大型集塵機は、工場や建設現場などで大量の粉塵を効率的に処理するために欠かせない装置です。しかし、大型集塵機のメンテナンスを怠った場合、集塵効率の低下や火災のリスクなど深刻な問題が生じる可能性があります。
工場や建設現場における安全性や効率性を確保し、トラブルを未然に防ぐために、大型集塵機の定期的なメンテナンスが欠かせないことが示唆されています。
目次
大型集塵機にメンテナンスは必須!その理由とは?

工場や建設現場などで発生する大量の粉塵を効率的に処理するために大型集塵機が活用されます。大型集塵機が継続的に稼働するためにも定期的なメンテナンスが必要です。ここで、メンテナンスが必須な理由について解説します。
集塵効率の低下
メンテナンスを怠ると、集塵機の集塵効率が低下します。集塵効率が低下すると、粉塵が空気中に滞留し、作業員の健康に害を及ぼす恐れがあります。粉塵吸入による肺腫瘍や喘息などの呼吸器疾患の発症リスクが増加します。
作業者の健康保護
作業者の健康を守り、工場内を安全な環境に保つためにメンテナンスが必要です。粉塵を効率的に収集し、作業環境を清潔かつ健康的に維持するためには、集塵機の適切なメンテナンスが不可欠です。
火災のリスク
メンテナンスを怠ると、集塵機のダクト内に粉塵が溜まります。粉塵が溜まった状態で金属研磨などの作業を行うと、出た火花が粉塵に引火し、火災の危険性が高まります。火災の発生リスクを最小限に抑えるためにも、メンテナンスは欠かせません。
粉塵爆発の防止
粉塵が空気中に滞留した状態であれば、粉塵爆発の危険性が存在します。粉塵爆発は非常に危険で、集塵機を定期的にメンテナンスして粉塵の蓄積を防ぐことが、この危険を回避するための重要な対策です。
不良品の削減
メンテナンスを怠ると、集塵機の性能が低下し、排気が効率的に循環しなくなります。排気の不適切な循環により、工場内の気圧が低下し、外部からのごみや粉塵が侵入します。これが原因で不良品が発生するリスクが高まります。
集塵機を定期的にメンテナンスすることで、排気を効率よく循環させ外部からのごみの侵入を防げます。
大型集塵機でよくあるトラブルとは?

画像出典:フォトAC
大型集塵機は、工場で作業中に常に稼働し工場内の空気を清潔な状態に保っていますが、
常に稼働しているため、破損や故障といったトラブルが起きます。トラブルの発生に気が付くためには、目視だけでなく、具体的な数値の確認や音、臭気の確認が必要です。よくあるトラブルについて以下で解説します。
集塵機の吸引力の低下
フィルターが詰まったり、パッキンが損傷したり、配管から空気がもれたりすることにより発生するトラブルです。吸引力の低下はさまざまな原因から起こるため、日頃から集塵機の状態を確認しておくことでトラブルを防げます。
また、工場での作業の終わりに吸引性能のチェックを必ず行うことで吸引性能の低下を早期発見できます。
粉漏れ
粉漏れとは、フィルターやガスケットの破損により、粉塵が集塵機の外に漏れてしまうケースがあります。これが発生すると、集塵機本来の集塵効率が大幅に低下し、作業環境が汚染される原因になります。粉漏れは、集塵機の集塵効率を低下させるので発見された場合は直ちに対応すべきです。粉漏れが放置されると、周囲に粉塵が飛散し、作業環境の安全性にも悪影響を及ぼすため、早期の発見して対処が求められます。
回転機器の異常
集塵機から異常音や振動が発生した際にもトラブルが起きている可能性があります。集塵機に付帯している回転機器になんらかの異常が発生し、そこから異常音や振動が発生します。原因は、軸が損傷していたり、回転部に異物が挟まっていたりするなど多岐に渡ります。異常音や振動が発生した際には、回転機器を確認して異常がないか点検をすべきです。
燃焼物の混入
また、集塵機の使用により異臭が発生している場合にも異常の可能性があります。特に、作業現場で発生した粉塵に金属の切り屑や火花、さらには小さな燃焼物が混じっていると、集塵機のフィルターがそれを処理しきれずに焼け焦げて損傷することがあります。この状態が続くと、フィルターが目詰まりを起こし、集塵機の吸引力が低下するだけでなく、モーターに過剰な負荷がかかるため、最終的に故障につながる恐れもあるでしょう。集塵機内部の粉塵に燃焼物が混入し、フィルターが焼け焦げて損傷している場合を考慮し定期的なメンテナンスと点検を行うこと があるため確認が必要です。
フィルター詰まりによる不具合
フィルターの詰まりは、集塵機の性能低下を引き起こします。フィルターが塵や粉じんで詰まると、吸引力が落ち、集塵効率が悪化します。この状態で使用を続けると、集塵機が必要な吸引力を発揮できなくなり、モーターに過度な負荷がかかります。最終的には、モーターが故障する原因となることもあります。定期的なフィルターの清掃や交換が重要で、詰まりを防ぐためには、吸い込む粉じんの種類に合ったフィルターの選定も必要です。また、作業後にフィルターの点検を行うことで、集塵機の寿命を延ばし、故障を未然に防ぐことが可能です。
部品の摩耗が引き起こすトラブル
モーターやファン、ベアリングなどの可動部品は使用頻度が高いと摩耗しやすく、摩耗した部品が正常に機能しなくなると、集塵機の性能に大きな影響を与えます。例えば、モーターの摩耗により吸引力が弱まり、集塵効率が低下するほか、ファンの摩耗が進むと回転速度が遅くなり、吸引力がさらに低下します。摩耗した部品をそのまま使用し続けると、最終的には集塵機全体の故障を引き起こす可能性があるため、定期的な点検や摩耗部品の早期交換が重要です。
電源トラブルが原因となる故障
電源供給が不安定な場合、集塵機の動作が不安定になり、必要な吸引力を発揮できないことがあります。また、過電流や過熱が発生すると、モーターに大きな負担がかかり、最終的には故障に繋がることもあるでしょう。過電流はモーターを焼け付かせる原因となり、過熱は内部の部品を劣化させるため、集塵機の寿命を縮めるリスクがあります。これを防ぐためには、使用する電源が規定の電圧に合っていることを確認し、電源コードやコンセントの接続部分が適切に機能しているか定期的にチェックすることが重要です。また、電源が不安定な場所で使用する場合は、電源タップやコンセントの確認を行い、必要に応じて過電流防止装置を導入すると良いでしょう。
大型集塵機が故障したら?トラブルへの対処法

