パルスジェット式の仕組みとは?集塵機のおすすめメーカーを紹介
公開:2023.12.25 更新:2024.10.30
パルスジェット式の仕組みは、燃焼プロセスで空気を加速し、推進力を生み出す技術です。この技術を利用した集塵機は、粉塵や微粒子の収集に効果的で、自動的なクリーニング機能を持つため、長期的な運用に向いています。逆洗・シェーキング併用方式やパルスジェット洗浄方式を組み合わせることで、効率的な粉塵除去が実現します。パルスジェットは、集塵機の長寿命と維持に不可欠です。
目次
集塵機に活かされるパルスジェット技術
画像出典:フォトAC
パルスジェット式とは、粉塵や微粒子などの収集を行う集塵機で使用されている技術のことを指します。パルスジェット式は、フィルターの表面に付着した粉塵や微粒子などを自動で除去できるため、集塵機としての能力を長期的に維持できる点が大きな魅力のひとつであると言えるでしょう。
◇パルスジェットとは?
パルスジェットは、燃焼プロセスを利用して空気を加速し、推進力や圧力を生むエンジンや装置のことを指します。この技術は、燃料消費量が多く、振動や騒音が大きいため、有人航空機には向いていません。しかし、無人のミサイルや標的機などには適した推進装置と言えます。実際、第2次世界大戦中には、このパルスジェットエンジンが搭載された機体が使用されていたとされています。
パルスジェットは、主に燃焼したガスを急速に排出することで推進力を得るため、シンプルな構造ですが高効率です。無人機や特定の軍事用途においては、その特性を活かして使われることが多いのが特徴です。過去には様々な試みや改良が行われ、現在も研究が続いています。
◇パルスジェットの技術を活かす集塵機
集塵機の中には、先に述べたパルスジェット技術を活用した製品があります。この方式は「パルスジェット式(逆圧噴流)」と呼ばれ、さまざまな環境で広く利用されています。パルスジェット技術が採用された集塵機の特徴として、自動でフィルターをクリーニングできる点が挙げられます。
この機能により、フィルターに付着した粉塵や微細な粒子を定期的に効果的に除去でき、集塵機の性能を維持することができます。この結果、長期間にわたって安定して使用できるため、運用コストの削減にもつながります。多様な現場での使用が期待されています。
◇集塵機の基本的な構造
集塵機は、フィルター部、払い落とし部、ハウジング部、タイマ部から構成されています。吸引された空気中の粉塵や微細粒子はフィルター部で集められ、分離処理が行われます。その後、フィルターを通過したクリーンな空気だけが再び環境に放出される仕組みです。
この構造により、集塵機は効率的に空気を清浄化します。また、フィルターのメンテナンスがしやすく、運用が簡便なのも特徴です。フィルターの状態や運転状況をタイマーで管理することで、さらなる効果的な運用が可能となります。
パルスジェット式バグフィルター集塵機の特徴
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パルスジェット式を採用したバグフィルター集塵機には、さまざまな種類のものがあります。例えば、集塵機としてはポピュラーなバグフィルター式のものなどが挙げられるでしょう。
こちらでは、大型集塵機の導入をご検討中の方に向けて、パルスジェット式を採用したバグフィルター集塵機について、詳しくご紹介いたします。
◇集塵機としてはポピュラーなバグフィルター式
バグフィルター式集塵機は、産業設備として非常に広く使われている装置です。この集塵機は高い汎用性を持ち、さまざまな環境での使用が可能です。また、セメントや鉄鋼、鉱業、化学、食品、ゴミ焼却施設、産業廃棄物処理など、多くの現場で利用できることも大きな魅力です。
バグフィルター式についてはこちらの記事で紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
汎用性の高い大型集塵機バグフィルターの原理を解説
◇逆洗・シェーキング併用方式
逆洗・シェーキング併用方式は、集塵機などで粉塵や微粒子を除去するために使われる技術です。この方式では、逆洗が寒冷地でもトラブルなく使えるため、さまざまな環境に対応可能です。また、逆洗は静音性が高いことも魅力の一つです。
