飲食店や食品工場での油煙や悪臭の発生は、運営上の重要な課題です。油煙は加工工場では切削油の高温燃焼、飲食店や食品工場では調理過程での揚げ物から発生します。これらは従業員の健康リスクや設備の故障、近隣からの苦情を引き起こす可能性があります。
湿式集塵機や電気集塵機などの装置導入が有効で、これらは微粒子や臭いを効率よく除去します。実際の事例では、これらの対策が近隣トラブルの解消や従業員の健康保護に貢献しています。
目次
飲食店や食品工場の油煙と悪臭はなぜ発生する?

飲食店や食品工場で働く人にとって、現場で発生する油煙や悪臭は気になるところです。事業主としてはこれらの問題を解決しなければ、従業員の健康面や定着率などにも影響しますし、近隣住民からのクレームにもつながります。
◇油煙
油煙とは、鉱物油や油脂などが不完全燃焼した際に発生する細かい炭素粉のことです。油煙には、目に見えない細かな粒子が含まれており、その粒子が空気中に浮遊していると呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があります。ただ、一口に油煙といっても場所によってその発生原因は異なります。
例えば金属加工の工場で排出される油煙は、切削油が高温の加工熱によって燃焼し、粒子となって空気中に放出されたものです。これに対して飲食店や食品工場で排出される油煙は、揚げ物などを調理する際に発生する湯気のことを指します。
いずれも空気や水蒸気が油を含んだ状態で、大量に吸い込んだ場合は人体にも悪影響を及ぼしかねません。特に、長時間にわたって大量の油煙を吸い込んだ場合、肺や気道に炎症を引き起こし、さらには慢性的な呼吸器疾患を引き起こす恐れがあります。
◇悪臭
調理を必要とする飲食店や食品工場において、臭いの問題は避けて通れません。特に生魚などを使用する飲食店や食品工場の場合は、どうしても悪臭の発生につながってしまいます。また、臭いがこもりやすい閉鎖的な空間では、悪臭が長時間残ることもあります。
他にも、ゴミの処理や排水口の清掃などもしっかり行わないと悪臭発生の原因になりかねないため、注意が必要です。万が一悪臭が発生した場合も、きちんと対策をしないと近隣住民からのクレームや従業員の体調不良などにつながる恐れがあります。悪臭は店舗のイメージを損なう要因となり、顧客の訪問を減少させるだけでなく、従業員の作業環境の悪化を招きます。
飲食店や食品工場の油煙で懸念されるリスク

飲食店や食品工場で発生する油煙を放置すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。ここではそのリスクについて解説しましょう。
◇火災
飲食店や食品工場で発生する油煙を放置することによって懸念されるリスクのひとつが火災です。多くは換気扇やレンジフードは使用していますが、油煙による汚れで換気扇やレンジフードのフィルターは徐々に目詰まりを起こし、排気効率はどんどん低下します。
すると排気ダクト内やキッチン全体に付着した油分が延焼媒体となり、大きな火災を招く恐れがあるのです。
◇健康被害
油煙を放置すると、従業員に健康被害が生じる恐れがあります。その一例が油煙を吸い込んだことによって生じる呼吸器疾患です。油煙の油分が肺に沈着すると炎症を引き起こす恐れがありますし、皮膚に付着することで皮膚疾患の原因になることもあります。
◇設備や機械の故障
油煙には店内や工場内の設備や機械の故障を招くリスクもあります。例えば油煙が付着することによって生じる精密機器の誤作動や動作不良、油煙が電気機器内部に侵入することによって起こる電気機器のショートなど、例を挙げ出すとキリがありません。
◇クレーム
近隣住民からのクレームも油煙で懸念されるリスクのひとつです。油煙が外部に漏れた場合、近隣住民がそれを吸い込むことで健康被害を訴える可能性がありますし、洗濯物や外壁などに油煙の油分が付着して汚れる可能性もあります。
これらはいずれも近隣住民からのクレームにつながる恐れがあるため、注意が必要です。
◇衛生面
油煙が発生すると、床や壁に油汚れが付着し、変色やベタつきなど衛生環境が悪化します。さらに、天井に溜まった油分が滴り落ちることで、清掃が行き届かない箇所にも汚れが広がる可能性もあるでしょう。また、床が滑りやすくなることで、作業中の転倒や滑落といった事故のリスクも高まります。そのため作業環境を清潔に保ち、安全な職場を維持するためには、適切な油煙対策を講じることが必要です。
脱臭だけでなく油煙の除去が重要

