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大型集塵機の静電気対策は必要?リスクも解説

公開:2024.06.25 更新:2024.12.23

集塵機

大型集塵機は産業現場で重要な粉塵や微粒子の除去装置ですが、運用中に静電気が発生することが問題とされます。この静電気の発生原因には、摩擦によるフィルター素材と粒子の接触や乾燥した空気があります。

特に乾燥した環境では静電気が蓄積しやすく、冬季などに顕著です。また、電気集塵機は高電圧を使用して粒子に電荷を付与するため、静電気が発生しやすい特性があります。

静電気は爆発や火災のリスクを引き起こす可能性があり、フィルターの劣化も招きます。そのため、湿式集塵機や静電気除去装置の導入が推奨されています。

大型集塵機に静電気は発生しやすい?

大型集塵機は、産業現場での粉塵や微粒子の除去に欠かせない装置ですが、その運用において静電気の発生が避けられない問題として挙げられます。フィルターや電気集塵機の周囲で静電気が発生しやすい理由について解説します。

◇フィルターに静電気が集まりやすい

大型集塵機で静電気が発生する理由のひとつは、摩擦によるものです。フィルターを通過する粉塵や粒子がフィルター素材と接触する際に摩擦が発生し、この摩擦によって静電気が生じます。

もうひとつの理由は、乾燥した空気が原因です。空気中の湿度が高いと、空気中の水分が電気を導きやすくし、静電気が発生しにくくなります。一方、湿度が低いと空気が乾燥し、絶縁性が高まるため、静電気が蓄積しやすくなります。特に冬場などの乾燥した環境では、静電気の発生が顕著です。

◇電気集塵機の周囲では静電気が発生

電気集塵機はその特性上、静電気が発生しやすい装置です。これは、高電圧を利用して粒子に電荷を付与する仕組みによるもので、この過程で強力な静電場が形成されるためです。また、集塵機に使用される絶縁性の高い材料や乾燥した環境も静電気の蓄積を助長します。

静電気は思わぬトラブルにつながる

大型集塵機の運用において、静電気は避けられない問題ですが、その影響は思わぬトラブルを引き起こすことがあります。ここでは、静電気による具体的なトラブルとして、爆発や火災のリスク、そしてフィルターの劣化について説明します。

◇爆発や火災のリスク

電気集塵機内での粉塵の蓄積や排気ダクト内での静電気の蓄積は、非常に危険です。静電気が蓄積されると、放電が発生する可能性があります。特に引火性の粉塵やガスが存在する環境では、この放電が火花となり、爆発や火災の原因となることがあります。

例えば、製粉工場や金属加工工場では、細かい粉塵が空気中に浮遊していることが多く、これらが静電気による放電で引火することがあります。また、化学工場や石油精製所では、燃焼性ガスが多く存在し、静電気が火災の引き金となるリスクが高いです。

◇フィルターの劣化

静電気がフィルターに蓄積すると、フィルターの目詰まりが発生しやすくなります。フィルターの目詰まりは、集塵機の効率を低下させる大きな要因です。

目詰まりが起こると、フィルターの通気抵抗が増加し、集塵機の吸引力が低下します。さらに、集塵機の運転負荷も増加し、エネルギー消費が増える原因になります。結果として、集塵機全体の性能が著しく低下するだけでなく、運用コストやメンテナンス費用が増加する問題も生じます。

集塵機の静電気対策

集塵機
画像出典:新東工業公式サイト

集塵機の運用においては、静電気の影響を最小限に抑えるための対策が必要です。ここでは、湿式集塵機の導入と静電気除去装置の導入という二つの有効な対策について、その理由を含めて説明します。

◇湿式集塵機を導入

湿式集塵機とは、粉塵や微粒子を水やその他の液体で捕集する装置のことです。湿式集塵機では水分を常に使用するため、粉塵が湿気を帯びることで静電気の発生が大幅に抑えられます。

また、水自体が導電性を持っているため、粉塵や粒子が水中で迅速に放電され、フィルターや他の集塵機部品に静電気が蓄積するリスクが低減されます。

◇静電気除去装置を導入

静電気除去装置は、機械や設備に蓄積された静電気を取り除くための装置です。代表的な装置として、イオナイザー(除電機)があります。

この装置は、空気中にイオンを含む特別なエアを噴射することで静電気を中和し、物体表面に蓄積された静電気を効果的に消去します。しかし、特定の環境下における除電機の課題は、エア噴射による風の影響で微細な部品や微粒子が吹き飛んでしまうリスクがあることです。

この場合、エア噴射やブロアを使わないタイプの除電器を使用することで、ホコリや微粒子を無風で効果的に除去できます。

静電気対策で安全安心な作業環境を

静電気対策は、企業にとって極めて重要な安全管理の一環です。適切な対策を講じることで、従業員の健康と安全を守り、事業の持続性を確保できます。

◇従業員の労災事故リスクを低減

静電気が原因で発生する火災や感電事故は、従業員の安全に直結する重大なリスクです。

静電気が発生しやすい環境では、これらの事故リスクを適切に管理することが必要です。特に粉塵爆発は死亡事故を引き起こす可能性があるため、爆発抑制や爆発遮断の設計、防爆設備の設置など、正しい粉塵爆発対策を実施することが求められます。

日本においては、粉塵爆発対策のガイドラインや、事故が発生した際の企業責任についての具体的な規定が存在しません。しかし、適切な安全対策が講じられず、法令違反(労働安全衛生法違反など)が確認された場合、企業は罰金や営業停止、または経営者に対する罰則を受ける可能性があります。

◇操業停止のリスクを抑制

静電気による機器の故障や製品の損傷は、操業中断を引き起こす可能性があります。特に製造業や電子機器業界では、これらの損害は生産性の低下や顧客へのサービス提供の中断につながる恐れがある深刻な問題です。

静電気対策を十分に行うことで、これらのリスクを事前に予防し、事業の持続性を高めることができます。例えば、静電気対策の専門家による定期的な監査や新しい技術の導入などが有効です。


大型集塵機は、産業現場において粉塵や微粒子の除去に不可欠な装置です。しかし、その運用中には静電気の発生が避けられない問題として挙げられます。この静電気が発生しやすい理由には、フィルター素材と粒子の接触による摩擦や、乾燥した空気の影響があります。

静電気は運用中に思わぬトラブルを引き起こすことがあります。例えば、静電気による爆発や火災のリスク、そしてフィルターの劣化です。電気集塵機内での粉塵の蓄積や排気ダクト内での静電気の蓄積は非常に危険で、放電が発生する可能性があります。

特に引火性の粉塵やガスが存在する環境では、この放電が火花となり、爆発や火災の原因となることがあります。製粉工場や金属加工工場では、空気中に浮遊する細かい粉塵が静電気による放電で引火することがあります。化学工場や石油精製所でも、燃焼性ガスが多く存在し、静電気が火災の引き金となるリスクが高いです。

静電気の影響を最小限に抑えるための対策として、湿式集塵機の導入や静電気除去装置の導入が有効です。

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