切削加工とは? 大型集塵機で健康被害リスクを低減
2024/05/07
切削加工は工業製品の製造や加工に使用される基本的技術で、切削工具を使って金属や他の素材を削ったり切断したりします。切削加工によって生じる粉塵やミストは健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
大型集塵機は、切削作業で発生する粉じんやミストを収集し、作業環境を改善します。乾式と湿式の両方を備えたタイプや電気集塵機が推奨され、適切な集塵機を選択することが重要です。
切削加工とは?
切削加工は、工業製品の製造や加工において基本的な技術の一つです。この方法では、切削工具を使用して金属や他の素材を削ったり、切断したりして加工します。切削加工は工業分野で広く用いられ、製品の形状や寸法を精密に制御するための重要な技術です。
具体的な定義はありませんが、旋盤やフライスなどの方法がこれに該当します。工業製品の製造や加工にはよく使われ、機械加工の主要手法の一つです。
◇切削加工の種類
切削加工の種類は大きく分類すると、旋盤加工、フライス加工、穴あけ加工の3つです。
旋盤加工
加工物を固定する旋盤とバイトと呼ばれる切削工具で行われます。加工物を回転させ、バイトを加工箇所にあてて削ることで、主に丸形状の加工に適しています。
フライス加工
切削工具側を高速回転させて、加工物に押し当てて削る方法です。角物の加工を得意とし、角部分の丸みを残さずピン角と呼ばれる鋭い角を作ることが可能です。
穴あけ加工
ボール盤を使用して行われます。加工物に穴を開けたり、穴を掘り広げたりすることが可能です。ボール盤は穴あけ加工に特に適しており、ねじ切りやリーマ加工などもできます。
切削粉塵によるリスク
切削粉塵は、切削や研削などの加工工程で生じる微細な粉末状の物質です。これらの粉塵は空気中に浮遊し、吸入されると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に長期間にわたる露出は、呼吸器疾患やじん肺などのリスクが増大するため、対策が必要です。
◇切削加工から出る粉塵は危険?
切削加工によって発生する粉塵とミストには、危険性があります。切削油を使用する場合、加工中に発生するミストは有害なオイルミストとして放出され、設備の汚染や故障、さらには火災のリスクを高めます。
また、鋳物やセラミック・カーボンなどを加工する際に発生する粉塵も健康に悪影響を及ぼすでしょう。
粉塵の中には、肺疾患を引き起こす可能性のある金属や鉱物が含まれており、特に長期間にわたる露出はアルミニウムじん肺症や珪肺症などのリスクを増大させます。
さらに、特殊な機械加工方法では、電気火花やレーザー、電子ビーム、プラズマ処理に伴う危険性もあります。これらの加工では、高温や紫外線、電磁放射などの危険要因が存在し、適切な安全対策が必要です。
◇じん肺のリスク
じん肺は、長期間にわたり無機物や鉱物性の粉塵を吸い込むことで引き起こされる肺の疾患です。初期症状には息切れや咳、増える痰がありますが、進行すると呼吸困難を引き起こし、肺の組織が壊れることもあります。この病気には、気管支炎や肺がん、気胸などの合併症が発生する可能性があります。
じん肺は、粉塵作業を行っている人にとって潜在的なリスクです。症状は数年から十数年かけて進行し、粉塵の化学組成や吸入量、個人の性や年齢、体質によって異なります。
大型集塵機で切削粉塵の飛散を改善
大型集塵機は、切削作業によって発生する粉じんや微粒子を効果的に収集し、作業現場の清潔さや労働者の健康を保護します。切削粉塵は、作業中に空中に飛散しやすく、呼吸器系への影響や環境汚染の原因となります。そのため、安全な作業環境を維持して健康を守るためには、欠かせない装置です。
◇粉塵対策に大型集塵機が効果的
