砂型鋳造の粉塵はどう回収する？おすすめの集塵機タイプをご紹介 | 【大型集塵機完全ガイド】おすすめ集塵機メーカー2選

砂型鋳造の粉塵はどう回収する？おすすめの集塵機タイプをご紹介

公開：2024.08.27　更新：2024.12.23

砂型鋳造の作業工程で発生する粉塵が作業者の健康や作業環境に悪影響を与える可能性があるため、適切な対策が必要です。特に、造型や型ばらしの作業では粉塵が大量に発生するため、バグフィルターやサイクロン集塵機などの集塵装置の導入が推奨されます。

珪砂などの使用による珪肺リスクや、効率的な砂の回収も重要な課題です。粉塵飛散防止剤の使用が再利用を難しくする場合があります。

砂型鋳造で生じる粉塵には対策が必要

砂型鋳造は、古くから利用されている加工方法ですが、その工程で発生する粉塵は、作業者の健康や作業環境に影響を与える可能性があります。特に造型や型ばらしの過程では粉塵が大量に発生するため、適切な対策が必要です。

◇粉塵が発生する作業

造型作業では、砂と樹脂を混合し、型を作る際に微細な砂粒が空気中に飛散することがあり、これが粉塵の原因となります。また、型ばらしでは、固まった鋳物を取り出すために砂型を振動で崩しますが、この過程でも大量の粉塵が発生し、作業環境に影響を与えます。

さらに、製品に付着した砂をショットブラストで除去する際にも、微細な砂粒や他の粒子が飛散しやすいため、適切な防塵対策が欠かせません。

これらの作業は、じん肺施行規則において「粉じん作業」と定められており、作業者の健康を守るために十分な対策が求められています。

◇砂型鋳造で生じる粉塵

砂型鋳造で発生する粉塵は、主に使用される砂の種類によって異なります。

最も一般的に使われる珪砂は、二酸化ケイ素を主成分とし、手に入りやすく耐火性が高い物質です。しかし、熱膨張しやすく、加工中に粉塵が発生しやすい特徴があります。

山砂は粘結力が高く、安価に利用できる一方で、やはり粉塵が発生するため対策が必要です。また、ジルコンサンドやクロマイトサンドといった特殊砂も砂型鋳造に使用されており、それぞれ異なる特性を持っています。

これらの特殊砂は熱膨張率が低く、鋳物の欠陥を防ぎやすいという利点があるものの、粉塵が作業環境に影響を及ぼす可能性は依然として残っています。

砂型鋳造における主な課題

砂型鋳造では、粉塵の発生や砂の効率的な回収、作業者の健康リスクが大きな課題となっています。特に、珪肺リスクや砂の回収が重要な問題として取り組むべき点です。

◇珪肺リスクの回避

珪砂は、砂型鋳造で最も一般的に使用される材料で、その主成分である二酸化ケイ素は耐火性が高く、手に入りやすいという利点があります。しかし、珪砂を取り扱う際には、珪肺症という重大なリスクが伴います。

珪肺症は、シリカの粉塵を吸い込むことで肺が恒久的に瘢痕化し、呼吸困難やせきといった症状を引き起こす病気です。特に鋳物工など、シリカを含む粉塵にさらされる作業者は、このリスクが高くなります。

珪肺症は治癒が難しく、進行すると日常生活にも支障をきたすため、作業環境での粉塵対策が極めて重要です。

◇効率的な砂の回収

砂型鋳造において効率的な砂の回収を行うためには、粉塵の飛散を抑える散水や粉塵飛散防止剤の使用が有効ですが、これにより砂が地面に落ち、回収が難しくなるという問題が生じます。

特に粉塵飛散防止剤は粉塵を固定するため、砂の再利用や回収が困難になることがあります。そのため、砂の回収では、粉塵対策と回収作業を両立させる工夫が必要です。

砂型鋳造の粉塵回収に適した集塵装置と集塵機

砂型鋳造では、大量の粉塵が発生するため、効率的な集塵装置の導入が不可欠です。特に粉塵の種類や粒子径に応じた適切な装置選定が重要であり、作業環境の改善や作業者の健康保護に直結します。