ここまでは油煙や悪臭の発生原因や対策をせずに放置することによるリスクについて解説しましたが、対策としては脱臭だけでなく油煙自体の除去が重要です。食品工場の場合は、これからご紹介するいずれかの大型集塵機の設置も検討する必要があるでしょう。
◇集塵機について
集塵機は、飲食店の厨房で発生する煙や油煙、粉塵を吸い込み、店内の空気を清潔に保つための機械です。例えば、揚げ物を調理する際に発生する油煙や、粉ものを扱う際に舞い上がる小麦粉の微粒子など、空気中に浮遊しやすい汚れを効率的に除去できます。これらの油煙や粉塵は、わずかな気流の変化で広がり、壁や天井に付着しやすいため、強い吸引力よりも、一度に大量の空気を吸い込む「風量」の大きさが重要になります。
集塵機の役割は、空気を吸い込んでフィルターなどで油や粉塵を分離し、きれいな空気を排出することで、店内の空気環境を改善することです。換気と似た考え方ですが、換気が外気と入れ替えるのに対し、集塵機は店内の空気を循環させながら汚れを取り除く点が特徴です。適切な集塵機を導入することで、厨房の清潔さを維持し、スタッフの健康を守るだけでなく、店全体の快適性向上にもつながります。
飲食店でよく導入される集塵機には、湿式集塵機や電気集塵機があります。それぞれに特徴があり、厨房の環境や除去したい汚れの種類によって適した機種を選ぶことが重要です。
◇湿式集塵機
湿式集塵機は、水の力を利用して空気中の粉塵を捕集する集塵機です。オイルミストや鉄粉などの細かい粉塵に対しては特に有効だとされています。
主なメンテナンスが水交換で、メンテナンスがラクなのも大きなポイントです。また、水の力を利用して集塵するため、集塵機内で火災が起こる心配がありませんし、静電気によって引き起こされる粉塵爆発などの危険性もありません。
揚げ物や鉄板焼きなど、高温調理を行う現場では油煙に可燃性の成分が含まれるため、通常の換気設備では火災のリスクが高まります。しかし、湿式集塵機は水の力で油煙を捕集し、可燃性の油分を効果的に除去できるため、厨房内での火災発生リスクを大幅に低減できます。また、煙とともに排出される臭いや微細な粒子も抑えられるため、厨房の衛生環境の向上にも期待できるでしょう。
◇電気集塵機
電気集塵機は、コロナ放電等を利用して排気中の油煙粒子に荷電を与え、静電気の力を利用して除去する集塵機です。低い圧力損失で微細な粒子まで高効率で捕集が可能な構造となっており、油煙を高確率で除去できます。特に、揚げ物やグリル料理など、高温で調理を行う環境で発生する微細な油煙をしっかり捕集し、厨房内の空気をクリーンに保つことが可能です。
また、高電圧を使用するため、初期設置コストは高くなりますが、構造が単純で可動部分が少ないため、保守や点検などのメンテナンスの手間がかからない点がポイントです。フィルター交換や大掛かりな清掃作業がほとんど必要なく、運用の手間を大幅に削減できます。初期設置費用は高めですが、その後のランニングコストやメンテナンスコストが低いため、長期的には非常にコストパフォーマンスの高い設備となります。特に、忙しい飲食店の厨房では、安定した性能と低メンテナンスのメリットが大きいと言えるでしょう。
電気集塵機で解決した事例

最後にご紹介するのは、電気集塵機を導入して油煙や悪臭の問題を解決した事例です。ここでは2つの事例をご紹介します。
◇焼肉店の事例
焼肉店で肉を焼くときに臭いが生じますが、ある焼き肉店では換気扇での対策にとどめていました。しかし近隣住民からのクレームが入ったことから、電気集塵機の導入に至ったという事例です。
この焼肉店では、いくつかの候補の中から高い確率で油煙を捕集し除去できる電気集塵機を選択しました。その結果、今まで換気扇から外部に漏れていた油煙や調理臭がなくなり、近隣住民からのクレームもほぼなくなったとのことです。
◇焼鳥店の事例
この焼鳥店では、開店当初から焼鳥を焼く際の煙を店外に排出していたため、近隣住民からのクレームが絶えず、煙で信号が見えにくいといったトラブルも発生していました。また、県の環境汚染課から業務改善の指導を受けたことで電気集塵機の導入を決定したという事例です。
電気集塵機を導入したことで、県の環境汚染課による目視判定・臭気判定をクリアしました。今まで煙っていた周辺道路も全く煙らなくなると同時に臭いも気にならなくなり、近隣住民からのクレームもほとんど出なくなったとのことです。
飲食店に集塵機を導入する際のポイント
飲食店では、調理中に発生する煙や油煙、粉塵などを効果的に取り除くために、集塵機の導入が欠かせません。適切な集塵機を選ぶことで、厨房の空気を清潔に保ち、スタッフの健康を守るとともに、店内の快適な環境づくりにもつながります。
◇吸引したい物質を考慮
集塵機を選ぶ際には、吸引する物質が水分、油分、または粉末のどれに該当するのかを十分に考慮することが重要です。集塵機には「乾式専用タイプ」と「乾湿両用タイプ」の2種類があり、それぞれ対応できる粉塵の性質が異なります。乾式専用タイプは、乾いた粉塵を効果的に除去できますが、水分や油分を含む空気には適していません。一方、乾湿両用タイプは、水分や油煙を含む粉塵にも対応できるため、飲食店の厨房や調理場での使用に向いています。適したタイプを選ばないと、期待した効果が得られないだけでなく、故障の原因になることもあります。そのため、導入前に処理したい種類を明確にし、使用環境に合った集塵機を選ぶことが必要です。
◇設置場所に適したサイズか
集塵機のサイズが大きくなるほど吸引能力は向上しますが、その分、設置スペースも確保しなければなりません。また、大型のものほど風量が増え、吸引力が強まる一方で、稼働音が大きくなることも考慮する必要があります。そのため、集塵機を導入する際は、設置場所に適したサイズを選ぶことが重要です。特に飲食店では、厨房や調理場の限られたスペースに設置することが多いため、作業の邪魔にならない適切なサイズを選ぶことが大切です。事前に設置予定の場所を確認し、十分なスペースを確保できるか、動線を妨げないかを検討しましょう。集塵機の性能と設置環境のバランスを取りながら、最適なサイズを選ぶことが、快適な作業環境の維持につながります。
おすすめの集塵機メーカーを紹介
こちらでは、大型集塵機を探している担当者の方におすすめのメーカーを3社紹介します。
◇株式会社アコー

