「粉じん障害防止規則」とは? 大型集塵機の定期点検が重要
公開:2023.11.30 更新:2023.11.30
粉塵による健康被害を防ぐため、粉塵障害防止規則、じん肺法、大気汚染防止法などの法律があり、特定粉塵作業に従事する労働者への粉塵特別教育の受講、排気・換気装置や大型集塵機の設置・点検、粉塵濃度の定期測定などの対策が実施されています。
目次
粉塵に関連する法律には何がある?
粉塵に関連する法律には、労働者の健康を良好に保ち、大気の環境の保全を目的とした重要な規則が決められています。粉塵に関連する主な法律には粉塵障害防止規則やじん肺法、大気汚染防止法があります。
粉塵障害防止規則は、労働安全衛生法の一部として制定されています。建設現場や工場で働く労働者を粉塵の健康障害から守ることを目的としている法律です。
粉塵を長い期間にわたって吸い込み続けると、息切れや動悸といった症状が発症します。粉塵が肺の中に蓄積されるとじん肺を発症するおそれがあり、じん肺は現代の医学でも完治が難しい病気です。
じん肺の原因となる粉塵から労働者を守るための必要な措置を明確にしたものが粉塵障害防止規則です。
粉塵障害防止規則は、粉じんの発散を抑制する措置、特別な教育、休憩設備、作業環境の清掃、作業環境測定、および呼吸用保護具について規定しています。
粉塵の発散を防止もしくは減少させるために、粉塵を除去する設備の基準や管理方法に関する規則が定められています。
粉塵障害防止規則とは別に、じん肺法と呼ばれる法律があります。じん肺法は、1960年に施行され、長期間にわたる粉塵の吸引が肺にどのような影響を及ぼすかを考慮した上で制定されました。
じん肺は、鉱物性のほこりが原因で発生する病気です。鉱物性のほこりは、溶接や採掘、坑内作業、金属の精錬・鋳造・切断などの作業で多く発生します。
じん肺法では、鉱物性のほこりが発生しやすい作業を24種類挙げ、労働者の健康に悪影響がないかを確認するために労働者自身が健康診断を受けることを義務付けています。
粉塵に関する環境汚染についての法律には大気汚染防止法があります。大気汚染防止法は、1968年に制定され、大気汚染を防止し、国民の健康を保護することや、生活環境を保全することを目的としています。
大気汚染防止法では、環境基本法に基づく環境基準を達成するために、工場や事業場などの固定発生源からの大気汚染物質の排出に対する基準を設定しています。
大気汚染物質の排出者は法律に定められた基準を守る義務があります。
粉塵作業を行う上での注意点とは?
粉塵作業とは、細かなほこりや粒子が空気中に滞留している環境での作業のことです。粉塵作業に長い期間従事していると、粉塵が人体に悪影響を与える可能性があります。
人体に与える悪影響が特に大きいものは特定粉塵と呼ばれ、特定粉塵が発生する作業のことを特定粉塵作業と言います。
特定粉塵作業には、トンネル内での岩石破砕作業、建設現場でのコンクリート切削作業や砥石を使用した研磨作業などの鉱石を扱い細かい粉塵が大量に発生するものが該当します。
特定粉塵作業を行う労働者に対して、事業者は労働安全衛生法に基づいた粉塵作業特別教育の受講させることが義務となっています。
粉塵作業特別教育とは、危険性が高い粉塵作業を安全に行うために知識と技術を身に着けるためのものです。この教育を受け、修了証を取得した者は特定粉塵作業者となり、一定の教育を受けたものとして業務に従事できます。
粉塵特別作業教育では、粉塵の種類、影響、防護方法などを中心に学習します。
粉塵作業において、排気・換気装置や大型集塵機は、作業場の空気質を維持し作業員が粉塵から受ける影響を最小限に抑えるために必要です。
また、排気・換気装置や大型集塵機の設置と定期的な点検は、現場の衛生環境を保つために非常に重要です。
実際に、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、及び除塵装置については、労働安全衛生法によって、定期点検や自主点検を行うことが義務付けられています。
排気・換気装置や大型集塵機を点検する際のポイントについても厚生労働省から指針が提示されています。
例えばフードの点検においては、スモークテスターによって白煙を発生させ、空気が吸い込まれる気流を確認します。
白煙がスムーズに吸い込まれない場合は、フードの破損や粉塵の堆積、外気の流入による気流の変化などさまざまなトラブルの可能性があります。
ダクトについては外側から目視によって点検を行います。ダクトを目視した際に、摩耗や腐食によるダクトの破損や接続箇所の緩みや破損がないかどうか確認を行います。
除塵装置についても点検が必要です。除塵装置の点検については、方式によって点検方法が異なります。例えば、ろ過除塵方式については、ダストボックスやろ剤の破損や目詰まりを確認する必要があります。
装置の点検だけでなく、作業をする場所の空気中の粉塵濃度を測定することも法律で定められています。特定粉塵作業を常時行なっている屋内作業場においては、6ヶ月に1度空気中の粉塵濃度の測定を行います。
周期的に濃度を測定することで、作業環境の状態を把握し粉塵対策の改善に役立てることができ、作業者の健康を管理するための指標にもなります。
粉塵濃度の測定については、厚生労働大臣の登録を受けた作業環境測定士が測定するか登録を受けた作業環境測定機関に測定を委託する必要があります。
粉塵に関連する法律は、労働者の健康保護と環境保全を目的としています。主な法律には粉塵障害防止規則、じん肺法、そして大気汚染防止法が含まれます。
粉塵障害防止規則は、建設現場や工場での労働者の健康を保護するために労働安全衛生法の一部として制定されました。粉塵を吸い込むことによる健康被害を防ぐために、粉塵の発散抑制、特別な教育、休憩設備、清掃、環境測定、呼吸用保護具の使用などが規定されています。粉塵によるじん肺を予防するための措置も含まれています。
じん肺法は、鉱物性ほこりによる肺の健康被害を防ぐための法律で、鉱山や溶接、金属精錬、鋳造、切断などで発生する鉱物性ほこりに焦点を当てています。特定粉塵作業者には労働安全衛生法に基づく特別教育を受ける義務があります。
大気汚染防止法は、国民の健康を保護し、環境を保全するために大気汚染物質の排出基準を設定しています。排出者はこれらの基準を守る必要があります。
粉塵作業において、特に特定粉塵作業は注意が必要であり、労働者には粉塵特別教育が提供されます。排気・換気装置や大型集塵機の設置と定期的な点検、粉塵濃度の測定が重要です。点検には様々な装置が使用され、法律で規定された基準に従って行われます。
粉塵濃度の測定は作業環境の健康状態を評価し、労働者の安全を確保するために重要です。このため、登録を受けた作業環境測定士か測定機関によって定期的に行われます。粉塵に関する法律や規制の遵守は、労働者の安全と環境保全に寄与します。