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乾湿両用集塵機とは?吸引できない粉塵も解説

公開:2024.07.22 更新:2024.07.22

集塵機

乾湿両用集塵機は、製造業で発生する多様な粉塵と液体を処理する高機能機器です。大型集塵機のほとんどは湿式・乾式のいずれかしか対応していません。しかし、乾湿両用集塵機では乾式と湿式の両機能を持ち、金属や木材の粉塵は乾式モード、液体は湿式モードに切り替えられます。なお、一部モデルは両機能を同時使用可能です。

ただし、有害化学物質や引火性物質など特定の粉塵や液体は吸引できません。フィルター選定は難しく、頻繁なメンテナンスが必要です。また、大量の粉塵には頻繁な清掃が求められます。効率と経済性を高めるためには、用途に合わせた専用の大型集塵機の選定が推奨されます。

乾湿両用集塵機とは?

乾湿両用集塵機は、製造業の現場で発生する多様な粉塵や液体を効率的に処理するための高機能な集塵機です。以下では、乾湿両用集塵機の特徴や吸引できる粉塵について解説します。

◇乾湿両用集塵機とは

乾湿両用集塵機は、乾式と湿式の吸引機能を持つ集塵機です。最大の特徴は、状況に応じてモードを切り替えられることです。例えば、金属や木材の粉塵を吸引する際には乾式モードを、液体のこぼれを処理する際には湿式モードを使用します。

さらに、一部の高性能モデルでは、乾湿両方の機能を同時に使用することも可能で、切削作業中に液体がこぼれるような複雑な作業環境でも効果的に対応できます。

◇乾湿両用集塵機で吸引できない粉塵

乾湿両用集塵機には、吸引できない(吸引してはならない)粉塵が存在します。以下はその主な例です。

・有害な化学物質
アスベストや鉛粉、シリカなど、健康に深刻な影響を与える可能性がある物質。

・有機溶剤
トルエン、アセトンなどの揮発性有機溶剤。

・引火性のある物質・液体
ガソリン、灯油、アルコール類、シンナーなど。

・爆発性のある物質
マグネシウム粉、アルミニウム粉、炭素粉、ポリマー粉、亜鉛粉など。

・強酸性・強アルカリ性の液体
塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、アンモニウム水酸化物など。

乾湿両用集塵機を利用する際の注意点

集塵機
画像出典:マキタ 公式サイト

乾湿両用集塵機は粉塵を効率的に集める便利な機器ですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。ここでは、乾湿両用集塵機の使用で発生しやすい問題やデメリットを説明します。

◇フィルターの選定が難しい

乾湿両用集塵機のフィルター選びは一筋縄ではいきません。多くの機種は、乾湿の両方に対応するため、目が粗いフィルターを採用しています。これにより、粉塵が詰まりやすく、フィルターの清掃頻度が高くなります。

さらに、切り替え式のモデルではフィルターの脱着が必要となり、手間がかかるのもデメリットです。適切なフィルターを選定する際は、吸引する粉塵や液体の種類に応じた機能性を考慮しなければなりません。

◇容量が少ない

乾湿両用集塵機は、集塵可能な容量が限られていることが多いです。一般的に、大型モデルであっても集塵容量の限度は約30リットルとなっています。そのため、長時間の作業や大量の粉塵を処理する際には、こまめにタンクの状態を確認し、必要に応じて中身を空にする必要があります。

また、モデルによっては掃除機に似たコンパクトな形状を持つ製品が多く、持ち運びには便利ですが、広範囲を一度に処理するには不向きな場合がある点もデメリットです。

大型集塵機は専用タイプを選ぼう

より効率的かつ経済的に粉塵の吸引を行うには、吸引する物質の種類に合った専用の大型集塵機を採用することが推奨されます。以下では、大型集塵機の主なタイプを解説します。

◇サイクロン

遠心力を利用して粉塵を分離・捕集するタイプの集塵機です。内部で気流を旋回させることで、粉塵を外側に押し出し、重力によって下部の集塵容器に落とします。この方法により、5~20ミクロン程度の粒子を効果的に捕集できます。

サイクロン集塵機はフィルターが不要なタイプが多く、メンナンスの手間を大きく削減できる点がメリットです。

◇スクラバー

水や薬品を使用して空気中の粉塵や有害物質を除去する集塵機です。撹拌した水や薬品と粉塵を接触させることで、粉塵や有害物質が液体に吸着され、清浄な空気が排出されます。捕集可能な粒子径は1~5ミクロン程度で、微細な粒子も効果的に捕集できます。

スクラバーのメリットは、水溶性のミストを効率的に除去できる点です。これは特に化学プロセスや製造業で重要な特性と言えます。

◇バグフィルター

布製のフィルターを通過させることで粉塵を捕集する集塵機です。空気はフィルターを通過しますが、粉塵はフィルターの表面に捕集されます。バグフィルターでは、0.1~1ミクロンの微細な粒子を非常に高い集塵効率で捕集できます。

バグフィルターのメリットは、さまざまな粉塵に対応できることや、フィルターの素材を変えることでさまざまな環境に適応できる点です。

大型集塵機の使い分けで課題を解決した事例

大型集塵機の選定は、特定の用途や環境に応じて最適なタイプを選ぶことが重要です。ここでは、バグフィルターとサイクロンがそれぞれ適していた具体的な事例を紹介します。

◇バグフィルターが適していた事例

大量の切粉や削粉が発生し、作業環境が非常に悪化していた工場でバグフィルターを導入した事例です。従来の集塵装置は小型のものが22台設置されていましたが、性能が悪く、工場内は粉塵で真っ白になる状態でした。また、騒音による近隣住民からの苦情もありました。

この問題を解決するために、バグフィルターを導入。高い集塵能力を持つバグフィルターにより、作業環境が改善され、粉塵が周囲に飛散する問題も解消されました。新型のバグフィルターは低音で稼働するため、近隣住民からの騒音に関する苦情も解消しています。

◇サイクロンが適していた事例

アルミ屑の漏れが頻発していた製造現場では、アルミ屑の効率的な集塵のために、ダンパーと光電管センサーが機能するサイクロンを導入しました。その結果、工場内でのアルミ屑の漏れはほとんど解消され、粉塵の分離効率も向上し、作業環境が改善され、効率的な生産が可能となりました。


乾湿両用集塵機は製造業の現場で発生する様々な粉塵と液体を効率良く取り扱うための高性能機器です。通常の大型集塵機は、湿式か乾式のいずれか一方のみに対応していますが、乾湿両用集塵機はこの両方の機能を兼ね備えています。

これにより、金属や木材の粉塵を吸引する際には乾式モードを、液体のこぼれなどは湿式モードで処理することができます。さらに進んだモデルでは、これらの機能を同時に活用することも可能です。

しかし、このタイプの集塵機は有害化学物質や引火性のある物質など、特定の粉塵や液体を吸引することはできません。また、適切なフィルターの選定やメンテナンスが複雑であり、大量の粉塵が発生する環境ではフィルターの清掃が頻繁に必要になります。

そのため、より効率的かつ経済的な粉塵処理を実現するには、特定の用途に特化した専用の大型集塵機を選定することが推奨されます。このアプローチにより、長期的な運用コストの削減と効率的な環境管理が可能になります。

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