オイルミストは切削や加工で発生する微細な油粒子で、摩擦や熱、機械の老朽化などが原因です。健康に悪影響を及ぼし、作業環境や機械に影響を与えます。ミストコレクターで除去オイルミストがすることで、空気を清浄化し、健康リスクを軽減できます。
目次
オイルミストとは?発生要因と作業環境に与える影響

オイルミストは、産業現場や工場などでよく見られる微細な液体粒子の一種であり、加工作業に伴って発生します。切削や加工工程において使用される切削油や潤滑油が高速で回転する機械部品と接触すると、微細な液体粒子が空中に散乱し、オイルミストとして形成されます。
◇オイルミストとは
オイルミストは、工場や生産現場でよく見られる微細な液体の粒子です。現代の工作機械が高圧・高速で動く中で、特に不水溶性や水溶性の切削油を使用すると、オイルミストが発生します。
オイルミストは、切削油が加工部分に噴き出されたり、工具やワークが回転する際に飛び散ることで発生します。これにより、空中に非常に細かい油の粒子が浮かび上がり、目に見えない形で空気中に広がります。
「油煙」という言葉もありますが、これはオイルミストとは異なります。油煙は、加工熱によって燃焼した油成分が空気中に浮遊するものを指します。
◇オイルミストの発生原因
オイルミストが発生する主な原因はいくつかあります。一つ目は、機械や装置が動く際に生じる摩擦や熱で、潤滑油や冷却油が気化し、細かい粒子となって空気中に広がることです。
二つ目は、加工工程で使用される加工液が、高速回転する部分や高温部分に飛び散り、細かいオイルの粒子として空気中に漂うことです。また、機械の老朽化やメンテナンス不足、使用する油の種類や粘度、作業環境の温度や湿度もオイルミストの発生に影響を与えます。
オイルミストが発生すると、作業環境の空気が汚れたり、機械の精度が低下するだけでなく、作業者の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
作業環境を悪化させるオイルミストの影響とは?

画像出典先:フォトAC
オイルミストは呼吸器系や皮膚に悪影響を及ぼし、気管支炎や皮膚の刺激を引き起こす可能性があります。また、視界不良や機械の劣化を招き、作業環境や安全性を悪化させるリスクもあります。
◇人体への健康リスク
オイルミストが健康に与えるリスクは、主に呼吸器系と皮膚に影響を及ぼします。
オイルミスト中の微小な粒子が肺に入り、気道や肺胞に蓄積されると、気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。長期間の曝露により、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支拡張症などの慢性呼吸器疾患のリスクも高まります。
また、オイルミストが皮膚に長時間触れると、皮膚の刺激を引き起こすことがあります。特に、化学物質を含むオイルミストは、アレルギー反応や湿疹などの皮膚の問題を引き起こすことがあります。
◇作業環境を悪化させるリスク
オイルミストは、人体の健康リスクだけでなく、作業環境の悪化にもつながります。悪化した作業環境は、事故やケガの原因になるだけでなく、作業意欲の低下を招くこともあります。
オイルミストが空気中に広がると、作業場の視界が悪くなり、機械や設備の部品が滑りやすくなるため、作業環境の安全性が低下します。その結果、事故や怪我のリスクが高まります。
また、オイルミストは作業場に不快な臭いを発生させることがあります。さらに、高温の機械部品から発生するミストは、作業者の体温調節を難しくし、作業効率や快適性を低下させることがあります。
◇設備等への影響
オイルミストは設備や機械にも影響を与えます。オイルミストが機械や設備の表面に付着すると、部品が摩耗したり腐食したりすることがあります。特に、高温の機械部品にオイルミストが付着すると、劣化が進みやすくなります。
さらに、オイルミストが機械の内部に入り込むと、潤滑油や冷却油が汚れてしまい、機械の正常な動作を妨げる可能性があります。その結果、機械の故障や停止のリスクが高まります。
◇経済的な負担の増加
オイルミストが空調設備の内部に入ると、空調効率が低下し、悪臭や風量不足などが起こります。また、冷暖房がある施設では、オイルミストと一緒に冷暖房のエネルギーが排出されてしまうため、効率的な温度管理が叶いません。これらは作業環境を悪化はもちろん、施設の経済的な負担の増加にも繋がります。
◇周辺環境への影響
オイルミストが漂う施設内で空調を稼動させると、周辺ににおいが漏れたり、雨水溝に油が混入したりします。周辺住民からの施設に対する目が厳しくなるだけでなく、大気や土壌、水質の汚染など、より大規模な環境問題に発展していく可能性も考えられます。
オイルミストを低減する方法

