集塵機のチリ落としとは?手間を省ける機種もご紹介
公開:2024.07.25 更新:2024.07.25
チリ落としは、集塵機に使用されるバグフィルターのフィルター表面に堆積した粉塵を除去する作業で、フィルターの寿命を延ばし、集塵効率を維持するために重要です。粉塵がフィルターに堆積すると、透過率が低下し、集塵機の性能全体が悪化してしまいます。
主な方法には、振動方式、逆圧払い落とし方式、パルスジェット方式が挙げられます。自動チリ落とし機能を備えた集塵機を導入すると、手動によるチリ落としの手間を削減し、作業効率を向上できます。
目次
チリ落としとは?
大型集塵機は、工場や製造現場で発生する粉塵を効率的に除去するための設備です。これらの集塵機のなかでもバグフィルターは広く使用されており、その性能を維持するためには定期的なチリ落とし(払い落し)が必要です。
◇チリ落とし(払い落し)とは
バグフィルターは微細な粉塵を捕捉するために高効率なフィルター素材を使用しています。しかし、使用を続けるうちにフィルター表面に粉塵が堆積し、フィルターの目詰まりを引き起こします。
この目詰まりはフィルターの透過率を低下させ、集塵効率が悪化するだけでなく、集塵機全体の性能も低下させます。そのため、定期的にフィルター表面に付着した粉塵を払い落とす「チリ落とし」の実施が必要です。
チリ落としを適切に行うことで、フィルターの長寿命化と集塵機の安定運転が可能になります。
◇主なチリ落としの方法
バグフィルターで用いられるチリ落とし方では、主に3つの方法が挙げられます。
・振動方式
フィルターに振動を与えて粉塵を払い落とす方法です。フィルター全体に振動を伝えることで、フィルター表面の粉塵が剥がれ落ちます。
・逆圧払い落とし方式
フィルターの逆流を利用して粉塵を払い落とす方法です。通常の吸引方向とは逆方向に空気を流すことで、フィルター表面に付着した粉塵を効果的に除去します。
・パルスジェット方式
圧縮空気を短時間で強力に吹き付けることでフィルター表面の粉塵を吹き飛ばす方法です。この方法は清掃効率が高く、大量の粉塵を迅速に除去することができます。
チリ落としをしないとどうなる?
大型集塵機のバグフィルターにおけるチリ落とし(払い落とし)は、機器の性能を維持し、作業環境の清潔さを保つために重要な作業です。しかし、これを怠るとさまざまな悪影響が生じる可能性があります。以下では、チリ落としを行わないことによる具体的な問題について説明します。
◇目詰まり
チリ落としをしないことによる最大のデメリットは、フィルターが目詰まりを起こす可能性があることです。バグフィルターに粉塵が堆積し続けると、フィルターが目詰まりを起こし、これが集塵機の吸引力を低下させ、結果として集塵効率が著しく落ちます。
その結果、作業場に粉塵が残りやすくなり、製造プロセス全体に悪影響を及ぼします。さらに、目詰まりがひどくなると、フィルター自体が損傷するリスクが高まり、フィルターの交換頻度が増加する点もデメリットです。
◇衛生環境の悪化
作業環境の衛生状態の悪化も、チリ落としをしないことによる悪影響のひとつです。粉塵がフィルターを通過し、作業場に再度放出されることで、作業者の健康リスクが増加します。
粉塵の吸入は呼吸器系の疾患を引き起こす可能性があり、特に細かい粒子が含まれる場合、そのリスクがさらに高まります。また、粉塵が積もることで作業場が汚れやすくなり、製品の品質に悪影響を及ぼすこともあります。
チリ落としの手間を省ける集塵機
チリ落としの手間を省くために、自動チリ落とし機能が搭載された集塵機を選択するのもひとつの方法です。以下では、自動チリ落とし機能付きの集塵機をご紹介します。
◇エアショックバグフィルター(アコー)
パルスジェット方式の自動ダスト払い落とし機能が搭載された集塵機です。この機能により、フィルターの目詰まりを防ぎ、長時間の連続安定運転を実現します。
この集塵機はシンプルな構造設計により、故障がほとんどなく、長寿命を誇る点も特長です。これにより、メンテナンスの手間やコストを大幅に削減でき、安心して長期間使用できます。
さらに、使用条件に応じて多種類のろ材の形状や材質を選定できるため、特定の用途や環境に最適な集塵性能を発揮します。
◇パルスジェット集塵機(アマノ)
こちらも自動チリ落とし機能が搭載された集塵機です。多様なバリエーションを持つ縫製フィルターを採用しており、さまざまな使用環境や用途に対応できるよう設計されています。
自動チリ落とし機能と併せて稼働するため、集塵効率を最大化し、クリーンな作業環境を実現します。
さらに、この集塵機はメンテナンスが容易に行えるよう工夫されていることもポイントです。フィルターの交換や清掃が簡単にできる構造で、日常的なメンテナンスの手間を大幅に削減します。
自動チリ落としで効率がアップした事例
自動チリ落とし機能搭載の集塵機を導入し、作業効率が改善した事例をご紹介します。
◇フィルター清掃の手間が省けたケース
既存の集塵機では目詰まりが起こり、頻繁にフィルターの清掃・交換を余儀なくされていたケースです。新たに導入した集塵機には「衝撃波によるチリ払い落とし機能」が搭載されており、フィルターの目詰まりが起こらず、長時間の連続稼働が可能となりました。
さらに、チリ落としされた粉塵をフレーク状にする機能もあり、粉塵の浮遊を抑制する効果も得られました。
◇フィルターの早期目詰まりが解消したケース
フィルターの早期目詰まりとメンテナンスの頻発が課題となっていたケースです。この問題を解決するために、圧縮エアー式の自動チリ落とし機能が搭載された集塵機を導入しました。
その結果、早期目詰まりが解消され、粉塵の排出もよりスムーズになり、粉塵回収にかかる時間が大幅に短縮されました。
集塵機の効率を保持し、作業環境を改善するためには、チリ落としが不可欠です。特にバグフィルターを用いる大型集塵機では、粉塵がフィルターに蓄積すると、性能低下や目詰まりが起こり、フィルターの寿命が縮まることがあります。これを防ぐためには、振動方式、逆圧払い落とし方式、パルスジェット方式などのチリ落とし手法が効果的です。
自動チリ落とし機能が導入されている集塵機も見られており、「エアショックバグフィルター(アコー)」や「パルスジェット集塵機(アマノ)」では、自動で粉塵を除去します。これらの機種は、故障が少なく、メンテナンスが容易であり、様々な環境に適応するフィルターの選択が可能です。
ある工場では自動チリ落とし機能が搭載された集塵機を新たに導入することで、頻繁に発生していたフィルターの目詰まり問題が解消されました。この結果、フィルター交換の頻度が大幅に減少し、粉塵の排出もスムーズになり、生産効率が向上しました。さらに、フィルター清掃の手間が削減されたことで、作業者の負担も軽減したとのことです。