有害なヒューム微粉塵には大型集塵機が必須! 集塵機の特徴や選び方を紹介
公開:2024.04.18 更新:2024.04.18
ヒューム微粉塵は作業現場や工業環境で発生し、特に溶接や金属加工時に生成されます。これらは微細な粒子で構成され、健康リスクがあります。法改正により、溶接ヒュームの対策が強化され、全体換気装置の使用が義務付けられました。
大型集塵機はこれら有害物質を除去し、作業者と機器の安全を確保します。信頼性の高いメーカーを選び、適切な集塵機を選択することが重要です。
目次
ヒューム微粉塵とは?
ヒューム微粉塵は、作業現場や工業環境で発生する粉じんの種類です。これらは微細な粒子で構成されており、特にアーク溶接や金属加工などの作業時に生成されます。ヒューム微粉塵は、健康への潜在的なリスクがあるため、適切な対策が必要です。
◇ヒュームとは?
ヒュームとは、アーク溶接時に発生する微細な粒子のことを指します。アーク溶接は、5,000℃以上の高温を発生させ、金属を溶かして接合する方法です。この高温で溶けた金属の一部は蒸気となり、空気中に放出されます。
その蒸気が冷え固まってできるのがヒュームです。ヒュームの粒子は非常に小さく、直径が0.1~1μmと非常に微細です。そして、この微粒子は健康被害を引き起こす可能性があるとされています。
◇ヒュームと微粉塵の違い
ヒュームと微粉塵は、粉じんの種類の一つですが、性質や発生源において異なります。微粉塵は、固体が粉砕、研磨、爆発などで空気中に分散したものです。一方のヒュームは、固体が加熱されて蒸発し、その後凝縮したものです。
ヒュームは金属の加熱溶解、溶接、溶断などの過程で発生します。微粉塵とは異なり、ヒュームは液体が蒸発・凝縮したものではなく、固体が蒸発して生じます。したがって、ヒュームと微粉塵は異なる性質を持ち、それぞれの発生源と特性を考慮して区別されます。
ヒュームが及ぼす悪影響
ヒュームが及ぼす影響は、作業現場における深刻な健康リスクです。これらの微細粒子を吸入することで、じん肺や呼吸器の障害が引き起こされる可能性があります。そのため、労働者の安全と健康を守るためには、ヒュームが及ぼす悪影響に対処することが不可欠です。
◇ヒュームによる人体への影響
ヒュームは、アーク溶接時に発生する微細な粉じんで、人体に深刻な影響を及ぼします。アークの高温で溶けた後、空気中で凝縮して微細な粉塵となります。これらの粉じんを吸い込むと、肺の組織が繊維化し、じん肺と呼ばれる疾患を引き起こす可能性があるでしょう。
じん肺は不可逆的で、一度発症すると治癒が難しく、肺の機能が損なわれます。さらに、溶接ヒュームには中毒性があり、吸入後に急性中毒症状が現れることもあります。そのため、溶接作業時には適切な防護措置が不可欠です。
◇溶接ヒュームに関する法改正
溶接ヒュームは特定化学物質に指定され、令和3年4月から法改正が施行されました。これにより、金属アーク溶接等作業時には全体換気装置を使用するなどのルールが適用されます。
具体的には、溶接ヒュームを減少させるための換気設備の整備や濃度測定の実施、労働者への呼吸用保護具の着用義務化などです。
また、特殊健康診断や安全教育の実施、特定化学物質作業主任者の選任とその責務、さらには作業場の設備改善や清掃の強化などが定められました。これらの措置は、溶接ヒュームによる労働者の健康被害を最小限に抑えるための重要な対策です。
ヒューム対策に大型集塵機が効果的
大型集塵機は、工場や作業場で生じる粉塵や微細なヒュームを効果的に除去する装置です。大型集塵機は、様々な種類があり、粉塵やヒュームを効率的に除去して作業環境を改善します。
◇大型集塵機とは
大型集塵機は、空気中の微細な粉塵やホコリ、チップ、切削粉などを収集・除去する装置です。有害な物質の集塵により、作業者の健康被害や機械の損傷を防ぎ、環境保護や労働安全の向上に貢献します。労働者の健康を守り、生産性を向上させることで、経済的な効果も期待されます。
また、地球環境への貢献や生産性の向上など、環境保護や労働安全におけるメリットが大きい装置です。
◇集塵機の主な種類
集塵機にはバグフィルター、スクラバー、サイクロン集塵機、電気集塵機の4種類があります。バグフィルターはろ布を使って粉塵を取り除くろ過式装置で、スクラバーは水を使用して粉塵を洗い流す装置です。サイクロン集塵機は遠心力を利用して粉塵を除去し、電気集塵機は粉塵に電荷を与えて集塵極に引き寄せる仕組みです。
それぞれの集塵機は異なる仕組みを持ち、粉塵の性質や量、状態に応じて適切なものを選択する必要があります。
集塵機で人と機器のリスクを低減
集塵機は、工場や作業現場で発生する有害な粉塵やヒュームを集めることで、作業者の健康被害や機器の故障を防ぎます。特に、レーザーや加工工程においては、粉塵やヒュームが作業者の呼吸器官に影響を及ぼし、機器に悪影響を与える恐れがあります。
集塵機を適切に活用することで、これらのリスクを最小限に抑え、安全で効率的な作業環境を確保することが可能です。
◇集塵機で人と機器の安全を確保
レーザー工程において発生するヒュームは、製品の品質低下や加工機器の故障につながる重大なリスクです。ワークやレーザー加工機器へのヒュームの付着は焦点ずれや故障を引き起こし、作業環境の悪化も招きます。そのため、集塵機はヒュームの除去において不可欠と言えるでしょう。
集塵機が適切に稼働することで、作業者の健康リスクを軽減し、加工機器の故障を防ぎ、作業環境を改善できます。レーザー工程における集塵機の導入は、人と機器の安全を確保し、生産性を向上させる重要な手段となります。
◇集塵機はどう選ぶ?
大型集塵機を選ぶ際に重要なポイントは信頼性の高いメーカーを選択し、複数の見積もりを比較することです。製品の比較が難しいため、メーカーの信頼性やアフターサービス、ランニングコスト、保守性についても検討しましょう。
集塵機の性能は静圧や風量、粉塵の種類だけでなく、フードの形状やホースの長さ、曲がる回数などによっても変わります。フードの形状やホースの仕様は、粉塵の飛散方向や集塵範囲に合わせて選択する必要があります。性能表の数値だけではなく、目的や用途を考慮して最適な集塵機を選ぶことが重要です。
ヒューム微粉塵は作業現場や工業環境で発生し、特にアーク溶接や金属加工時に生成されます。これらは微細な粒子で構成され、健康への潜在的なリスクがあるため、対策が必要です。
ヒュームは金属の高温加熱により発生し、じん肺や呼吸器障害を引き起こす可能性があります。法改正により、溶接ヒュームの対策が強化され、全体換気装置の使用などが義務付けられました。
大型集塵機はこれら有害物質を除去し、作業者と機器の安全を確保します。信頼性の高いメーカーを選び、性能や用途に合った集塵機を選択することが重要です。
大型集塵機完全ガイドでは、塵機・集塵機メーカーの選び方を徹底解説しています。ぜひ他の記事もご覧ください。