オイルミストは、潤滑油や冷却油の気化・加工液の飛び散りなどにより発生し、従業員や作業環境、設備、空調効率などに悪影響を与えます。では、オイルミストを低減させるには、どのような方法が考えられるのでしょうか?主な方法として、切削油の変更・冷却・換気設備・ミストコレクターや集塵機・カバーの5つをご紹介します。
◇潤滑油などを変える
オイルミストの発生には、潤滑油や冷却油、加工液などが関わっています。そのため、以下の方法でこれらの液体を変えると、オイルミストの低減が見込めます。
・粘度を上げる
潤滑油や冷却油、加工液の粘度を上げると、飛び散っても微粒子になりにくくなり、オイルミストが低減します。ただし、粘度を上げたぶん、加工対象や加工屑に付着しやすくなるため、消費量が増え経済的な負担が増加します。
・オイルミストを抑制する成分を加える
オイルミストを抑制する成分を加えると、潤滑油や冷却油、加工液の糸引き効果や粘度が上がり、飛び散っても微粒子になりにくくなります。また、微粒子になっても互いにくっつき漂いにくくなるため、オイルミストの低減が見込めます。
・沸点を上げる
潤滑油や冷却油の気化によりオイルミストが発生している場合は、沸点を上げると気化しにくくなり、オイルミストの低減が見込めます。特にパラフィン系のナローカットオイルは、オイルミストの発生量が少なくなることで知られています。
これらの方法はオイルミストの低減が見込めますが、変更や加工の内容によっては、作業効率を下げてしまう可能性もあります。メリットとデメリットを比較しながら、慎重に導入を検討しましょう。
◇冷却する
潤滑油や冷却油の気化によりオイルミストが発生している場合は、冷却して気化を抑えればオイルミストも低減が見込めます。冷却の方法としては、「潤滑油や冷却油自体をクーラーなどで冷やす」「潤滑油や冷却油の量を増やして冷却性を上げる」などの方法が挙げられます。
◇換気設備を整える
換気設備を整え、オイルミストをより効率的に排出できるようにすれば、施設内のオイルミストを低減できます。ただし、「オイルミストの付着により換気設備の効率が下がる」「排出されたオイルミストが周辺環境に悪影響を与える」などの可能性も考慮しておかねばなりません。換気設備は、他の対策と併せて取り入れるのが良いでしょう。
◇ミストコレクターや集塵機を導入する
ミストコレクターや集塵機は、どちらもオイルミストを集めて取り除く役割を果たします。条件に合ったものを選べば、効率よくオイルミストを低減でき、他の方法のような周辺環境・加工への悪影響もありません。他の方法と併せて、多くの施設で導入されています。
◇カバーで覆う
オイルミストの発生場所をカバーで覆うと、周囲への飛び散りを防止できます。ただし、オイルミストの発生量自体はほぼ変わらず、微粒子のため完全に飛び散りを無くせるわけではありません。そのため、換気設備やミストコレクター・集塵機など、オイルミストを排出・除去する設備との併用が望ましいと考えられます。
ミストコレクターでオイルミスト対策

