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電気集塵機とは?原理とメリットを解説!

公開:2023.11.28 更新:2024.10.07

電気集塵機は高電圧で空気中の微細粒子をイオン化し、静電気で集塵極に引き寄せて取り除きます。湿式と乾式があり、優れた集塵力と脱臭能力、低ランニングコストが特徴です。省エネルギーで多種のダストに対応可能です。おすすめのメーカーには、サンテクノ、アコー、ナフコがあります。

微細な粒子を取り除く電気集塵機の仕組みとは

画像出典:フォトAC

電気集塵機は微細な粒子を取り除く装置で、集塵極と放電極に高電圧をかけ、粒子に電荷を与えて引き寄せます。イオン化された粒子は集塵極に付着し、空気を浄化します。微粒子は湿式や乾式で処理され、最終的に排除されます。

◇電気集塵機とは?

電気集塵機は、粒子や塵などの微小な粒子を取り除くための装置の一種です。微細な粒子やダストに電荷を与え、その帯電した粒子を電場で引き寄せて集塵するのが特徴です。

装置の中には集塵極と放電極があり、この二つのあいだに高電圧をかけることで放電現象が発生し、イオン化された粒子が周囲の微粒子やダストと結合します。これにより、帯電したダストが集塵極に引き寄せられ、集塵極に付着することで空気中の微粒子やダストが取り除かれるというメカニズムです。

このプロセスを通じて、電気集塵機は効果的に空気を浄化する役割を果たします。

◇電気集塵機の原理とは?

電気集塵機の原理は、内部に配置された2つの極、集塵極と放電極に直流高圧電流を流すことで始まります。これにより、集塵極には正の電荷、放電極には負の電荷が生じます。

次に、負の電荷を帯びたイオンが周囲の微細なダスト粒子と反応し、静電引力によって正の集塵極に引き寄せられ、付着します。

集塵極に蓄積された微粒子は、湿式では水で洗い流され、乾式では振動によってふるい落とされ、最終的にホッパーに集められて排除されます。

家庭用電気集塵機と業務用電気集塵機の違いとは?

ひとえに電気集塵機といっても、家庭用と業務用があり、それぞれ特徴が異なります。家庭用集塵機は、あくまでも一般家庭での使用を想定しているので、工場などで使用することはできません。吸引力が抑えられているだけでなく、業務用と比べると耐久性も劣ります。

業務用集塵機の場合、工場や事務所など、さまざまなシーンで使用することが可能です。ただ、家庭用よりもサイズが大きいので、一般家庭で業務用集塵機を使用するのは難しいでしょう。

また、吸引できる粉塵やガスなどの種類にも違いがあるケースがあります。家庭用集塵機は家庭内で発生するレベルの粉塵にしか対応していません。そのため、工場などで大量に発生する粉塵やホコリ、水分を含むゴミなどを吸引することができないのです。

家庭用電気集塵機は業務用電気集塵機よりもイニシャルコストを抑えられるものの、工場での使用はできず、そもそもまったく別の製品として理解しておいたほうがいいでしょう。

低コストで幅広い汚染物質に対応する電気集塵機

画像出典:フォトAC

電気集塵機は微細な粒子を確実に取り込み、高い集塵力と脱臭能力を持ちます。ランニングコストが低く、幅広いダストやガスに対応可能で、消費エネルギーの削減にも優れています。

集塵力の高さ

電気集塵機の大きな特長は、その集塵力の高さです。電気集塵機は、微粒子やダストに対する優れた性能を持ち、通常の集塵機ではキャッチしきれない微細な粒子も、静電気の作用により確実に取り込まれます。

電場は流れに従って配置されているため、微弱な帯電を持つダストであっても、ガスの流れに沿って強力に集塵極に引き寄せられます。この独自の特性により、非常に効率的な集塵が可能となり、その優れた性能はバグフィルターと同等の水準といっても過言ではありません。

優れた脱臭力

電気集塵機は、脱臭能力においても優れています。室内の悪臭成分が微粒子に帯電され、集塵極に引き寄せられるため、これらの成分が空気中に漂うことが軽減されるのです。臭気の源となる微細な粒子をキャッチするため、新鮮で快適な空気が生み出され、室内環境の質が向上します。

ランニングコストの良さ

電気集塵機のメリットは、単なる性能だけでなく、ランニングコストの面でも顕著です。機械的なフィルターの交換がほとんど必要なく、主に集塵極のクリーニングがメンテナンスの主体となります。これにより、手軽で効率的なメンテナンスが可能であり、ランニングコストを低減できます。短期間でのコスト削減だけでなく、長期的にも経済的な運用が可能な点が魅力です。