◇バグフィルター

バグフィルターは、産業設備から排出されるガス中のダストを効率的に集塵するために使用されるろ過式集塵機です。バグフィルターの構造は、家庭用掃除機と同じように、フィルター（ろ布）を通してダストをろ過し、清浄なガスだけを排出する仕組みになっています。この装置は、サイクロン集塵機では捕集が難しい微細な粒子までしっかりと取り除くことが可能です。

フィルターの素材には多様な種類があり、鋳物砂の回収においては特に耐摩耗性に優れたナイロン製のフィルターがよく使用されています。このナイロン製バグフィルターは、研磨材や鋳物砂など、過酷な条件下でも優れた集塵能力を発揮し、作業環境の改善に貢献しています。

◇サイクロン集塵機

サイクロン集塵機は、遠心力を活用して粒子を分離・回収する効率的な装置です。原理は掃除機のサイクロン機構と似ており、含塵ガスを円筒形の容器内で高速旋回させることで、粒子を遠心力によって内壁に押し付け、その粒子を容器の下部から排出します。

このシンプルな構造により、稼働部品が少なく、メンテナンスが容易で、安定した運転を長期間維持することが可能です。特にサイクロン集塵機は、粒子径が大きい砂や粉塵の回収に優れた性能を発揮するため、鋳造現場や工場で広く採用されています。

砂型鋳造の砂を回収して再利用を

砂型鋳造では、多量の砂が使用され、その再利用が重要な課題です。近年、企業が自社内で砂を回収・再利用する取り組みや、回収した砂を製品として再利用する方法が注目されています。

◇自社で再利用

ある企業では、砂型鋳造から発生する廃棄砂を効果的に再利用するため、3種類の砂を分別して資源化しています。これらの砂は発生箇所や粒度に応じて、再利用可能なものと不可能なものに分けられ、適切な処理が行われています。

例えば、生産工程で発生する微細な粉塵は、大型集塵機を用いて回収され、その後コンクリートの添加材として再利用されてきました。また、水分を多く含んだ砂や溶解炉の修理で発生する耐火材は、道路舗装の下地材として使用されています。

他にも、鉄粉が混ざった砂や生産工程でオーバーフローした砂は、一部は再生されて製造ラインに戻され、残りはコンクリートの添加材として再利用されています。

◇製品として再利用

砂型鋳造の過程で発生する「集塵ダスト」と呼ばれる非常に細かい砂を再利用して、植木鉢を製造する企業があります。集塵ダストは、鋳造工場の集塵機で集められる微細な砂で、水を加えると粘土のような性質を持つことがわかりました。

その特性を活かし、陶器と同じ製法で形を整え、電気窯で焼き上げた植木鉢が製造されています。この取り組みにより、廃棄される砂の量が減少し、資源の有効活用が一層進むでしょう。この新しい再利用方法は注目されており、製品としての価値も高まっています。

砂型鋳造は、古くから広く利用されている加工方法ですが、その製造過程で発生する粉塵は、作業者の健康や作業環境に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、造型や型ばらしの作業では、微細な砂粒が大量に飛散し、粉塵が発生しやすくなります。

この粉塵には、珪砂などが含まれており、珪肺症などの健康リスクが伴います。珪肺症は、シリカを含む粉塵を吸い込むことで発症し、治癒が難しく、進行すると日常生活にも支障をきたす可能性があるため、作業環境での粉塵対策が極めて重要です。また、効率的な砂の回収も、砂型鋳造における重要な課題のひとつです。

適切な対策としてバグフィルターやサイクロン集塵機などの集塵装置を導入することが推奨されています。これらの装置は、粉塵の種類や粒子径に応じて効率的に粉塵を捕集し、作業環境を大幅に改善できます。

さらに、砂型鋳造で使用された砂の再利用も、近年注目を集めている取り組みです。廃棄砂を効果的に回収し、再利用することで、資源の無駄を減らし、環境負荷を軽減することができます。

例えば、集塵ダストと呼ばれる微細な砂を用いて植木鉢を製造するなど、新しい再利用方法が開発されており、廃棄物の削減と資源の有効活用が期待されています。このような取り組みは、砂型鋳造における持続可能な生産体制を支える重要な要素となっています。