一方、シェーキングはフィルターに振動を与えることで、フィルターの表面に付着した粉塵や微粒子を効果的に取り除くことができます。逆洗とシェーキングを組み合わせることで、短時間で効率的な粉塵除去が実現します。
◇パルスジェット洗浄方式
パルスジェット洗浄方式は、集塵機などで粉塵や微粒子を除去するための技術です。この方式の大きな魅力は、フィルターの払い落としを自動的かつ瞬時に行えることです。これにより、フィルターの性能を保ちながら、長期間にわたって効果的に運用できることが期待できます。
画像出典先:株式会社辰巳エヤーエンジニアリング
パルスジェット式集塵機の集塵効率を高めるメリットとは
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パルスジェット式集塵機の仕組みや原理を理解できたものの、そもそもパルスジェット式集塵機を採用することで、どのようなメリットやデメリットがあるのか疑問に思っている方もいるでしょう。
ここでは、パルスジェット式集塵機を採用するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
パルスジェット式集塵機のメリット
パルスジェット式集塵機を選ぶメリットは主に二つあります。一つ目は、集塵効率を維持しやすい点です。パルスジェット式では、エアー圧を利用してフィルターを清掃します。この方法により、手動での清掃の手間を省けるだけでなく、集塵機の性能を保つことができます。
自動清掃機能がついているため、フィルターに付着した粉塵や微粒子を効果的に取り除き、常に高い集塵効率を維持できます。
二つ目は、フィルターの清掃とメンテナンスが手軽である点です。パルスジェット式集塵機のフィルターは自動で清掃されるため、作業者は他の業務に集中できます。この結果、生産性が向上することにつながります。フィルターの交換は手動ですが、構造がシンプルなので、古いフィルターを外して新しいものを取り付けるだけで済みます。
パルスジェット式集塵機のデメリット
パルスジェット式集塵機を導入する際のデメリットとして、イニシャルコストが挙げられます。この集塵機を設置するには、どうしても初期投資が必要になります。特に、高機能なモデルでは製品自体の価格が高いため、予算を超えてしまうことも珍しくありません。
ただし、これはパルスジェット式集塵機に限ったことではなく、他のタイプの集塵機にも一定のコストがかかります。そのため、製品の特性やメリットを十分に考慮した上で、導入を検討することが重要です。
パルスジェットが必要な理由とは?
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集塵機において、パルスジェットが必要とされている理由はさまざまです。例えば、粉塵や微粒子などの効率的な収集およびフィルターのクリーニングの実現などが挙げられるでしょう。
こちらでは、パルスジェットの必要性やパルスジェットの効果について、詳しくご紹介いたします。
◇パルスジェットの必要性
パルスジェットを採用した集塵機は、フィルターの表面に付着した粉塵や微粒子を自動で除去することができます。この機能により、集塵機の能力を長期間維持できるだけでなく、手動でフィルターを掃除する手間も大幅に削減できます。
フィルターが粉塵や微粒子で詰まると、通気性が低下し、集塵機の効率が悪くなります。しかし、パルスジェット方式では定期的に自動クリーニングが行われるため、フィルターの寿命が延び、長期にわたって高い性能を維持できます。さらに、メンテナンスにかかる費用も大幅に削減できるのが大きな利点です。
◇パルスジェットの効果
パルスジェット方式の効果として、高い粉塵や微粒子の収集効率が期待できることが挙げられます。定期的に自動でクリーニングが行われるため、収集効率や収集能力を長期間にわたって維持することが可能です。
さらに、パルスジェット方式は、用途や目的に応じてフィルター材料や設定を調整できるため、さまざまな分野で異なるタイプの粉塵や微粒子に対応することができます。この柔軟性が、パルスジェット方式の大きな利点です。
パルスジェット式集塵機のフィルター交換の重要性とタイミング
