大型集塵で火災実験室における煙や臭気の回収に成功した事例を紹介
2024/05/30
集塵機は、木材や金属加工から発生する粉塵だけでなく、液体や気体の微粒子も除去する多用途装置です。特に、切削油からのオイルミストや溶接作業の煙など、さまざまな産業で発生する微粒子に対応しています。
集塵機には、フィルターや濾過装置を含む様々な機構が使用され、静電集塵や水洗いフィルターなど特殊技術も活用されています。これにより、効率的に粒子を捕集し、清潔な作業環境を維持できます。
ある科学捜査研究所では、脱臭装置を備えたバグフィルターを導入し、実験後の煙や臭気を迅速に除去できるようになりました。
集塵機が集塵できるものとは?
集塵機は、一般的には木や金属加工時に発生する粉塵を吸引・捕集するための装置として認識されていますが、実際にはその機能は粉塵だけに限定されません。
◇集塵機が対応可能な粒子
集塵機は、空気中に浮遊するさまざまな微粒子を効果的に除去するために設計されています。このような微粒子は、粉塵だけでなく、液体の微粒子や気体の微粒子も含みます。
例えば、金属加工の際に使用される切削油や冷却液から発生するオイルミスト、または溶接や溶解作業時に発生する煙やガスなどが該当します。なお、粉塵の粒径は1~150㎛程度、それよりも微細な固形粒子(ヒューム)は0.1~1㎛程度、ミストは5~100㎛程度とされます。
◇対応可能な種類
集塵機がこれらの微粒子を効果的に除去するためには、様々な機構が活用されます。一般的には、フィルターや濾過装置が使用されます。これらの装置は、微粒子を捕集することで空気を浄化し、清潔な環境を維持する役割を果たします。
さらに、一部の集塵機は静電気を利用した静電集塵や、水を使用した水洗いフィルターなどの特殊な技術を組み合わせて、微粒子の除去効率を向上させることがあります。
これにより、様々な産業や作業現場でさまざまな種類の微粒子を効果的に除去することが可能です。集塵機は単なる粉塵除去装置にとどまらず、液体や気体の微粒子も効果的に除去する汎用性の高い装置として広く利用されています。
火災実験室が抱える集塵機の機能不足とは?
ある警察付属機関の科学捜査研究所では、火災の実験を行っていました。このような研究所では、機器や器具からの発火、自然発火、放火、爆発などで発生する火災の原因究明や燃焼に関する研究を行っています。
この科学捜査研究所では、出火から鎮火までの実験を行っていました。
◇煙や臭気を素早く排出したい
火災実験室では、実験後の煙や臭気を迅速に排出することが重要です。次の実験を行うための準備や、実験環境のクリーンアップを迅速に行う必要があるためです。
煙や臭気が実験室内に留まってしまうと、次の実験の開始を遅らせるだけでなく、実験環境の安全性や精度にも影響を与える可能性があります。そのため、煙や臭気を効果的に除去し、屋外に清浄空気として素早く排出するシステムが必要です。
◇設置スペースが限られている
火災実験室では、大型集塵装置や脱臭装置を屋上に設置することが一般的ですが、その屋上スペースが限られている場合があります。このような状況では、効率的なスペース利用が求められます。
大型集塵の代わりにバグフィルターを導入
先に挙げた科学捜査研究所では実験の効率を高めるために、集塵装置の導入を決めます。集塵装置株式会社へ相談し、脱臭装置を備えたバグフィルターを選定しました。
◇バグフィルターの特徴
バグフィルターは、含塵ガスを通すことで粉塵などの分離除去を行う集塵機の一種です。これは、フィルターによってガス中の粒子を捕捉し、浄化することで、環境や作業場の清潔さを維持する役割を果たします。
一般的にはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの合成素材が使われますが、木綿や羊毛などの天然素材を使用した製品も存在します。また、高温の排ガスを処理する場合には、耐熱性のある素材如き耐熱ナイロンやガラス繊維が用いられます。
そのため、バグフィルターは、その素材や設計によって様々な用途に対応し、効率的な粉塵や汚染物質の除去を行うことが可能です。
◇バグフィルターのメリット
バグフィルターのメリットは、まずフィルターの素材バリエーションが豊富である点です。これは、異なる環境や用途に応じて最適な素材を選択できることを意味します。
例えば、高音な排ガスや微細な粉塵といったさまざまな汚染物質に対応するために、適切な素材を選ぶことが可能です。また、これらの素材は耐久性や効率性にも影響を与えるため、目的に応じて最適な性能を引き出せます。
さらに、バグフィルターは適用範囲の柔軟性が高いという利点もあります。様々な排ガス処理のニーズに対応でき、排ガスの種類や濃度、粒子のサイズなどが異なる場合でも、適切なフィルター装置を選択することで効果的な処理を行えます。
バグフィルターを導入した事例を紹介
バグフィルターを導入した科学捜査研究所では、スムーズに煙の排出ができるようになり、無駄な待ち時間が削減されました。
◇実験に影響が出ない煙排出システム
火災の様子を見失わずに、実験を続行するために必要な程度の煙を排出できるようになりました。通常、排風機は高速で運転し、大量の空気を排出しますが、これでは煙を過剰に排出してしまい、実験の観察や結果の取得に支障をきたします。
インバーター制御を使用することで、排風機の回転数を微調整し、必要なだけ煙の排出が可能となりました。インバーター制御は、排風機の動力を微調整する技術で、従来の単純なON/OFF切り替えよりも柔軟性があります。
火災実験中に発生する煙を排出する際に、排風機を微速運転させることが可能となり、実験に必要な視界を確保しつつ、安全かつ効率的に実験を進められるようになりました。
◇待ち時間無しで実験室に入室できる
実験後の全量排気時間が短いことは、実験室内の空気を素早く清浄化し、実験室の環境を早急に元の状態に戻すことを意味します。これは、火災実験後に発生した煙や臭気を効率的に除去することによって実現されます。
インバーター制御によって排風機が微速運転され、必要な量の煙が排出されるため、排気が素早く完了します。その結果、実験室内の空気が速やかに清浄化され、実験後の待ち時間が大幅に短縮されます。実験者は実験後に待ち時間なく実験室に入室でき、次の実験を迅速に開始できるようになりました。
集塵機は単に木材や金属加工における粉塵を除去する装置にとどまらず、液体や気体の微粒子も効率的に捕集します。この装置は、切削油から生じるオイルミストや溶接作業の煙といった、さまざまな産業活動で発生する多種多様な微粒子を対象としています。
集塵機にはフィルターや濾過装置が組み込まれており、静電集塵や水洗いフィルターなどの先進技術を利用して、微粒子を効果的に除去し、作業環境の清潔を保持します。
特に、ある警察付属の科学捜査研究所では、実験後の煙や臭気を素早く排出する必要があるため、集塵装置株式会社の技術を活用しています。同研究所では、新しい煙排出システムを採用し、火災実験中の煙を適切に制御し、必要最低限の煙のみを排出することで、過剰な排気を防ぎつつ実験の観察性を確保しました。
インバーター制御を利用した排風機の精密な速度調整により、煙や臭気が迅速に取り除かれ、実験室の空気は短時間で清浄化されます。その結果、実験者は実験後すぐに実験室に入室可能となり、次の実験への準備を迅速に進めることができるようになりました。