幅広いダスト・ガスに対応できる

一般的な集塵機では、ダストやガスの種類によっては集塵が難しい場合があります。しかし電気集塵機は、その電場の特殊性により、広範囲のダストやガスに対応可能です。微弱な帯電でも効果的に引き寄せるため、異なる粒子サイズや特性を持つ汚染物質や、バグフィルターでも対応が難しい小さな粒子でも確実に集塵します。

消費エネルギーの大幅削減

効率的なエネルギー利用により、水や電力の消費を大幅に削減できる点もメリットのひとつです。特に、最適化された湿式電気集塵方式による節水効果や、高圧電力を効果的に利用するエネルギー効率の最適化は目を見張るものがあります。持続可能な環境への配慮を通じて、効果的でエコフレンドリーな運用を目指していけるでしょう。

電気集塵機を採用するメリット、デメリット

画像出典:フォトAC

電気集塵機の特徴や原理を理解できたものの、そもそも電気集塵機にはどのようなメリットやデメリットがあるのかイメージできない方も多いでしょう。ここでは、電気集塵機を採用するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。

電気集塵機のメリット

ここでは、電気集塵機のメリットについて、「0.01μm以下の粒子も捕集できる」「脱臭力がある」を詳しく見ていきましょう。

0.01μm以下の粒子も捕集できる

電気集塵機の最大のメリットともいえるのが、捕集できる粒子の小ささです。電気集塵機の場合、0.01μm以下の粒子も捕集できるので、一般的な集塵機では取り切れない汚れを集めることが可能です。

電気集塵機を使用すれば、工場内の空気環境を清潔に保つことができ、作業者にとっていい環境をつくれるのがメリットといえるでしょう。そして、作業者がより働きやすくなり、結果的に作業効率が向上するといった恩恵も受けられます。

脱臭力がある

電気集塵機は細かな粉塵を捕集できるだけでなく、優れた脱臭力を備えているのが特徴です。先述の通り、電気集塵機を使用することで、空気中の悪臭成分が微粒子に帯電し、集塵極に引き寄せられることから、悪臭成分が空気中に漂うのを抑制することができます。

悪臭成分が空気中に漂いにくくなるので、快適な空気環境をつくることが可能となります。

電気集塵機のデメリット

電気集塵機を導入するにあたって、メリットだけでなく、デメリットについても理解しておいたほうがいいでしょう。

湿式の電気集塵機の場合、稼働時に水を使用することから、部品が錆びる可能性があります。もちろん、定期的にメンテナンスをしていれば、稼働には問題ありません。ただ、メンテナンスコストがかかってしまうので、費用面に懸念を抱く人もいるでしょう。

とはいえ、湿式ではなく、乾式を使用すれば、そういったデメリットをカバーできます。予算や用途などを考慮して、自社にあった最適な電気集塵機を見つけるのがポイントです。

電気集塵機のおすすめの選び方

画像出典:フォトAC

ここまで、電気集塵機の特徴や仕組みに加え、メリットやデメリットを見てきました。ただ、数多くある電気集塵機の中から、どれを選べばいいかわからない方も多いでしょう。

ここでは、電気集塵機のおすすめの選び方について、詳しく紹介します。

吸引する物質で選ぶ

集塵機を選ぶときは、どのような物質を吸引するかで選択するのがおすすめです。というのも、ひとえに集塵機といっても、機械によって集塵できる物質が異なるのです。

水分を含んだ粉塵を吸引できるものや、液体そのものを吸引できるものもあります。用途にあった集塵機を選ぶことで、効率的に集塵機を稼働させられ、工場内の環境を整えやすくなります。

たとえば、石膏ボードやコンクリートなどの粉塵を吸引するシーンが多い場合は乾式の集塵機がおすすめです。一方、水分を含んだ物質を吸引する機械がある場合は湿式や乾湿両用タイプを選びましょう。

なお、乾式電気集塵機は、静電気の力を使ってダストヒュームといった粒子を捕集することが可能です。また、湿式電気集塵機は水分を含んだ粉塵や汚れなども捕集できます。

タンク容量で選ぶ

集塵機の種類によってタンク容量に違いがあり、粉塵を吸引できるキャパシティーに差があります。タンク容量が多いほど、一度に稼働できる時間が長く、作業を長く続けられるといったメリットがあります。

ただ、タンク容量が多いと、その分粉塵を吸引する量も増えることから、タンクが重くなってしまって操作しにくいといったケースも珍しくありません。そのため、作業性や持続性などを考慮し、総合的にタンク容量を決めるのがおすすめです。

ほかの電動工具と接続するかどうかで選ぶ

集塵機を選ぶときは、吸引する物質やタンク容量だけでなく、ほかの電動工具と接続するかどうかで選ぶのもいいでしょう。

というのも、集塵機の中には連動機能付きの集塵機があり、ほかの工具を接続することで別の使い方ができるものがあるのです。たとえば、一般的な掃除機のようにT字のノズルを取り付けることで、清掃用として使用できるようになります。

そのほか、さまざまな付属品が展開されているので、そういった付属品を接続するかどうかも考慮して集塵機を選ぶのがいいでしょう。

おすすめメーカーの電気集塵機を紹介!