大型集塵機は、切削や研磨、解体などの作業現場で発生する粉じんを効果的に取り除くのに役立ちます。粉じんは呼吸器に侵入し、肺胞まで到達することで健康被害を引き起こす可能性があります。特にトンネル建設や金属研磨、鋳物業などでは多量の粉じんが発生し、作業者の健康に悪影響を与えるリスクが高まるため、注意が必要です。
大型集塵機は、空気中の粉じん量を減らすことで健康被害や大気汚染を防止し、作業環境を改善できます。
◇切削粉塵対策におすすめの大型集塵機
切削粉塵の対策におすすめの大型集塵機は、乾式と湿式の両方を備えたタイプです。切削作業によって生じる粉塵や液体を効果的に取り除くには、作業の性質に合わせて乾式、または湿式を選択できる柔軟性が重要です。
乾式集塵機
乾燥したものや表面に水分のない粉塵や切粉を効果的に吸引します。
湿式集塵機
液体や湿った粉塵を吸引することが可能です。
乾湿両用の集塵機
乾式と湿式の両方の機能を備えており、さらに柔軟性があります。
◇電気集塵機
電気集塵機は、微粒子の捕集に優れており、特にオイルミストの回収に効果的です。このタイプの集塵機は、高電圧をかけた電極間でのコロナ放電を利用して微粒子を帯電させ、静電引力を活用して集じん極に引き寄せ捕集します。そのため、圧力損失が小さく、高い捕集率で微粒子を捕集することが可能です。
電気集塵機は設備費とメンテナンス費用がかかるものの、局所排気装置やオイルミストの捕集などに広く利用されています。
集塵機で切削粉塵を改善した事例
工場環境を改善するため、集塵機を導入した事例です。導入前は、切削作業による粉塵が広がり、作業環境や機器に影響を与えていました。しかし、新たな集塵機の導入により、粉塵の飛散を抑制し、作業効率の向上と作業環境の改善を実現しています。
◇複数種類の粉塵に対応
工場内で発生する様々な粉塵の問題に対処するため、複数種類の粉塵に対応した集塵機を導入した事例です。以前の装置は能力不足で、石膏ボードや断熱ボードの加工による切粉や削粉が広がり、作業効率や環境に悪影響を与えていました。
そこで、新工場建設に際し、全ての加工機械の集塵能力を計算し、工場全体の必要能力を満たす集塵機を選定しました。この集塵機は複数の粉塵に対応し、効率的に粉塵を捕集して空気を清浄化することが可能です。
その結果、粉塵の飛散が解消され、ゴミの排出も改善し、作業効率が向上しました。また、集塵機の騒音も基準値以下に抑えられ、近隣住民からの苦情も解消しています。
出典元:吉田工業
◇工場内のオイルミストを集塵
工場内のオイルミストを集塵するために、集塵機を導入した事例です。以前は、約70台の切削機械を導入していましたが、オイルミストが立ち昇り、作業環境が悪化していました。切削液の使用により、浸透性が高く制御盤内部にも侵入して故障が頻繁に発生していたため、能力の大きい1台の集塵装置を導入して対応することになりました。
排気口からのミスト漏れにはある程度の寛容さがあったため、高価な装置ではなく、価格と性能のバランスを重視した集塵機を導入しています。
導入後は、工場内のミストの量が大幅に減少し、天井付近の見通しも向上し、制御盤の故障も解消されました。
出典元:吉田工業
まとめ
切削加工は、工業製品の製造や加工に使用される基本的技術で、切削工具を使って金属や他の素材を削ったり切断したりします。旋盤加工、フライス加工、穴あけ加工が一般的で、これらの加工によって生じる粉塵やミストは健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
大型集塵機は、切削作業で発生する粉じんやミストを収集し、作業環境を改善します。乾式と湿式の両方を備えたタイプや電気集塵機が推奨され、適切な集塵機を選択することが重要です。
大型集塵機完全ガイドでは、塵機・集塵機メーカーの選び方を徹底解説しています。ぜひ他の記事もご覧ください。