
【基礎知識】主な大型集塵機の原理と構造、使用時の注意点を解説
大型集塵機は、濾過式、遠心式、洗浄式の3種類があり、粉塵除去の原理や特徴が異なります。用途に応じた選定と適切なメンテナンスが効率的な運用の鍵となります...
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工場などで集塵機を導入する際、異なるタイプの集塵機があり、どれを選べばいいか迷ってしまうかもしれません。集塵機には4つのタイプがあり、集塵したい粉塵の性質、量、状態によって適切な集塵機が変わります。
4つの集塵機、「バグフィルター」「ウェットスクラバー」「サイクロン集塵機」「電気集塵機」の集塵の仕組みと特徴についてご紹介します。
バグフィルターは、ろ布(バグフィルター)を使って排ガスをろ過して粉塵を取り除く「ろ過式集塵装置」の一種です。ろ布の素材には、綿やポリエステル、ナイロン、ガラス繊維などがあり、耐酸化性や耐摩耗性、耐高温性などの性質に応じて選ばれます。高性能のろ布としては、PPSやポリイミド、セラミックなどがあります。
バグフィルター集塵機では、円筒状や平板状に加工したろ布に吸引したガスを流し、粉塵を含んだガスが通過する際に、粉塵がろ布に付着して取り除かれ、清浄な空気になって排出されます。粉塵の捕集能力は0.1μm程度まであります。ろ布には粉塵が付着して詰まってしまうため、定期的なフィルター交換や、ろ布の粉塵を払い落とす必要があります。
フィルター交換タイプでは、ダストモニターで交換時期を判断します。ろ布の粉塵を払い落とす方法としては、パルスジェット、逆圧式、振動式などがあります。
ウェットスクラバーは、水を使用して粉塵を洗い流す集塵機です。吸引した空気を水しぶきに混ぜ、水に含まれた粒子を捕集する仕組みであり、清浄な空気を排出するためには、水切り板によって水滴を分離させます。
ウェットスクラバーでは、8μm粒子を100%捕集でき、ダブルスクラバーでは、2回の集塵で1μm粒子を99%捕集可能です。 水に含まれる粒子は、軽いものは水面に浮き、重いものは沈殿します。捕集された浮遊粉塵はオーバーフロー部から、沈殿した重い粉塵はホッパー下部から排出されます。
ウェットスクラバーは、フィルターメンテナンスが不要であり、水を用いるために火災や爆発の心配がありません。 ウェットスクラバーには、悪臭ガスを除去するために、専用の液体を入れることができます。これにより、亜硫酸ガスやアンモニアのような通常の集塵機では取り除けないガスを捕集することができます。
サイクロン集塵機は、排ガス中の粉塵を円筒内で旋回させることで、重みのあるダストを円筒の壁にぶつけて落としていく「遠心力式集塵装置」の一種です。粉塵は円筒の壁を伝って下降し、集塵を搬出するための容器に蓄積されます。構造が簡素で特殊な材料も必要なく製作費が安く、可動部分もないため保守点検も容易に行えます。
ただし、サイクロン集塵機は理論的解析が難しく、対象粉塵に適した設計にするには専門家の相談が必要です。 サイクロンの円筒の直径が小さいほど、集塵率が向上し、最小で5μm程度の粒子まで捕集できます。
公害防止のために微小粒子の除去が必要な場合は難しく、粉塵の粒子が10μm以上で真比重が高い粉塵に適した集塵方法です。ほかの集塵方法に比べてコンパクトで多量の粉塵濃度の高いガスを処理でき、高温のガスにも使用できます。そのため、ほかの種類の集塵機を使用する前にサイクロン集塵機で処理して効率を上げる場合もあります。
電気集塵機は、空気中の粉塵に電荷を与えて集塵極に引き寄せて捕集する仕組みになっています。放電極と集塵極の間に高電圧をかけると、(-)の電荷を持つイオンを発生します。このイオンが周囲に漂うダストの微粒子と結合してダストが(+)の電荷を持つようになり、(-)の電荷を持った集塵極へ引き寄せられて捕集されます。
集塵極にたまったダストは水で洗い流されたり、叩き落とされたりして集塵を搬出するための容器に集められます。放電極は小さく、集塵極はダストが集まりやすいように広くなっていて、板状になっている集塵極とパイプ状になっている集塵極があります。 電気集塵機は、ダストの種類を問わず、バグフィルター集塵機よりも小さい0.01μm程度の微小粒子でも捕集が可能です。
ほかの集塵機では取り切れないダストも除去できますので、クリーンルームや徹底的に取り除きたい有害物質にも適しています。ただし、放電極を使用するため、爆発の可能性があるガスや粉塵、高温での使用には向いていません。
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