アコー株式会社は、完全オーダーメイドの製品を提供する企業であり、お客さまのニーズに合わせた集塵機や関連機器を設計・製造しています。強みは、完全受注生産と自社一貫生産です。千葉、静岡、大阪の3拠点に営業所を構え、経験豊富な営業技術スタッフが直接お客さまの要望をヒアリングし、最適な設計を行います。製造は自社工場で行われ、1枚の鉄板から製品を作り出す高度な技術力が特徴です。出荷前には厳格な検査を実施し、決められた納期に確実に納品する体制を整えています。
会社名 | 株式会社アコー |
本社 | <所在地> 〒279-0022 千葉県浦安市今川1-1-40 <電話番号> 047-352-4761 |
大阪営業所 | <所在地> 〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3-24-1 <電話番号> 06-6368-9551 |
静岡営業所 | <所在地> 〒438-0211 静岡県磐田市東平松500-1 <電話番号> 0538-86-6478 |
公式ホームページ | https://www.acokk.co.jp/ |
また、環境に配慮した製品とサービスを提供し、持続可能な社会の実現を目指しています。最新の技術を駆使し、効率的で安全な集塵システムを提供し続けています。
株式会社アコーについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇アマノ株式会社

アマノ株式会社は、集塵機やミストコレクターを提供し、工場の環境改善に貢献する企業です。確かなエンジニアリング力を強みに、お客さまの状況を細かく分析し、最適な機器を組み合わせた提案を行っています。また、あらゆる粉粒体に対応できる技術力を持ち、粉塵の性状分析からシステム設計まで、ISO14000sなどの基準に基づいた高レベルなソリューションを提供しています。さらに、アマノの集塵機は国内トップシェアを誇り、日本の製造業の現場で幅広く採用されてきました。地場企業から大手企業まで、多くの工場で活躍している点が大きな特長です。
会社名 | アマノ株式会社 |
所在地 | 〒222-8558 神奈川県横浜市港北区大豆戸町275 |
電話番号 | 045-401-1441 |
公式ホームページ | https://www.amano.co.jp/ |
また、地域社会に根差した製造・販売体制を整え、顧客の要望に即した製品の創造・開発に取り組んでいます。持続可能な社会の実現を目指し、環境に配慮した製品とサービスを提供しています。
アマノ株式会社について詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
◇株式会社アピステ

アピステ株式会社は、集塵機やミストコレクターを提供する環境機器メーカーです。高度な技術を駆使した集塵機は、工場などの環境保護に貢献しています。
会社名 | 株式会社アピステ |
所在地 | 〒530-0004 大阪市北区堂島浜1-4-16 |
電話番号 | 06-6343-0515 |
公式ホームページ | https://www.apiste.co.jp/ |
また、最新の技術を駆使し、顧客のニーズに応じたカスタマイズ製品を提供しています。高品質な製品とサービスを通じて、持続可能な社会の実現を目指し、地域社会の発展に寄与しています。
株式会社アピステについて詳しく知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
飲食店や食品工場での油煙や悪臭の発生は、業務運営において重要な課題です。油煙は加工工場では高温での切削油の燃焼によって、飲食店や食品工場では調理過程での揚げ物などから発生します。
これらの排出物は従業員の健康リスクや設備の故障、近隣住民からの苦情につながる可能性があります。特に火災の危険性や健康被害が深刻であり、事前の対策が不可欠です。
対策としては、単に脱臭するだけでなく、油煙自体を効果的に除去することが重要です。湿式集塵機や電気集塵機などの導入が有効で、これらは空気中の微粒子や臭いを効率よく捕集・除去します。
実際の事例では、これらの装置の導入によって近隣トラブルを解消し、従業員の健康維持にも寄与しています。油煙や悪臭の問題に取り組むことは、業務環境の改善と安全性の確保に直結し、事業の持続可能性を高める重要な一環と言えます。