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パルスジェット式集塵機は、自動でフィルターの清掃を行いますが、フィルターは永久的に使用できるわけではなく、定期的な交換が必要です。フィルターを交換しないままでいると、吸引力が低下し、正常に集塵ができなくなってしまいます。
正常に集塵できない場合、粉塵が製品に飛散したり、工場内に滞留したりする可能性があり、生産効率が低下する恐れがあります。
ただし、フィルターをいつ交換すればよいか分からない方もいるでしょう。フィルターを清掃しても吸引力が回復しない場合が交換のタイミングです。具体的には、フィルターの差圧が1,000Pa〜2,000Paになった時が交換の目安となります。
おすすめメーカー3選
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パルスジェット式集塵機の特徴やメリットを理解できたものの、どの集塵機を選べばいいかわからない方も多いでしょう。
ここでは、パルスジェット式集塵機を扱うおすすめメーカーを3社紹介します。
株式会社アコー
株式会社アコーは千葉県浦安市に本社をかまえる工業製品メーカーです。株式会社アコーでは、オーダーメイドの集塵機を扱っており、予算や対策、設置スペースや改善箇所数などに応じて、ぴったりの集塵機を提案してくれます。
千葉県、静岡県、大阪府の3箇所に営業拠点があり、入念なヒアリングのもと最適な集塵機を設計してくれます。また、実際に集塵機を製造するときは、静岡県にある自社工場で鉄板1枚から制作するのが特徴です。
もちろん、出荷前には厳しい出荷前検査をおこない、合格した製品のみが出荷されるので、安心してパルスジェット式集塵機を導入できるでしょう。
オーダーメイドに対応しているので、「もともと取引している集塵機メーカーが取扱を中止した」「ランニングコストを抑えたい」「急ぎでパルスジェット式集塵機が必要」などの悩みや要望にも応えてくれます。
気になった方はぜひHPを御覧ください。
アマノ株式会社
神奈川県横浜市に本社をかまえるアマノ株式会社は、環境事業やパーキング事業など、さまざまな事業を展開しています。中でも、環境事業ではISO14000sなどに基づいた優れたレベルのシステムを提供しているのが特徴です。
集塵機の国内シェア1位の企業であることから、さまざまな知識とノウハウを背景に事業展開しています。
なお、集塵機については、小型集塵機やサイクロン内蔵集塵機に加え、大型集塵機や爆発圧力放散型集塵機、溶接用集塵機など、多様な集塵機をラインナップしているのが特徴です。
パルスジェット式集塵機の中でも、中圧や高圧など、さまざまな種類があり、使用環境や設置場所、用途などにあわせてぴったりの製品を選べるのがアマノ株式会社の特徴といえるでしょう。
淀川電機製作所
淀川電機製作所は、大阪府豊中市に本社をかまえる電動工具や集塵機などを扱うメーカーです。「カートリッジフィルター式集塵機」「溶接ヒューム用集塵機」「パルスジェット式集塵機」などを扱っており、幅広い選択肢の中から自社にあった集塵機を選べるのが特徴です。
淀川電機製作所のパルスジェット式集塵機は、「微差圧コントロールシステム」「タイマーコントロールシステム」といった2種類の除塵システムを採用しています。
自社開発の制御盤を採用した専用モニターで、稼働状況などを常時モニタリングできます。また、タイマーコントロールシステムでは、作業内容や粉塵量に応じて、除塵のタイミングを半自動で設定できるのが特徴です。
なお、淀川電機製作所のパルスジェット式集塵機は、工具不要でメンテナンスすることが可能です。フィルター交換もスムーズにおこなえることから、メンテナンス性に優れているのも特徴のひとつといえるでしょう。
パルスジェット式とは、粉塵や微粒子などの収集を行う集塵機で使用されている技術のことです。フィルターの表面に付着した粉塵などを自動で除去できるので、長期的に集塵機の能力を維持できるのが特徴です。
また、日本国内にはパルスジェット式集塵機を扱うメーカーが複数あり、今回はとくにおすすめの3社を紹介しました。それぞれの特徴を把握したうえで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。