入が防止されました。さらに、サイクロン集塵機は集塵後の紙粉の再利用も可能であり、廃棄物削減の点でも一定の効果がありました。

◇紙片を直接回収

サイクロン集塵機は紙片の直接回収にも適しています。機械の稼働中に発生する紙片を効率的に吸引し、集塵機の容器やフィルターに集めます。

これにより、作業現場での廃棄物の発生量が削減され、環境負荷が軽減されました。また、紙片の回収率が向上したことで、資源の有効活用が促進されたのもポイントです。

湿式集塵機なら火災や爆発のリスクが低減

画像出典:フォトAC

乾式集塵機では粉塵が集塵機内に蓄積されるため、高い濃度の粉塵と点火源があると爆発や火災の危険があります。しかし、湿式集塵機では水と粉塵が混ざるため、爆発性の粉塵が希釈されて安全性が向上します。

◇湿式集塵機とは

湿式集塵機は、粉塵や微粒子を水蒸気や水滴と接触させて捕集する集塵装置です。この装置は主に製造業などの工業環境で使用され、粉塵を効果的に取り除くことで作業環境の衛生維持や作業者の健康を守る役割を果たします。

湿式集塵機は、その捕集メカニズムにより粉塵が空気中に漂わず、粉塵爆発のリスクが低いのが特徴です。

◇乾式集塵機との違いとは

湿式集塵機と乾式集塵機は、主にその粉塵の捕集の仕方に違いがあります。湿式集塵機は、空気中の粉塵を水や液体を使って捕集します。一方、乾式集塵機は、フィルターやサイクロンといった物理的な手段を用いて、空気中の粉塵を集めます。乾式集塵機は、作業場の清掃や木材加工、プラスチック加工などの環境で使われることが多いです。

湿式集塵機と乾式集塵機は捕集方法や機械構造に違いがあり、工場の環境や扱っている物質によってどちらを採用するかを検討する必要があります。

先述の通り、乾式集塵機の場合、集塵機内で粉塵を蓄積するので、濃度の高い粉塵と発火源があると火災リスクが高まってしまいます。もちろん、両者とも捕集方法や捕集する物質そのものに違いがあるので、湿式集塵機と乾式集塵機それぞれの特徴を理解したうえで、検討を進めましょう。

◇主要メーカーの湿式集塵機

国内主要メーカーの湿式大型集塵機をご紹介します。

・アコーのウェットスクラバー
シンプルさと強力な集塵機能を追求した湿式集塵機です。フィルターのない構造であるため、風量が低下しにくいのが特徴です。微粒子を99~100%集塵でき、さらに水を使った集塵のため火災・爆発のリスクもありません。

・アマノの粉塵爆発圧力放散型湿式集塵機(スクラバー)
溶接作業やレーザー加工など、火災の危険性がある現場に適した湿式集塵機です。溶接時の粉塵の集塵率は90%以上を誇ります。水位調節や給水はすべて自動であるため、効率よく集塵できます。

集塵機選びのポイント

画像出典:フォトAC

集塵機を選ぶときは、いくつかのポイントを考慮することが大切です。まず、集塵機の目的を明確にすることが重要です。

使用する場所や捕集したい粉塵の種類によって、必要な機能や性能が変わります。たとえば、木工や金属加工の現場では、それぞれ異なる種類の粉塵が発生するため、それに対応できる集塵機を選ぶ必要があるのです。

さらに、集塵機のフィルター性能を確認するのも重要です。フィルターの性能や効率によって、どれだけ微細な粒子を捕集できるかが変わることもあります。とくに、アレルギーや呼吸器系の問題を抱えている人がいる場合、高性能なフィルターを選ぶことが推奨されています。

また、集塵機のサイズや作業性も考慮しましょう。作業場のスペースや使用頻度に応じて、使いやすいサイズを選ぶのがおすすめです。また、集塵機を移動させる可能性がある場合は、移動させやすいものを選択するといいでしょう。

さらに、稼働時の音の大きさも重要です。騒音レベルが高いと、作業者がストレスを感じることがあるため、静音性の高い製品を選ぶといいでしょう。

そのほか、メンテナンスのしやすさも大切です。フィルター清掃を簡単にできるかどうかや、交換作業をスムーズにできるかどうかは、長期間にわたり快適に使用するために重要な要素です。

以上のポイントを踏まえて、自社のニーズに合った集塵機を選べば、効率的に粉塵を抑制することができ、快適な作業環境を実現できます。

集塵機を導入するときの注意点

画像出典:フォトAC

集塵機を導入する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。まず、設置場所の選定が重要です。集塵機は作業現場の近くに配置することで、粉塵を効果的に捕集できますが、周囲の作業スペースを妨げないよう配慮する必要があります。

また、適切に換気できる場所を選ぶことも大切です。万一、換気が不十分な場合、粉塵が機器内にこもってしまう可能性があり、故障や火災の原因となってしまう可能性があります。

そのほか、電源の確保と配線にも注意が必要です。集塵機は大きな電力を必要とすることが一般的で、容量に合った電源が必要となります。また、作業の妨げにならないように配線を整理することも大切です。誤ってケーブルを引っかけると、事故や故障の原因となることがあります。

さらに、集塵機のメンテナンスも非常に重要です。フィルターの交換や清掃の頻度を確認・記録し、定期的なメンテナンスをおこなうことで、集塵機の本来の性能を維持できます。また、使用頻度や粉塵の量に応じて、メンテナンススケジュールを立てるのがいいでしょう。

最後に、集塵機の選定時に製品の特性や性能を十分に理解しておくことが必要です。フィルターの種類や集塵能力、音の大きさなど、自社のニーズに合った製品を選ぶことで、効率的に粉塵を管理できるようになります。


紙粉は機器の故障や粉塵爆発といったトラブルだけでなく、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。紙粉の発生を完全にゼロにすることはできませんが、集塵機を活用することで飛散を低減することができます。

ひとえに集塵機といってもさまざまな種類があり、適切な機器を見つけることが大切です。数多くある集塵機の中から、用途や設置スペース、改善箇所に合った集塵機を探しましょう。

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