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有機溶剤とは?リスクや集塵機で解決した事例を紹介

公開:2024.06.25 更新:2024.12.23

集塵機

有機溶剤は塗料や印刷などに使用される薬品で、ガソリンやメタノールなどが含まれます。これらは揮発性が高く、中毒症状を引き起こすリスクがあります。呼吸や皮膚吸収で体内に入り込み、健康被害を防ぐため「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」に従う必要があります。

有機溶剤は有害度に応じて第1種、第2種、第3種に分類され、それぞれクロロホルムやアセトン、ガソリンなどが含まれます。有機溶剤は静電気や火気で引火する危険があり、取り扱いには注意が必要です。

換気や排気装置の設置が求められ、専門業者に依頼すると効率的なシステムが構築できます。

有機溶剤とはどのような物質?

有機溶剤とは、塗料や印刷などに使われる薬品の総称で、ガソリンやメタノールなどがよく知られています。健康被害を防ぐために、取り扱う際は「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」に従わなくてはいけません。

有機則の対象となる有機溶剤は54種類あり、有害度に応じて第1種、第2種、第3種に分類されます。

◇有機溶剤とは

他の物質を溶かす特性がある薬品の総称です。主に塗料、印刷、洗浄などに使用されており、ガソリンやメタノールがその一例です。

多くの有機溶剤は揮発性が高く、中毒症状を引き起こすリスクがあります。呼吸により簡単に体内に入り込み、皮膚からも吸収される可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

この有機溶剤による中毒や健康被害を防ぐために定められたのが、「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」です。有機溶剤を取り扱う場合は、作業員への影響を最小限に抑えるために、有機則を遵守する必要があります。

◇有機溶剤の分類

有機則の対象となる有機溶剤は54種類あり、有害度の高い順に第1種、第2種、第3種に分類されます。それぞれに該当する主な有機溶剤は以下のとおりです。

第1種:クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロルエタン(別名二塩化エチレン)など
第2種:アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコールなど
第3種:ガソリン、石油エーテル、石油ナフサなど

有機溶剤によるリスク

有機溶剤
画像出典:東京工芸大学公式サイト

有機溶剤は、体内に吸収されると人体に悪影響を及ぼすリスクがあります。静電気や火気で引火する可能性もあるため、取り扱いには注意が必要です。

◇人体への被害

有機溶剤は常温では液体ですが、揮発性が非常に高いため、常温でも気化して空気中に拡散します。有機溶剤の臭いが感じられる場合、有機溶剤が気化して空気中に漂っていることを意味します。

広範囲に広がった有機溶剤は、肺、消化管、皮膚、眼などから体内に吸収されるため、人体に悪影響を及ぼすリスクが高い物質です。有機溶剤により引き起こされる病気は、有機溶剤の種類によって異なります。代表的な有機溶剤と発症する病気は、以下のとおりです。

・ベンゼン:再生不良性貧血
・二硫化炭素:精神症状
・ノルマルヘキサン:神経障害
・メタノール:視力障害

また、頭痛、めまい、意識消失、皮膚炎、肺炎などの症状が出た場合は、有機溶剤による急性中毒の可能性があるため、迅速な対応が必要です。

◇引火

有機溶剤のなかには、第4類危険物の引火性液体に該当するものが多く存在します。具体的には、メチレンクロライドやトリクロロエチレンなどです。第4類危険物は、可燃性の蒸気を発生するため、静電気や近くでつけた火で着火する可能性があります。

実際に有機溶剤の蒸気に着火した事例もあるため、取り扱う際は細心の注意を払わなくてはいけません。

有機溶剤を使う現場では換気や排気が必要

有機溶剤を取り扱う作業現場に大型集塵機を設置する際は、局所排気装置やプッシュプル型換気装置などが必要となります。これらの装置が、作業効率や動線へ影響を及ぼす可能性がありますが、設計から請け負う業者に依頼すれば、効率的な排気システムを構築することが可能です。