ミストコレクターは、工場や加工施設で使用される装置で、オイルミストや冷却液ミストなどの微細な液体粒子を除去する役割があります。これらの粒子は作業環境や作業者の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、ミストコレクターの導入が重要です。
ミストコレクターには高性能なフィルターが搭載されており、微細な粒子を効果的に捕集します。また、装置内にはファンが組み込まれており、空気を吸引してフィルターを通過させることで、空気中のミストが取り除かれます。こうしてフィルターによって粒子が除去されたクリーンな空気が排出口から放出されます。
ミストコレクターの使用により、作業環境の空気が清浄化され、作業者の健康リスクが軽減されます。特に、切削油を使用する加工現場で、その効果が高く評価されています。
◇ミストコレクターの種類
ミストコレクターは、補修方法や用途の異なる様々な種類が存在します。以下でその中でも代表的な機器について解説します。
フィルター式ミストコレクター
フィルター式ミストコレクターは、オイルミストや微粒子をフィルターで捕集する方式です。空気中の微細な粒子がフィルターに衝突し、フィルター表面に付着することで除去されます。フィルターは定期的に清掃や交換が必要ですが、比較的低コストで効果的にミストを除去できます。
遠心分離式ミストコレクター
遠心分離式ミストコレクターは、遠心力を利用してオイルミストや微粒子を除去する方式です。排気ガスが高速回転するディスクや円筒内を通過することで、微粒子が遠心力によって壁面に衝突し、除去されます。この方式は高効率で、フィルターの交換が必要ないためメンテナンスが容易です。
電気集塵式ミストコレクター
電気集塵式ミストコレクターは、静電気を利用して微粒子を除去する方式です。排気ガスが通過する際に、電荷を帯びたコレクターに微粒子が付着し、電気的な引力によってコレクターに吸着されます。この方式は高い除去効率を持ち、特に微粒子が非常に小さい場合に有効です。
電気式集塵機は繰り返し使用が可能で環境に優しい

電気式集塵機は、その特性から繰り返し使用が可能であり、また環境にも優しい装置です。その仕組みや機能を理解することで、その利点がより明確になります。
◇電気式集塵機の仕組み
電気式集塵機(電気集塵式ミストコレクター)は、静電気を利用して微細な粒子やオイルミストを取り除く装置です。
この集塵機では、高電圧をかけた電極と、接地された集塵板(コレクター)を使います。電極に高電圧がかかると、放電が発生し、電極の周りに静電気場ができる仕組みです。排気ガス中の微細な粒子やオイルミストがこの静電気場を通過すると、帯電します。帯電した粒子は静電気によって集塵板に引き寄せられ、集塵板に付着します。
集塵板に付着した粒子は、定期的に清掃することで取り除かれます。清掃時には、専用のメカニズムを使って粒子を落とし、集塵板を再利用できるようにしています。
◇幅広く対応できメンテナンスが簡単
集塵機の中には、不得意な分野があるもの、交換や清掃などの手間がかかるものもあります。しかし、電気式集塵機は幅広い分野に対応でき、他の集塵機ほどメンテナンスの手間もかかりません。他の集塵機と併用せずに済むことが多いうえ、メンテナンスの負担も軽めなため、経済的な負担を抑えられます。
◇高い捕集効率で環境にも優しい
電気式集塵機は、静電気を使って微細な粒子を吸着し、集塵する装置で、非常に高い捕集効率を持っています。これにより、微細なオイルミストや加工液の粒子を効果的に除去できます。
この集塵機は、化学薬品やフィルターの交換が不要で、廃棄物が少なく環境に優しいです。また、使用中のガスや排気物の量も少なく、周囲の環境への影響を軽減します。
さらに、電気を動力源としているため、燃料の燃焼やエネルギーの損失がなく、エネルギー効率が良いです。これにより、運転コストを抑えつつ、効率的にオイルミストを除去できます。
電気式集塵機の導入事例

電気式集塵機は、捕集効率が高く、環境にも優しい設備です。では、実際に導入すると、オイルミストにどのような変化が見られるのでしょうか?オイルミスト対策として電気式集塵機を導入した事例を、2つご紹介します。
◇従業員の健康と安全の向上を実現
とある企業では、金属切削により発生するオイルミストが問題になっていました。そこで電気式集塵機を導入したところ、85%以上が補集され、オイルミストが目視できないレベルまで低減しました。従業員の健康や安全の確保はもちろん、周辺や世間からの企業イメージの向上にも繋がったと考えられます。
◇作業環境とブランドイメージの向上を実現
とある企業では、金属加工機械を多用して製品を生産しており、オイルミストの汚れや臭い、従業員の健康や安全が問題になっていました。そんな折、海外市場向けの生産力を強化するため、国内に工場を新設することが決まります。この新工場には、週に数回の高頻度で海外からの来客が見込まれており、オイルミストの少ない清潔・清浄なブランドイメージを保つ必要がありました。
そこで導入されたのが、電気式集塵機です。
これにより、従業員のモチベーション向上や機器のメンテナンス・清掃時間の減少、金属加工現場とは思えない美しい環境が実現しました。海外からの来客が、その美しさに驚くことさえあると言います。
おすすめの集塵機メーカーを紹介
こちらでは、大型集塵機を探している担当者の方におすすめのメーカーを3社紹介します。
◇株式会社アコー

