飲食店や食品工場では油煙と悪臭への対策が必須!
公開:2024.06.25 更新:2024.12.23
飲食店や食品工場での油煙や悪臭の発生は、運営上の重要な課題です。油煙は加工工場では切削油の高温燃焼、飲食店や食品工場では調理過程での揚げ物から発生します。これらは従業員の健康リスクや設備の故障、近隣からの苦情を引き起こす可能性があります。
湿式集塵機や電気集塵機などの装置導入が有効で、これらは微粒子や臭いを効率よく除去します。実際の事例では、これらの対策が近隣トラブルの解消や従業員の健康保護に貢献しています。
目次
飲食店や食品工場の油煙と悪臭はなぜ発生する?
飲食店や食品工場で働く人にとって、現場で発生する油煙や悪臭は気になるところです。事業主としてはこれらの問題を解決しなければ、従業員の健康面や定着率などにも影響しますし、近隣住民からのクレームにもつながります。
◇油煙
油煙とは、鉱物油や油脂などが不完全燃焼した際に発生する細かい炭素粉のことです。ただ、一口に油煙といっても場所によってその発生原因は異なります。
例えば金属加工の工場で排出される油煙は、切削油が高温の加工熱によって燃焼し、粒子となって空気中に放出されたものです。これに対して飲食店や食品工場で排出される油煙は、揚げ物などを調理する際に発生する湯気のことを指します。
いずれも空気や水蒸気が油を含んだ状態で、大量に吸い込んだ場合は人体にも悪影響を及ぼしかねません。
◇悪臭
調理を必要とする飲食店や食品工場において、臭いの問題は避けて通れません。特に生魚などを使用する飲食店や食品工場の場合は、どうしても悪臭の発生につながってしまいます。
また、ゴミの処理や排水口の清掃などもしっかり行わないと悪臭発生の原因になりかねないため、注意が必要です。万が一悪臭が発生した場合も、きちんと対策をしないと近隣住民からのクレームや従業員の体調不良などにつながる恐れがあります。
飲食店や食品工場の油煙で懸念されるリスク
飲食店や食品工場で発生する油煙を放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここではそのリスクについて解説しましょう。
◇火災
飲食店や食品工場で発生する油煙を放置することによって懸念されるリスクのひとつが火災です。多くは換気扇やレンジフードは使用していますが、油煙による汚れで換気扇やレンジフードのフィルターは徐々に目詰まりを起こし、排気効率はどんどん低下します。
すると排気ダクト内やキッチン全体に付着した油分が延焼媒体となり、大きな火災を招く恐れがあるのです。
◇健康被害
油煙を放置すると、従業員に健康被害が生じる恐れがあります。その一例が油煙を吸い込んだことによって生じる呼吸器疾患です。油煙の油分が肺に沈着すると炎症を引き起こす恐れがありますし、皮膚に付着することで皮膚疾患の原因になることもあります。
◇設備や機械の故障
油煙には店内や工場内の設備や機械の故障を招くリスクもあります。例えば油煙が付着することによって生じる精密機器の誤作動や動作不良、油煙が電気機器内部に侵入することによって起こる電気機器のショートなど、例を挙げ出すとキリがありません。
◇クレーム
近隣住民からのクレームも油煙で懸念されるリスクのひとつです。油煙が外部に漏れた場合、近隣住民がそれを吸い込むことで健康被害を訴える可能性がありますし、洗濯物や外壁などに油煙の油分が付着して汚れる可能性もあります。
これらはいずれも近隣住民からのクレームにつながる恐れがあるため、注意が必要です。
脱臭だけでなく油煙の除去が重要
ここまでは油煙や悪臭の発生原因や対策をせずに放置することによるリスクについて解説しましたが、対策としては脱臭だけでなく油煙自体の除去が重要です。食品工場の場合は、これからご紹介するいずれかの大型集塵機の設置も検討する必要があるでしょう。
◇湿式集塵機
湿式集塵機は、水の力を利用して空気中の粉塵を捕集する集塵機です。オイルミストや鉄粉などの細かい粉塵に対しては特に有効だとされています。
主なメンテナンスが水交換で、メンテナンスがラクなのも大きなポイントです。また、水の力を利用して集塵するため、集塵機内で火災が起こる心配がありませんし、静電気によって引き起こされる粉塵爆発などの危険性もありません。
◇電気集塵機
電気集塵機は、コロナ放電等を利用して排気中の油煙粒子に荷電を与え、静電気の力を利用して除去する集塵機です。低い圧力損失で微細な粒子まで高効率で捕集が可能な構造となっており、油煙を高確率で除去できます。
高電圧を使用するため、初期設置コストは高くなりますが、構造が単純で可動部分が少ないため、保守や点検などのメンテナンスの手間がかからない点がポイントです。
電気集塵機で解決した事例
最後にご紹介するのは、電気集塵機を導入して油煙や悪臭の問題を解決した事例です。ここでは2つの事例をご紹介します。
◇焼肉店の事例
焼肉店で肉を焼くときに臭いが生じますが、ある焼き肉店では換気扇での対策にとどめていました。しかし近隣住民からのクレームが入ったことから、電気集塵機の導入に至ったという事例です。
この焼肉店では、いくつかの候補の中から高い確率で油煙を捕集し除去できる電気集塵機を選択しました。その結果、今まで換気扇から外部に漏れていた油煙や調理臭がなくなり、近隣住民からのクレームもほぼなくなったとのことです。
◇焼鳥店の事例
この焼鳥店では、開店当初から焼鳥を焼く際の煙を店外に排出していたため、近隣住民からのクレームが絶えず、煙で信号が見えにくいといったトラブルも発生していました。また、県の環境汚染課から業務改善の指導を受けたことで電気集塵機の導入を決定したという事例です。
電気集塵機を導入したことで、県の環境汚染課による目視判定・臭気判定をクリアしました。今まで煙っていた周辺道路も全く煙らなくなると同時に臭いも気にならなくなり、近隣住民からのクレームもほとんど出なくなったとのことです。
飲食店や食品工場での油煙や悪臭の発生は、業務運営において重要な課題です。油煙は加工工場では高温での切削油の燃焼によって、飲食店や食品工場では調理過程での揚げ物などから発生します。
これらの排出物は従業員の健康リスクや設備の故障、近隣住民からの苦情につながる可能性があります。特に火災の危険性や健康被害が深刻であり、事前の対策が不可欠です。
対策としては、単に脱臭するだけでなく、油煙自体を効果的に除去することが重要です。湿式集塵機や電気集塵機などの導入が有効で、これらは空気中の微粒子や臭いを効率よく捕集・除去します。
実際の事例では、これらの装置の導入によって近隣トラブルを解消し、従業員の健康維持にも寄与しています。油煙や悪臭の問題に取り組むことは、業務環境の改善と安全性の確保に直結し、事業の持続可能性を高める重要な一環と言えます。