◇集塵機などでの局所排気

有機則に該当する物質を使用する作業現場では、換気と排気が必要です。屋内で有機溶剤を扱う場合は、その作業場所に局所排気装置、プッシュプル型換気装置などを設置しなければなりません。

局所排気装置とはファン、フード、ダクトのことで、発生源の近くに設置することで有害物質が作業現場に広がるのを防ぎます。プッシュプル型換気装置は、有害物資の発生源を吹出し用と吸込み用のふたつのフードで挟んで設置し、排気する装置です。

◇設計から依頼できる業者が安心

有害物質が発生する環境で有効な局所排気装置やプッシュプル型換気装置は、設備が大がかりで広いスペースが必要です。そのため、導入費用が高額になりやすく、作業効率や動線に悪影響を及ぼす可能性があるのも懸念されます。

設計から依頼できる業者であれば、発生源や対象集塵の特性に合ったフードや風量、配管、さらに最適な機種や設置場所などを提案してもらえるため、効率的な局所排気システムを構築できて安心です。

有機溶剤の悩みを解決した事例

有機溶剤を取り扱う会社が大型集塵機を設置する際は、届け出が必要になったり、有機溶剤の悪臭によるトラブルが生じたりすることがあります。専門業者に依頼すれば、状況に応じて適切に対処してもらうことが可能です。

◇集塵機を新設した事例

有機溶剤を取り扱う会社は、これまで集塵機に局所排気装置を搭載し、有機溶剤を吸引していました。集塵機を新設する際に、配管、吸込フードを改善しようと考えます。

集塵機および局所排気装置の設置・移転、または変更工事をする際は、労働安全衛生法に基づき、事前に所轄の労働基準監督署への届け出が必要です。しかし、同社は届け出を行っていなかったため、届け出に関する相談もしました。

届け出には書類の準備が必要ですが、同社は書類作成も可能な専門業者を選び、作業現場の測定から、集塵機の設計・施工、労働基準監督署への提出書類の作成まで、ワンストップで任せられました。

◇既存の集塵システムを改善した事例

有機溶剤の臭いが強く、頭痛がするなど健康被害が出ることがあります。ある会社では作業員から苦情があったため、専門業者に既存の集塵システムの改善を相談しました。

既存の集塵システムには、この有機溶剤の臭いを防ぐための局排装置も設置していましたが、フードの配置と送風機の性能が不十分なため、効果が出ていないことが判明します。 状況を改善するために、既存のフードを取り外してキャスター付きフードを発生源の直下に新設し、送風機の風量を増加しました。ダクトも風量に合わせて新しくしたため、有機溶剤の臭いの問題は無事解決できました。


有機溶剤は、塗料や印刷などの用途で広く使用される化学薬品の総称です。ガソリンやメタノールなどがよく知られていますが、これらの溶剤は揮発性が高く、吸入や皮膚からの吸収により中毒症状を引き起こすリスクがあります。

有機溶剤は常温でも容易に気化し、空気中に拡散するため、取り扱いには注意が必要です。これらの蒸気は肺や消化管、皮膚、眼などから体内に吸収されやすく、ベンゼンによる再生不良性貧血やメタノールによる視力障害など、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

さらに、有機溶剤の多くは静電気や火気で引火する危険性があります。特に、メチレンクロライドやトリクロロエチレンなどは第4類危険物として分類されており、可燃性の蒸気を発生するため、取り扱いには細心の注意が求められます。

有機溶剤を取り扱う会社が集塵機を新設する場合、労働安全衛生法に基づき、事前に労働基準監督署への届け出が必要です。書類作成や測定、設計・施工までを一括で任せられる専門業者に依頼すれば、スムーズな導入が可能です。

また、既存の集塵システムの改善も重要で、フードの配置や送風機の性能を見直すことで、有機溶剤の臭いや健康被害の問題を解決できます。

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