大型集塵機が故障した場合、工場内の環境のためにも迅速な対応が求められます。
集塵機のトラブルが起きた際にまず行うことは吸引力が低下しているかどうかの確認です。
測定器を取り付けて、値をチェックして通常時と比べて変化があるかを確かめます。値に変化があるようであれでフィルターの清掃を行うことで、吸引力が回復することがあります。
清掃の際には、ファンや配管内の異物、そして配管自体の緩みや破損がないかも確認すべきです。特に配管内部には粉塵や油などが付着しやすいので、点検口を設置すると定期メンテナンスが行いやすくなります。
また、異常音や振動が発生している際には、回転機器を確認します。ダンパーが開いている角度を調節することで振動や異常音を抑えられます。
トラブルが起きたときに対処するだけでなく、日頃からメンテナンスを行うことでトラブルを防止できます。
特に、集塵機のフィルターは長期間使用すると劣化し、目詰まりが起こります。
フィルターの目詰まりによる吸引性能の低下は発見されにくく、騒音や異音に気づいたときにはすでに集塵効率が低下し、工場内に粉塵が滞留していることも考えられます。
工場内の衛生環境を良好に保つためには、劣化する前にフィルターを定期的な交換をすべきです。
フィルターの交換時期は機種によって異なるため、交換時期より早めに交換するような計画をするとフィルターの劣化を防げます。フィルターの交換や清掃を業者に委託することも、メンテナンスの方法の一つです。
集塵機の選び方

集塵機を選ぶ際は、使用環境や吸い込む対象に合わせて適切なタイプを選ぶことが大切です。乾湿両用か乾式専用か、電動工具と接続するかどうか、タンク容量はどの程度必要かなど、用途に応じた選択が求められます。誤ったタイプを選ぶと故障の原因になったり、作業効率が下がることもあるため、ポイントを押さえて最適な集塵機を選びましょう。
集塵対象に応じたタイプ
集塵機を選ぶ際は、吸い込むものに適したタイプを選ぶことが大切です。水や湿気を含んだ木くずなどを処理する場合は乾湿両用、石膏ボードやコンクリート粉じんなど乾いた粉じんを集塵する場合は乾式専用が適しています。乾湿両用のフィルターは目が粗く、乾式専用のフィルターは細かいため、誤った使用をすると故障や破損の原因に繋がりかねません。例えば、乾湿両用で細かい粉じんを吸うとモーターに入り込み、乾式専用で粗いチリや木材片を吸うとフィルターが傷つく恐れがあります。用途に合った集塵機を選ぶことで、安全に長く使うことが可能です。
電動工具と連動機能の有無
丸のこやグラインダーなどの電動工具と接続して使う場合は、工具の動作に合わせて自動で作動する「連動機能付き」の集塵機が適しています。逆に、電動工具と接続せずに掃除機として使うなら、T型ノズルが標準で付属したモデルを選ぶと便利です。ただし、連動機能付きの集塵機にはT型ノズルが付属していないことが多いため、掃除機としても使いたい場合は別途購入する必要があります。連動機能を活用すると、電動工具のスイッチを入れるだけで集塵機が自動で動作し、作業の効率が向上するでしょう。
タンク容量で決める
集塵機を選ぶ際は、タンクの容量も重要なポイントです。容量が大きいほど多くの粉じんやチリをためることができ、ゴミ捨ての頻度を減らせます。ただし、タンクが大きくなると重量やサイズも増すため、作業環境や収納スペースに適しているかを確認することが大切です。使用頻度や作業量に応じて、適切な容量の集塵機を選びましょう。
集塵機のおすすめメーカーを紹介
こちらでは、大型集塵機を探している担当者の方におすすめのメーカーを3社紹介します。
◇株式会社アコー