画像出典:フォトAC

サンテクノの「ハイブリッド湿式電気集塵機」は溜水式と電気集塵部を組み合わせ、優れた集塵力と自動洗浄機能を提供。アコーの「スモッグホッグ」は強力な集塵・消煙効果を持ち、省エネルギーで経済的。ナフコの「乾式電気集塵機」は高効率でコンパクト、低電力で長期運転に優れます。

◇ハイブリッド湿式電気集塵機(サンテクノ株式会社)

サンテクノ株式会社が提供する「ハイブリッド湿式電気集塵機」は、溜水式スクラバー部と電気集塵部を組み合わせることで、効果的にダストを処理し、清浄なガスを実現できる電気集塵機です。さまざまな種類のダストを確実に捕集する能力を備えており、製鉄・鉄鋼、自動車業、スクラップ工場、廃車シュレッダー工場などさまざまな業種で高い集塵効果を発揮します。

溜水式湿式集塵機と電気集塵機が一体化された設計により、省スペースでの設置が可能です。また自動洗浄機能が搭載されているため、メンテナンスが容易である点も大きなメリットです。

◇スモッグホッグ(アコー株式会社)

アコー株式会社が提供している「スモッグホッグ」は、その名のとおり電気の力で強力に集塵・消煙を実現する電気集塵機です。その魅力は非常に力強い消煙効果で、ボタンを押すだけで短時間で排煙がほぼ消滅し、清浄な空気へと変わります。風量も安定しており、目詰まりの心配もありません。

スモッグホッグは小電力かつ省エネルギーである点も魅力です。圧損が少ないため、電力コストを削減し、空調ロスを最小限に抑えています。経済的でありながら、妥協のない排煙処理性能をもった優れた電気集塵機といえるでしょう。

◇ナフコ乾式電気集塵機(ナフコ株式会社)

ナフコ乾式電気集塵機は、針状放電極と平行平板式電極の2つが搭載された独自の設計を持つ電気集塵機です。このユニークで優れた機構により、原子力廃棄物焼却灰や重金属酸化物(鉛やカドミウム等)まで、幅広い業種のダストを捕集・回収できます。

ナフコ乾式電気集塵機は通常の電気集塵機と比較して、消費電力が少なく、またコンパクトな設計を採用しているため、大型集塵機とは異なり省エネルギーかつ場所を取らない点が特長です。また針状放電極を採用しているため断線事故の心配がなく、安定した長期運転が実現できます。

電気集塵機を使用するときの注意点

画像出典:フォトAC

電気集塵機は使用方法を誤ると、火災や粉塵爆発のリスクがあります。そのため、電気集塵機を採用するときは、いくつか注意しなければならないことがあります。

静電気による火災

研磨機などで生成された粉塵には、摩擦によって粉塵に帯電することがあります。帯電した粉塵を集塵機が吸引することで、集塵機内にどんどん電気がたまっていくのです。

そして、蓄積された粉塵が重なりあうことで、帯電が強まっていき、放電することで火花が発生します。その火花が粉塵に引火して火災が発生する仕組みです。

集塵機の種類によってはバグフィルターが使用されており、バグフィルターにアースを取ることで火災リスクを低減することが可能です。そのほか、火災対策が取られた集塵機を選ぶのもいいでしょう。

集塵機によっては難燃性が高いものがあり、そもそも引火しにくい機械も多くあります。また、早期火災検出システムが備わっているものもあり、火災を瞬時に検知することで、大きなトラブルにつながるまえに防ぐことが可能です。

粉塵爆発

粉塵爆発とは、可燃性の粉塵が空気中に浮遊して滞留し、そこが発生源となって爆発するといった仕組みです。爆発によって未燃性の粉塵も舞い上がり、それに引火して火災が発生するといったケースもあります。

粉塵爆発を未然に防ぐためにも、どのような物質が浮遊して滞留するのかをしっかりと把握しておくことが大切です。浮遊する物質を把握することで、集塵機の種類を変えたり、レイアウトを変更したりするなどの対策を取れます。


電気集塵機は、粒子や塵を取り除くための機械です。微細な粒子に電気を与え、帯電させて電場で引き寄せ集塵することができます。

電気集塵機は低コストで幅広い物質を捕集できることから、集塵力の高さが大きなメリットです。また、国内には電気集塵機を扱っているメーカーが複数あり、それぞれの特徴を理解したうえで、どの集塵機を導入するかを検討することをおすすめします。

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