サイロの粉塵リスクは爆発だけではない?安全に回収するアイデアとは
2024/08/19
サイロは、工業用と農業用に大別され、さまざまな業界で利用される貯蔵設備です。しかし、サイロの使用には火災や労働災害のリスクが伴い、適切な安全対策が不可欠です。アコーは、従来型のバグフィルターをプリーツバグフィルターに置き換えることで、安全性とメンテナンス性の向上を図り、作業環境の改善に成功しました。
プリーツバグフィルターは耐久性が高く、交換頻度が少ないため、長期的なメンテナンスコストの削減にも寄与し、作業員の負担も軽減されています。さらにアコーは、高所作業が必要だったバグフィルターをプリーツバグフィルターに置き換える際、海に近い地域で錆びていたハシゴや手すりを錆にくいステンレス製に刷新し、安全性を向上させました。
目次
サイロは様々な業界で活用
サイロは、さまざまな業界で幅広く利用される貯蔵設備であり、業種ごとに異なる役割を果たしています。ここでは、工業用サイロと農業用サイロの概要と、それらがどのように利用されているかについて説明します。
◇工業用サイロ
工業用サイロは、主に大量の粉体や粒体を貯蔵するために使用される設備です。セメント、化学製品、金属粉など、さまざまな工業製品の保管に適しており、保管物に応じて高さや容量などの仕様が変わります。
工業用サイロは、建設業界や製造業、鉱業などの産業界で広く使用されており、大型集塵機と組み合わせることで、製品の保管と同時に粉塵の飛散を防止する役割も果たします。これにより、作業環境の安全性が向上し、製品の品質保持が可能となります。
◇農業用サイロ
農業用サイロは、主に家畜飼料や穀物の貯蔵に使用されます。サイレージ内で発酵過程を経た飼料は栄養価が高まり、家畜の消化吸収を助けるため、特に酪農業では家畜の健康管理において重要な役割を果たします。
穀物や飼料を長期間にわたり新鮮な状態で保管するために、多くは耐久性の高い素材で作られています。
サイロでの作業で起こりえるリスク
サイロは多くの業界で利用されていますが、その構造と用途から特有のリスクも伴います。サイロ内での作業やその周辺での活動には、火災や労働災害のリスクが存在し、これらのリスクに対する対策が不可欠です。
◇火災
サイロは大量の可燃性物質を保管することが多く、特に工業用サイロでは粉塵爆発が発生するリスクがあります。例えば、粉体や粒体が蓄積されたサイロ内で、静電気や摩擦熱が発生すると、これが引火点を超えた場合に火災が発生するなどです。
実際に、木材加工工場で木粉を貯蔵していたサイロが爆発し、近くで作業していた作業者が火傷を負った事故がありました。
この工場では、加工中に発生した木粉をダクトで吸引してサイロに貯蔵し、その木粉をボイラーの燃料として使用していましたが、作業者がサイロの近くでスクリューコンベアの操作を行っていた際、サイロが突然爆発し、作業者が爆風と火炎に巻き込まれ火傷を負ったのです。
このような火災は一度発生すると急速に広がり、大きな被害をもたらすことがあるため、サイロ内の粉塵管理や火災予防策は非常に重要です。また、サイロの設計段階から防火対策が施されることが求められており、定期的な点検と清掃が欠かせません。
◇労働災害
サイロ内での作業や点検作業には高所作業が伴うことが多く、これが原因で労働災害が発生するリスクがあります。特に、サイロの上部での作業や内部の清掃作業は危険が伴い、高所からの転落、酸欠やガス中毒などによる窒息などのリスクがあります。
高所での作業が必要な場合、しっかりとした安全対策が求められます。例えば、適切な安全装備の使用や作業手順の徹底、安全教育の実施、適切な換気とモニタリングなどの対策が必要です。
労働災害対策に向けたアコーの提案
労働災害のリスクを軽減するためには、設備の見直しや改善が不可欠です。特にサイロのような高所作業が伴う設備では、より安全性の高い装置への更新が効果的です。ここでは、アコーが提案する労働災害対策について紹介します。
◇プリーツバグフィルターに置き換え
