大型集塵機選びは排気温度が重要!高温ガス対応の集塵機を紹介
2023/11/30
建設現場や工場での作業に伴う粉塵対策において、大型集塵機の選定は極めて重要です。粉塵の種類や発生量、作業内容によって最適な機種を選び、作業環境を良好に保つことが求められます。特に、排気温度は集塵機の性能を左右し、法令や条例による制約も存在します。高温ガス集塵機には様々なメーカーがあり、それぞれ独自の特長を備えています。
大型集塵機を選定する際には排気温度が重要?
建設現場や工場で発生する粉塵から作業員を守るために大型集塵機が使用されています。大型集塵機は、作業により発生した粉塵を吸い込む働きがあり、建設現場や工場の空気を衛生的に保つことができます。大型集塵機を設置する際は、以下のポイントを重視しましょう。
集塵方法を選ぶ
大型集塵機にはさまざまな種類があり、粉塵の種類や発生する粉塵の量だけでなく作業内容によって適切な集塵機を選択する必要があります。発生する粉塵の種類や量に適していない集塵機を設置してしまうと、現場内の衛生環境が悪化するだけでなく、余計なコストがかかります。
適切な機種を選ぶためには、まず発生する粉塵のについて詳しく調べます。粉塵の粒の大きさや重さだけでなく、温度や水への強さ、揮発のしやすさなど化学的性質まで細かく調べる必要があります。
工場や建設現場でどのような粉塵が発生しているかを十分に調査しないまま大型集塵機を設置してしまうと、フィルターが頻繁に目詰まりを起こしたり、反対に粉塵を吸わなかったりします。
粉塵の種類を詳細に調査し、発生する粉塵に合った集塵機を選択することで集塵機が持つ性能を最大限発揮できます。
後処理の方法を選ぶ
集めた粉塵の後処理の方法を決めることも重要です。粉塵は普段空気中を漂っているため、集塵機で粉塵を実際に集めるまでは発生している粉塵の量を把握できません。
集塵機で集まった粉塵が予想を上回る量だった場合、粉塵の処理に手間がかかるのはもちろん、処理にかかる費用も高額になる可能性があります。
粉塵の量や取り出し方法、周期はもちろん、運搬方法や処理方法などを詳細に決めておくことでスムーズに集めた粉塵を処理できます。集塵機においては処理する際の風量も大事な要素です。
フード設計
大型集塵機は、フードの形状や寸法で風速が決定されます。風量が多ければいいというわけではなく、粉塵の種類や発生量に対して風速や吸い込み風量が多いとエネルギーの消費も多くなります。結果としてランニングコストが高くなるため、適切な風量やと風速を選択すべきです。
排気温度の決定
風速や風量に加えて、排気温度も集塵機の効率を決める重要な要素です。集塵機の性能を表す指標には集塵率があり、集塵率には排気温度が大きく関係しています。また、法令や条例により粉塵の排気温度が定められている場合があるため、設置の際に確認する必要があります。
高温ガス集塵機をメーカー別に紹介!
高温ガスを用いた大型集塵機を扱う会社は数多くあり、各会社が扱う大型集塵機にはそれぞれ異なる特徴があります。
アマノ株式会社
アマノ株式会社が扱う高温有害ガス除去装置は、高温の焼却ガス内の有毒ガスや微粒子などが除去できます。900℃以上の高温になる焼却ガスに水を噴射することで、ガスの温度を200℃以下まで急速冷却します。急速冷却することで、ダイオキシンの発生を大幅に抑制できます。
また、冷却に用いられた水はすべて蒸発するため排水の処理が不要です。冷却されたガスに消石灰と活性炭を投入し、ガスを中和し微粒子を消石灰や活性炭に吸着させることで効率よくガスや粒子が除去できます。
株式会社アコー
株式会社アコーのマルチサイクロンは、遠心力を用いて集塵する集塵機です。特徴的なのは、集塵機に小型サイクロンを組み込むことで高い集塵効率を実現している点です。
化学製品や食品、金属粉など、さまざまな用途に使用されており、化学品工場や食品工場を中心に852件の導入実績があります。
マルチサイクロンは小型ながらも、設置面積に対して高い処理風量を実現し、限られたスペースでも効率的に集塵ができます。
また、自動クリーニング装置が搭載できるため、運転中でも自動的にクリーニングが行えます。
日本ガイシ株式会社
日本ガイシ株式会社の高温ガス集塵装置は、独自のセラミックフィルターを用いた集塵機です。セラミックは耐熱性が高く、不燃性があるため、高温ガスを集塵する際の火災の可能性が極めて低いです。
通常であれば必要となるガスの冷却が不要となるため、冷却装置の取り付けが不要です。冷却装置が不要なので、トータルコストを削減できるだけでなく、省エネルギーにも配慮した製品です。また、セラミックは高い耐食性があるため、腐食性を持ったガスにも使用可能です。
日本スピンドル製造株式会社
日本スピンドル製造株式会社の高温ガス用集塵装置は250℃以上の温度条件での集塵が可能です。従来の集塵機では、冷却設備を搭載して高温ガスを一定の温度まで冷却しないと集塵ができませんでした。しかし、日本スピンドル製造株式会社はセラミックフィルターを用いて、250℃以上での集塵を可能にしています。
エネルギー回収効率も向上しているため、地球温暖化に配慮した製品です。ホソカワミクロン株式会社の高温排ガス集塵は、焼却炉やボイラーなどから廃棄される排気ガス内のばいじんを除去するための集塵機です。ばいじんが大気中に放出されると、酸性雨を引き起こし、環境を破壊する原因になります。
高温排ガス集塵は、高温ガスを扱うため耐熱性能が高いのはもちろん、腐食にも強い特殊な設計です。
また、消石灰や重曹などのアルカリ性の粉末を吹き込むことで酸性ガスを中和しています。
大型集塵機の選定では、粉塵の種類、量、化学的性質、排気温度などを考慮する必要があります。粉塵の特性に合わない機種を選ぶと、効率低下やコスト増加のリスクがあります。適切な風量や風速、排気温度を考慮することで、集塵率を最大化し、ランニングコストを抑えることが可能です。
各メーカーは高温ガス用の集塵機を提供しており、アマノ、アコー、日本ガイシ、日本スピンドル製造、ホソカワミクロンなどの企業が特徴的な製品を展開しています。これらの集塵機は高い耐熱性、耐腐食性を備え、環境保護にも寄与しています。