アコー株式会社は、完全受注・自社一貫体制によるカスタマイズを強みとしており、それぞれのニーズに合った製品の提供が見込めます。オイルミスト向けの電気集塵機としては、サブミクロン粒子に強い「スモッグホッグ」を展開しています。スモッグホッグは、圧力損失や空調ロス、電力コストが少なく、目詰まりも起こしません。その実力から、食品工場や化学工場、金属加工工場、プラスチック加工工場などに幅広く導入されています。
会社名 | 株式会社アコー |
本社 | <所在地> 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-1-40 <電話番号> 047-352-4761 |
大阪営業所 | <所在地> 〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3-24-1 <電話番号> 06-6368-9551 |
静岡営業所 | <所在地> 〒438-0211 静岡県磐田市東平松500-1 <電話番号> 0538-86-6478 |
公式ホームページ | https://www.acokk.co.jp/ |
また、環境に配慮した製品とサービスを提供し、持続可能な社会の実現を目指しています。最新の技術を駆使し、効率的で安全な集塵システムを提供し続けています。
株式会社アコーについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇アマノ株式会社

アマノ株式会社は、多種多様な集塵機をニーズに合わせて組み合わせる、プロデュース力の高さが強みです。オイルミスト向けに電気集塵式やフィルター式の製品をラインナップしており、中でも電気式集塵機には、高濃度ミスト対応可能なもの、自動で清掃してくれるものなどがあります。
会社名 | アマノ株式会社 |
所在地 | 〒222-8558 神奈川県横浜市港北区大豆戸町275 |
電話番号 | 045-401-1441 |
公式ホームページ | https://www.amano.co.jp/ |
また、地域社会に根差した製造・販売体制を整え、顧客の要望に即した製品の創造・開発に取り組んでいます。持続可能な社会の実現を目指し、環境に配慮した製品とサービスを提供しています。
アマノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇株式会社流機エンジニアリング

流機エンジニアリングは、集塵機、水処理装置、ヒューム処理などの環境ソリューションを提供する企業です。特に、工場用大型集塵機やレンタル集塵機の開発・提案を行っており、独自のフィルター技術を駆使した高効率な集塵ソリューションを提供しています。環境負荷の低減を目指し、精密な技術力で難易度の高い課題にも対応しています。
会社名 | 株式会社流機エンジニアリング |
会社住所 | 〒108-0073 東京都港区三田3-4-2 いちご聖坂ビル |
電話番号 | 03-3452-7400 |
公式ホームページ | https://www.ryuki.com |
例えば、プリーツ成形フィルターを採用し、設置スペースを削減しながら高い集塵性能を実現しました。
オイルミストは、産業現場で切削や加工工程に伴って発生する微細な液体粒子です。切削油や潤滑油が高速回転する機械部品と接触することで、これらの油が空中に飛び散り、ミストとして形成されます。オイルミストは、空気中に微細な油の粒子が浮かぶ状態で、加工熱によって油成分が燃焼する「油煙」とは異なります。
オイルミストの発生原因には、摩擦や熱による油の気化、加工液の飛散、機械の老朽化やメンテナンス不足、油の種類や作業環境の影響が含まれます。これにより、作業環境が汚れ、機械の精度が低下し、作業者の健康に悪影響を及ぼします。
健康への影響としては、オイルミストが呼吸器系や皮膚に悪影響を与える可能性があります。肺に入り込むと気管支炎や肺炎の原因となり、皮膚に触れると刺激やアレルギー反応を引き起こすことがあります。また、視界不良や機械の劣化を招き、作業環境や安全性が悪化します。
設備への影響としては、オイルミストが機械の部品に付着し、摩耗や腐食を引き起こす可能性があります。特に、高温の部品に付着すると劣化が進みやすく、機械の正常な動作を妨げることがあります。
ミストコレクターは、オイルミストを除去するための装置で、フィルター式、遠心分離式、電気集塵式などがあります。フィルター式は低コストで効果的、遠心分離式はメンテナンスが容易、電気集塵式は高い捕集効率を誇ります。これらの装置を使用することで、作業環境の空気が清浄化され、作業者の健康リスクが軽減されます。