ある企業のサイロ上には、数台のバグフィルターが設置されていました。しかし、バグフィルターの高さは5.5メートルにも及び、点検やメンテナンスの際には高所で作業しなければなりません。このような作業は非常に危険であり、労働災害のリスクが高まる要因となります。
アコーは、このような状況を改善するため、従来のバグフィルターをプリーツバグフィルターに置き換えました。この新しいフィルターは高さが2.4メートルに抑えられており、点検やメンテナンスが容易になり、高所作業の頻度が大幅に減少したのです。これにより、安全性が向上するとともに、作業効率も高まりました。
◇プリーツバグフィルターとは
アコーのプリーツバグフィルターは、ろ布をひだ折りにしているタイプのフィルターです。従来のフィルターと比べてフィルター面積が約4倍に大きくなり、圧力損失による回収漏れも防げます。
また、プリーツバグフィルター自体のサイズも従来のフィルターと比べて1/2~1/3ほどで済むため、省スペースな集塵機でも集塵効率が下がる心配がありません。さらに、フィルター面積が大きいとフィルターの寿命も延びるため、フィルター交換の手間やコスト手間も軽減できます。
なお、この企業の事例では新しい集塵機とともに導入しましたが、プリーツバグフィルターは既存の集塵機にも適用できます。
安全性とメンテナンス性が向上
サイロでの作業において、安全性とメンテナンス性の向上は非常に重要です。特に、高所作業やフィルターのメンテナンスに関する改善は、作業環境の安全性を高める上で欠かせません。ここでは、アコーの集塵機を導入したことで実現した職場環境の改善について説明します。
◇安全性が向上
アコーは、従来の高所作業が必要なバグフィルターをプリーツバグフィルターに置き換える際に、集塵機につながるハシゴや手すりなどの安全装備も刷新しました。この企業は海が近い地域であったため、潮風で既存のハシゴや手すりなどが錆びていたからです。
昇降時にハシゴや手すりが壊れて人が転落するなどのリスクを回避すべく、錆にくいステンレスでハシゴや手すりを作り直しました。
◇メンテナンス性が向上
プリーツバグフィルターは、耐久性が高いため、交換頻度も少なく、長期的なメンテナンスコストの削減にも寄与します。
実際にこの企業では、アコーのプリーツバグフィルターに変えてから約7年経過しましたが、まだフィルター交換を実施していないとのことです。フィルターの交換作業が簡便化されることで、作業員の負担もメンテナンスコストも軽減されました。
サイロは、さまざまな業界で幅広く利用される貯蔵設備であり、工業用と農業用に大別されます。工業用サイロは、セメントや化学製品などの粉体や粒体を大量に貯蔵するための設備であり、製品の品質を保つと同時に、粉塵の飛散を防ぐことで作業環境の安全性向上にも大きく寄与します。
一方、農業用サイロは主に家畜飼料や穀物の長期保管に使用され、特に酪農業では、栄養価の高い飼料を新鮮な状態で保つために欠かせない存在です。
しかし、サイロの使用には、火災や労働災害といったリスクが伴います。例えば、工業用サイロでは、静電気や摩擦熱によって粉塵爆発の危険性があり、農業用サイロでも、適切な管理が行われなければ労働災害が発生する可能性があります。そのため、これらのリスクに対する適切な安全対策が不可欠です。
アコーは、こうした安全性の課題を解決するため、従来型のバグフィルターをプリーツバグフィルターに置き換えることで、作業環境の改善を実現しました。
プリーツバグフィルターは、従来のフィルターに比べて耐久性が高く、フィルター交換の頻度が少なくなるため、長期的なメンテナンスコストの削減にもつながります。また、フィルター交換が容易になることで、作業員の負担が軽減され、より安全な作業環境が提供されます。
さらに、アコーは海に近い地域で使用されていたサイロの高所作業における安全性を向上させるため、錆びていたハシゴや手すりを錆にくいステンレス製に刷新しました。
これにより、昇降時の転落リスクが減少し、作業の安全性が大幅に向上しました。これらの対策により、アコーはサイロを使用する現場での安全性と効率性の向上に成功しています。