アコー株式会社は、集塵や脱臭、有毒ガスの無害化、異物分離、粉体混合・処理といった環境・産業機器の設計・製造を手がける企業です。千葉、静岡、大阪に営業拠点を構え、各営業技術スタッフが顧客の要望に応じた完全カスタマイズの製品を提案しています。自社工場を持ち、鉄板から製品を作り上げる一貫生産体制を確立してきました。豊富な実績をもとに最適なソリューションを提案し、故障の少なさやメンテナンスのしやすさ、低価格を実現しているのが特長です。
会社名 | 株式会社アコー |
本社 | <所在地> 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-1-40 <電話番号> 047-352-4761 |
大阪営業所 | <所在地> 〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3-24-1 <電話番号> 06-6368-9551 |
静岡営業所 | <所在地> 〒438-0211 静岡県磐田市東平松500-1 <電話番号> 0538-86-6478 |
公式ホームページ | https://www.acokk.co.jp/ |
また、環境に配慮した製品とサービスを提供し、持続可能な社会の実現を目指しています。最新の技術を駆使し、効率的で安全な集塵システムを提供し続けています。
株式会社アコーについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇株式会社アピステ

株式会社アピステは、1992年12月18日に設立された企業で、環境改善機器、冷却機器、温調機器の開発・販売を行っています。主な製品には、高性能集塵機、ミストコレクター、制御盤用クーラー、チラー、精密空調機などがあり、生産効率の向上と環境改善に貢献しています。取引先は約3万社にのぼり、自動車、半導体、鉄鋼など多岐にわたる業界の課題解決に取り組んでいます。
会社名 | 株式会社アピステ |
所在地 | 〒530-0004 大阪市北区堂島浜1-4-16 |
電話番号 | 06-6343-0515 |
公式ホームページ | https://www.apiste.co.jp/ |
また、最新の技術を駆使し、顧客のニーズに応じたカスタマイズ製品を提供しています。高品質な製品とサービスを通じて、持続可能な社会の実現を目指し、地域社会の発展に寄与しています。
株式会社アピステについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇真空企業株式会社

真空企業株式会社は、1971年に創業された企業で、集塵機やブロアの製造・販売を行っています。作業環境の向上と環境保護を目指して、日々研究・開発を行い、さまざまな機種を提供しています。高品質な製品とサービスを通じて、快適で安全な作業環境の実現に貢献しています。
会社名 | 真空企業株式会社 |
所在地 | 〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-7-9 |
電話番号 | 03-3639-4911 |
公式ホームページ | http://www.eolus.jp/ |
また、最新の技術を駆使し、顧客のニーズに応じたカスタマイズ製品を提供しています。環境浄化機器の開発・製造・販売に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。
真空企業株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
大型集塵機のメンテナンスの必要性や、よくあるトラブル、トラブル発生時の対処法について解説しました。大型集塵機のメンテナンスは必須です。なぜなら、メンテナンスを怠ると集塵効率が低下し、粉塵が空気中に滞留して作業員の健康に害を及ぼす可能性があります。また、粉塵が溜まることで火災のリスクが高まり、粉塵爆発の危険性も存在します。
さらに、メンテナンスを怠ると排気の循環が効率的でなくなり、不良品の発生リスクが高まります。従って、定期的なメンテナンスによってこれらのリスクを最小限に抑え、工場内の衛生環境を維持することが不可欠です。
大型集塵機を検討する際は、メンテナンスやトラブルについても理解を含め、適切な対処をすることが重要です。また、メーカーによってメンテナンスやトラブル発生時のサポートが異なる為、導入時に十分に確認するようにしましょう。